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冒険者
会談
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ソリムド伯爵はフリッツ達の様に激しく動揺はしなかった。
流石上に立つものは違うわね。
ウルゼイドに到着し、今回は白の庭に着陸する。そこには国の重鎮達が揃っていて伯爵を出迎えてくれていた。
「ようこそウルゼイドへ」
「出迎え感謝します」
ソリムド伯爵はウルゼイドの重鎮達と挨拶を交わし、案内されて城の中へと進んでいく。
今回は謁見の間ではなく会議室で行われる。
アルザハーンとの話はスムーズに進み、無事相互不可侵協定を結ぶ事が出来たようだ。
その日の夜は城での晩餐会。
私達も参加する事になっている。
ザハーンが前もって用意してくれたドレスを着て会場へ向かう。
私は青色の落ち着いたドレス、芽依は薄桃色の可愛らしいドレスだ。
芽依は少し背が伸びたわね。ドレス姿がよく似合うわ。
リンとミラの分も手配してくれて、二人とも初めて着るドレスに緊張してしている様だ。リンは薄黄色のドレスを、ミラは薄橙色のドレスを着ていて髪もセットしてもらっていた。互いの姿を見ながら驚いている。
「私達何もしてないのにいいのかな……?」
「何だか申し訳ないですね」
「気にしないで!私も何もしてないから。それより二人ともすっごく似合ってる。とってもカワイイよ!」
芽依がリンとミラをフォローしている。
ドレス姿を褒められて照れる二人。
四人で会場に向かっているとセロがまっていた。彼も正装をしていて格好良くなっていた。
「セロさんカッコいい!」
「ありがとうメイさん。みんなもとても良く似合ってるね」
芽依はニコリと笑い、リンとミラは顔を赤くして照れていた。
セロの表情は少し暗い。
「ハルさんが働いているだけで俺達が報酬を貰ってはいけないと思うんだけど」
「気にしないで。付き合わせた迷惑料だと思って受け取っておいてください」
そんな事を気にしていたのか。
確かに彼らにとっては破格の報酬だからそう思うのは当たり前かもしれない。しかし彼らは私達のパーティメンバーなのだ。同じように報酬を受ける権利はあると思っている。
それにソリムド伯爵との関わり合いについて、もしかしたら私のせいで迷惑をかける事になってしまうかも知れない。
何とか避けたい事だが、それはライアッド王国の出方次第だ。
しかし今はまず、今日の晩餐会を楽しもうと思う。
セロ達はマナーを知らないから緊張していたが、芽依が「私達の真似をすれば大丈夫だよ」と言って、一応の落ち着きを取り戻した。
食事はコース形式。私と芽依はウルゼイドで暮らしていた事もあり、マナーに関しては問題ない。
そして今回の主賓はソリムド伯爵なので気を遣ってあれこれと話をする必要はない……と思っていたのだが、私にも次々と話が振られてくる。
特に聞かれて困る様な事もないので普通に受け答えをしていくのだが、私と芽依が話に入ってしまうと、真似をする様に言ってあった三人も止まらざるを得ない。私と芽依は交互に食事を進めながら伯爵やアルザハーンと話して楽しく過ごすことができた。
「緊張したー……」
「美味しいご飯の筈なのに全然味が分からなかったです」
「うん……リン、ミラ、お疲れ様」
晩餐会を終えて、着替えた三人は私達の部屋にやって来ていた。
形式張った食事は肩が凝ってしまうわね。三人とも疲れた様子だった。
「今日で伯爵の依頼も終わりだね。セイランとウルゼイドを往復しているだけだったけど」
「そうだね。報酬を受け取ったらどうしようか?」
「皆さんお疲れの様だから二、三日休養を取りましょうか?」
トコヤミに乗って移動ばかりだったけど、慣れない事ばかりで疲労も溜まっているだろう。
「そうだね。それもいいかも知れない。でも俺としては剣の訓練をやりたいんだよ」
