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冒険者
吸収樹の最後
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ヴァンパイアソーンの根を断ち切った事によってイシュリアがラティーシアの元へと届いた。
イシュリアは手早くラティーシアに絡み付いていた根を引き千切ると、彼女を抱えてこちらに戻ってくる。
私達の方には新たに根が生えて襲い掛かってくる。幸い足元に施した硬化がまだ生きている為、不意打ちを受ける事はなかったが、範囲外から伸びてくる根には対応しなければならない。
「お母さん、さっきよりも根の動きが激しいよ!」
「そうね…ラティーシアを奪還したら弱ると思っていたんだけど」
怒り狂って手当たり次第根を伸ばしている感じだ。
空洞の壁を駆け上り地上に出ようとしている。
「もう何もかも遅いですよ!ヴァンパイアソーンがここまで活性化したら周囲にいるもの全てを取り込もうとします。この街も滅ぶのです!」
勝ち誇った様に言うロザリア自身にも無数の根が襲い掛かっていた。
ヴァンパイアソーンにとっては敵味方など無いのだ。あるとしたら糧であるかどうかだけだろう。
「全員集まれ!ここなら少なくとも足元から攻撃は受けない!」
ジェイドが叫ぶと皆が集まって来た。
「さてこれからどうする…?」
イシュリアとラティーシアを中心に全員で円形に陣を作り、襲い掛かる根を迎撃する。
「あの木を何とかしないと!」
「とうやる?切り倒したくらいで止まるのか?」
芽依とセロが隣り合って根を斬り払いながら話している。
「あそこまで活性化したら完全に枯らさないと止まらない」
イシュリアはラティーシアを抱いたまま言う。
「じゃあどうする?燃やすか?」
「街ごと燃やす事になりそうね」
「それは…無理だな」
今私達は元凶の目の前にいる。
増援もそろそろ到着する筈だが、地上の人達はここを見つけるのに時間が掛かるだろう。
そもそも来たところで何が出来るか分からない。
このままではロザリアの言う通りになってしまう。
そうはさせない。
私の目の前に飛んできた根を掴む。根も負けじと私の腕に絡みつく。
「お母さん!?」
「大丈夫よ」
私の血を吸い上げようとしているが、私もあなたからエネルギーを吸い上げるわ。
《栄養吸収》を使って絡み付いた根から生命力を吸い上げる。
逆に吸収されて、根は私から逃れようとする。
駄目よ、逃がさない。
根を捕まえて《栄養吸収》を続ける。
物凄い量の生命力を吸収しているが、まだヴァンパイアソーンが弱っている様子はない。
「お母さん大丈夫?」
「ええ。エネルギーを吸収しているだけだから大丈夫よ」
離れる事が出来ないと判断したヴァンパイアソーンは、逆に大量の根を私に目掛けて向けて来る。
「ハルを守るぞ!」
「はい!」
ジェイドとセロが前に出て私を庇ってくれる。
側面からも、上方からも次々と根が襲いかかって来る。
「やらせないよ!」
「ハンマーじゃ破壊できないです……」
芽依は速度を活かして広い範囲をフォローしてくれる。
エレはウォーハンマーでの攻撃を諦めて短剣を抜いて斬り払っている。
上から迫る根に対して、炎が噴き上がって焼いてくれる。
「助けていただいてありがとうございました。私も戦います」
ラティーシアが魔法を放って防いでくれたのだ。彼女はかなりの血を失っている様で、イシュリアに支えてもらい何とか立っている状態だ。
入り口から数人の冒険者が入ってくる。
「助けに来たぞ!」
大剣を担いだバルドルが先頭にいた。
「とにかくこの気持ち悪りぃ根を蹴散らせ!」
冒険者達は手際良く根の排除を始めてくれる。
「みんな!」
「リンさん!ミラさん!」
芽依が嬉しそうに声を上げる。
2人がバルドル達を連れて来てくれたのだろう。
根の対処は大丈夫そうだ。
それなら直接吸収を仕掛ける。
「幹から直接吸収します。援護して」
「分かった!」
皆の援護もあり私は幹に取り付く事ができた。
「もう、止まりなさい」
《栄養吸収》を目一杯掛けて幹から生命力を吸い上げる。
幹は灰色から白くなって根の動きが遅くなっていく。
やがて木は萎れていき、水々しさは失われて乾いた音を立てて崩れた。
