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冒険者
装備
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次の日、朝食を済ませて宿を出る。
街の外に出てからエレネージュを召喚する。
もし、今の彼女が竜の姿だったら街の中で召喚したら大騒ぎどころか建物を押し潰してしまうかも知れないと思ったからだ。
実際はただの杞憂で、人の姿で現れた。
「ハル様!お呼び下さりありがとうございます!」
「遅くなってごめんなさいね。約束通り一緒に旅をしましょうね」
「エレさん、よろしくね!」
「よろしくお願いします!」
エレはとても嬉しそうだ。
彼女を連れてセロ達と待ち合わせの中央広場に向かう。
街の復興もかなり進んでいて、瓦礫は殆どなくなっていた。
街は以前の活気を取り戻しつつある。
広場だけあって朝から人通りが多い。
周りを見渡すが、セロ達はまだ来ていない様だ。
「ハル様、お腹が空きました」
「あら、朝ご飯食べてないの?」
「いえ、ソータ様から果物をいただいたのですが、足りなくて……」
世界樹の実を貰ったのね。
「そうだったの。じゃあ屋台で何か食べましょう」
「はい!」
広場にはいくつか屋台が出ているので覗いてみる。
「お母さん、私もいいかな?」
「勿論よ。ご飯足りなかった?」
「ううん。見てたら食べたくなっただけだよ」
「じゃあ、二人で買って来て。私の分はいらないからね」
「うん!」
芽依にエレを任せて待ち合わせの場所に戻る。
屋台の方にいたら入れ違いになってしまうかも知れないからね。
周りを見渡しながらセロ達を探す。
背が高ければ見つけやすいのだけど、そんな事を言ってもしょうがない。
セロ達は見つけられなかったが違う人物を見かけた。ロザリアだ。
外套に身を包みフードをすっぽりとかぶっていたが、間違いなくロザリアだ。
彼女の顔に『白い蝙蝠亭』で会った時の様な穏やかな笑顔は無く、冷たさすら感じる鋭い目つきをしていた。
周りに溶け込んでいるが、その異様な雰囲気が気になった。
「おはようハルさん」
ロザリアを目で追っていたら反対側からセロの声がした。
「おはようございます」
「おはよ、ハルさん」「おはようございます」
三人と挨拶を交わしロザリアを探したが、すでに見えなくなっていた。
「メイさんは?」
「エレと屋台の方に行ってます」
話していたら芽依とエレが戻ってきた。
「エレさんったらよっぽどお腹が空いてたんだね。串焼きを十本も食べたんだよ」
「えへへ、ご馳走様でした」
みんな揃ったし、服や装備を買いに行こう。
リンやミラがよく行く服屋に行って、エレに合う服を探して購入していく。
出来合いの物だがエレに合うサイズの物は結構多い。普段着から宿で着る服屋、全て指輪に入るのでかなり多めに買っておく。
服を着たまま竜に変身すると服は駄目になってしまうだろうし、替えは多い方が良いだろう。
エレの服以外にも自分達の服も探して買っておいた。
店先で待っていたセロは女性の店員と何やら話をしていたらけど疲れた顔をしていた。
待たせ過ぎてしまったかしら。
続いて鍛治屋へ向かう。
「おう、今日はなんの用だい?」
休憩していたのだろう。店先の椅子に座っていたハンクが声をかけて来る。
「彼女の装備を買いに来ました」
「新しい仲間かい?」
「はい」
「よし、俺に任せておけ!」
まずは防具から。
エレには近接戦闘要員になってもらいたいから鎧が必要だろう。
「初めは革製の鎧が一番だ」
硬い革で出来た鎧を持ってくるハンク。
エレに着方を教えながら、サイズの微調整をして試着。
「動きにくいです……」
「すぐ慣れるさ」
「でも私、結構頑丈だから鎧はいらないと思いますよ?」
「一応着ておきなさい。その方が冒険者らしく見えるから」
「ハル様が言うなら……」
エレは素直な従ってくれる。
「武器はどうするんだ?お嬢さんの細腕じゃ、短剣か小剣が良いと思うが」
ハンクの説明を聞きながら店に置いてある武器を眺めているエレ。
「これが良いです」
そう言って手にしたのは鉄製の長柄のハンマーだった。
「おいおい、そいつは流石に無理だろう」
「え?駄目なんですか?」
片手で軽々と持ち上げて振りながらハンクに聞くエレ。