「私はいいよ!セロさん、剣の稽古やろう!」
セロも思うところがあるのだろう。
流石上に立つものは違うわね。
ウルゼイドに到着し、今回は白の庭に着陸する。そこには国の重鎮達が揃っていて伯爵を出迎えてくれていた。
「ようこそウルゼイドへ」
「出迎え感謝します」
ソリムド伯爵はウルゼイドの重鎮達と挨拶を交わし、案内されて城の中へと進んでいく。
今回は謁見の間ではなく会議室で行われる。
アルザハーンとの話はスムーズに進み、無事相互不可侵協定を結ぶ事が出来たようだ。
その日の夜は城での晩餐会。
私達も参加する事になっている。
ザハーンが前もって用意してくれたドレスを着て会場へ向かう。
私は青色の落ち着いたドレス、芽依は薄桃色の可愛らしいドレスだ。
芽依は少し背が伸びたわね。ドレス姿がよく似合うわ。
リンとミラの分も手配してくれて、二人とも初めて着るドレスに緊張してしている様だ。リンは薄黄色のドレスを、ミラは薄橙色のドレスを着ていて髪もセットしてもらっていた。互いの姿を見ながら驚いている。
「私達何もしてないのにいいのかな……?」
「何だか申し訳ないですね」
「気にしないで!私も何もしてないから。それより二人ともすっごく似合ってる。とってもカワイイよ!」
芽依がリンとミラをフォローしている。
ドレス姿を褒められて照れる二人。
四人で会場に向かっているとセロがまっていた。彼も正装をしていて格好良くなっていた。
「セロさんカッコいい!」
「ありがとうメイさん。みんなもとても良く似合ってるね」
芽依はニコリと笑い、リンとミラは顔を赤くして照れていた。
セロの表情は少し暗い。
「ハルさんが働いているだけで俺達が報酬を貰ってはいけないと思うんだけど」
「気にしないで。付き合わせた迷惑料だと思って受け取っておいてください」
そんな事を気にしていたのか。
確かに彼らにとっては破格の報酬だからそう思うのは当たり前かもしれない。しかし彼らは私達のパーティメンバーなのだ。同じように報酬を受ける権利はあると思っている。
それにソリムド伯爵との関わり合いについて、もしかしたら私のせいで迷惑をかける事になってしまうかも知れない。
何とか避けたい事だが、それはライアッド王国の出方次第だ。
しかし今はまず、今日の晩餐会を楽しもうと思う。
セロ達はマナーを知らないから緊張していたが、芽依が「私達の真似をすれば大丈夫だよ」と言って、一応の落ち着きを取り戻した。
食事はコース形式。私と芽依はウルゼイドで暮らしていた事もあり、マナーに関しては問題ない。
そして今回の主賓はソリムド伯爵なので気を遣ってあれこれと話をする必要はない……と思っていたのだが、私にも次々と話が振られてくる。
特に聞かれて困る様な事もないので普通に受け答えをしていくのだが、私と芽依が話に入ってしまうと、真似をする様に言ってあった三人も止まらざるを得ない。私と芽依は交互に食事を進めながら伯爵やアルザハーンと話して楽しく過ごすことができた。
「緊張したー……」
「美味しいご飯の筈なのに全然味が分からなかったです」
「うん……リン、ミラ、お疲れ様」
晩餐会を終えて、着替えた三人は私達の部屋にやって来ていた。
形式張った食事は肩が凝ってしまうわね。三人とも疲れた様子だった。
「今日で伯爵の依頼も終わりだね。セイランとウルゼイドを往復しているだけだったけど」
「そうだね。報酬を受け取ったらどうしようか?」
「皆さんお疲れの様だから二、三日休養を取りましょうか?」
トコヤミに乗って移動ばかりだったけど、慣れない事ばかりで疲労も溜まっているだろう。
「そうだね。それもいいかも知れない。でも俺としては剣の訓練をやりたいんだよ」
「私はいいよ!セロさん、剣の稽古やろう!」
セロも思うところがあるのだろう。
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