イシュリアは手早くラティーシアに絡み付いていた根を引き千切ると、彼女を抱えてこちらに戻ってくる。
私達の方には新たに根が生えて襲い掛かってくる。幸い足元に施した硬化がまだ生きている為、不意打ちを受ける事はなかったが、範囲外から伸びてくる根には対応しなければならない。
「お母さん、さっきよりも根の動きが激しいよ!」
「そうね…ラティーシアを奪還したら弱ると思っていたんだけど」
怒り狂って手当たり次第根を伸ばしている感じだ。
空洞の壁を駆け上り地上に出ようとしている。
「もう何もかも遅いですよ!ヴァンパイアソーンがここまで活性化したら周囲にいるもの全てを取り込もうとします。この街も滅ぶのです!」
勝ち誇った様に言うロザリア自身にも無数の根が襲い掛かっていた。
ヴァンパイアソーンにとっては敵味方など無いのだ。あるとしたら糧であるかどうかだけだろう。
「全員集まれ!ここなら少なくとも足元から攻撃は受けない!」
ジェイドが叫ぶと皆が集まって来た。
「さてこれからどうする…?」
イシュリアとラティーシアを中心に全員で円形に陣を作り、襲い掛かる根を迎撃する。
「あの木を何とかしないと!」
「とうやる?切り倒したくらいで止まるのか?」
芽依とセロが隣り合って根を斬り払いながら話している。
「あそこまで活性化したら完全に枯らさないと止まらない」
イシュリアはラティーシアを抱いたまま言う。
「じゃあどうする?燃やすか?」
「街ごと燃やす事になりそうね」
「それは…無理だな」
今私達は元凶の目の前にいる。
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そもそも来たところで何が出来るか分からない。
このままではロザリアの言う通りになってしまう。
そうはさせない。
私の目の前に飛んできた根を掴む。根も負けじと私の腕に絡みつく。
「お母さん!?」
「大丈夫よ」
私の血を吸い上げようとしているが、私もあなたからエネルギーを吸い上げるわ。
《栄養吸収》を使って絡み付いた根から生命力を吸い上げる。
逆に吸収されて、根は私から逃れようとする。
駄目よ、逃がさない。
根を捕まえて《栄養吸収》を続ける。
物凄い量の生命力を吸収しているが、まだヴァンパイアソーンが弱っている様子はない。
「お母さん大丈夫?」
「ええ。エネルギーを吸収しているだけだから大丈夫よ」
離れる事が出来ないと判断したヴァンパイアソーンは、逆に大量の根を私に目掛けて向けて来る。
「ハルを守るぞ!」
「はい!」
ジェイドとセロが前に出て私を庇ってくれる。
側面からも、上方からも次々と根が襲いかかって来る。
「やらせないよ!」
「ハンマーじゃ破壊できないです……」
芽依は速度を活かして広い範囲をフォローしてくれる。
エレはウォーハンマーでの攻撃を諦めて短剣を抜いて斬り払っている。
上から迫る根に対して、炎が噴き上がって焼いてくれる。
「助けていただいてありがとうございました。私も戦います」
ラティーシアが魔法を放って防いでくれたのだ。彼女はかなりの血を失っている様で、イシュリアに支えてもらい何とか立っている状態だ。
入り口から数人の冒険者が入ってくる。
「助けに来たぞ!」
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「とにかくこの気持ち悪りぃ根を蹴散らせ!」
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「みんな!」
「リンさん!ミラさん!」
芽依が嬉しそうに声を上げる。
2人がバルドル達を連れて来てくれたのだろう。
根の対処は大丈夫そうだ。
それなら直接吸収を仕掛ける。
「幹から直接吸収します。援護して」
「分かった!」
皆の援護もあり私は幹に取り付く事ができた。
「もう、止まりなさい」
《栄養吸収》を目一杯掛けて幹から生命力を吸い上げる。
幹は灰色から白くなって根の動きが遅くなっていく。
やがて木は萎れていき、水々しさは失われて乾いた音を立てて崩れた。
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