「い、いや……大丈夫そうだな」
この子は見た目に反して筋力もあるからね。
街の外に出てからエレネージュを召喚する。
もし、今の彼女が竜の姿だったら街の中で召喚したら大騒ぎどころか建物を押し潰してしまうかも知れないと思ったからだ。
実際はただの杞憂で、人の姿で現れた。
「ハル様!お呼び下さりありがとうございます!」
「遅くなってごめんなさいね。約束通り一緒に旅をしましょうね」
「エレさん、よろしくね!」
「よろしくお願いします!」
エレはとても嬉しそうだ。
彼女を連れてセロ達と待ち合わせの中央広場に向かう。
街の復興もかなり進んでいて、瓦礫は殆どなくなっていた。
街は以前の活気を取り戻しつつある。
広場だけあって朝から人通りが多い。
周りを見渡すが、セロ達はまだ来ていない様だ。
「ハル様、お腹が空きました」
「あら、朝ご飯食べてないの?」
「いえ、ソータ様から果物をいただいたのですが、足りなくて……」
世界樹の実を貰ったのね。
「そうだったの。じゃあ屋台で何か食べましょう」
「はい!」
広場にはいくつか屋台が出ているので覗いてみる。
「お母さん、私もいいかな?」
「勿論よ。ご飯足りなかった?」
「ううん。見てたら食べたくなっただけだよ」
「じゃあ、二人で買って来て。私の分はいらないからね」
「うん!」
芽依にエレを任せて待ち合わせの場所に戻る。
屋台の方にいたら入れ違いになってしまうかも知れないからね。
周りを見渡しながらセロ達を探す。
背が高ければ見つけやすいのだけど、そんな事を言ってもしょうがない。
セロ達は見つけられなかったが違う人物を見かけた。ロザリアだ。
外套に身を包みフードをすっぽりとかぶっていたが、間違いなくロザリアだ。
彼女の顔に『白い蝙蝠亭』で会った時の様な穏やかな笑顔は無く、冷たさすら感じる鋭い目つきをしていた。
周りに溶け込んでいるが、その異様な雰囲気が気になった。
「おはようハルさん」
ロザリアを目で追っていたら反対側からセロの声がした。
「おはようございます」
「おはよ、ハルさん」「おはようございます」
三人と挨拶を交わしロザリアを探したが、すでに見えなくなっていた。
「メイさんは?」
「エレと屋台の方に行ってます」
話していたら芽依とエレが戻ってきた。
「エレさんったらよっぽどお腹が空いてたんだね。串焼きを十本も食べたんだよ」
「えへへ、ご馳走様でした」
みんな揃ったし、服や装備を買いに行こう。
リンやミラがよく行く服屋に行って、エレに合う服を探して購入していく。
出来合いの物だがエレに合うサイズの物は結構多い。普段着から宿で着る服屋、全て指輪に入るのでかなり多めに買っておく。
服を着たまま竜に変身すると服は駄目になってしまうだろうし、替えは多い方が良いだろう。
エレの服以外にも自分達の服も探して買っておいた。
店先で待っていたセロは女性の店員と何やら話をしていたらけど疲れた顔をしていた。
待たせ過ぎてしまったかしら。
続いて鍛治屋へ向かう。
「おう、今日はなんの用だい?」
休憩していたのだろう。店先の椅子に座っていたハンクが声をかけて来る。
「彼女の装備を買いに来ました」
「新しい仲間かい?」
「はい」
「よし、俺に任せておけ!」
まずは防具から。
エレには近接戦闘要員になってもらいたいから鎧が必要だろう。
「初めは革製の鎧が一番だ」
硬い革で出来た鎧を持ってくるハンク。
エレに着方を教えながら、サイズの微調整をして試着。
「動きにくいです……」
「すぐ慣れるさ」
「でも私、結構頑丈だから鎧はいらないと思いますよ?」
「一応着ておきなさい。その方が冒険者らしく見えるから」
「ハル様が言うなら……」
エレは素直な従ってくれる。
「武器はどうするんだ?お嬢さんの細腕じゃ、短剣か小剣が良いと思うが」
ハンクの説明を聞きながら店に置いてある武器を眺めているエレ。
「これが良いです」
そう言って手にしたのは鉄製の長柄のハンマーだった。
「おいおい、そいつは流石に無理だろう」
「え?駄目なんですか?」
片手で軽々と持ち上げて振りながらハンクに聞くエレ。
「い、いや……大丈夫そうだな」
この子は見た目に反して筋力もあるからね。
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