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冒険者
証明
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「いえ、警戒するのも仕方のない事です。お気になさらないでください」
謝る伯爵に返答する。
「そう言ってもらえると助かる。護衛を安心させる為に聞かせてもらいたいのだが、先程のドラゴンは君の言う事を何でも聞くのかね?」
「はい」
「呼べばすぐにくるのかね?」
「はい。お呼びしても?」
「頼む」
伯爵の許可を得たのでトコヤミを召喚する。
『ハル様。街の外の掃除は終わりました』
「ご苦労様。投降者はいなかったの?」
『はい。警告をしても逃げるので御命令通り全て焼き捨てました』
「ありがとう」
トコヤミに状況を確認して礼を言っておく。
「私の家族のトコヤミです」
「家族……か」
伯爵は私とトコヤミを見比べている。
「貴様、ハル様を地に立たせ見下ろすとは何と無礼な人間だ。今すぐその小屋ごと焼き尽くしてやろうか?」
トコヤミは伯爵を睨みつけると人間の言葉で喋りながら翼を広げて威嚇する。
「おやめなさい。その人はこの街の長です。私達はこの街に住まわせてもらっているのです。慎みなさい」
『申し訳ありません……』
翼を折りたたみ頭を下げるトコヤミ。
「伯爵様、トコヤミは人間の社会について何も知りません。どうかお許しください」
「良いのだ……今ので君がその黒竜を制御しているのは充分にわかった」
伯爵は穏やかに言う。
周りの騎士は剣に手を掛けていたが、それを手で制して話を続ける。
「君達は私の味方だと宣言したが、それは今も変わらぬのかな?」
「はい」
「現在セイランは、駐屯兵団の戦力を失って防御が手薄になっている。西の地より魔族が攻めて来たら為す術は無いだろう。君を一時的に防衛戦力として雇いたい」
本来駐屯兵団はウルゼイドの侵攻を予想しての防衛戦力だった。それが壊滅状態であれば焦りもするだろう。
そこで私達に白羽の矢が立ったと。
「伯爵様、お言葉ですがウルゼイドがセイランに攻めてくる事はありません」
「貴様!伯爵に意見するつもりか!」
近くにいた年配の兵士が声を張り上げて言う。
「よい、続けなさい」
「ありがとうございます。私と芽依はウルゼイドから来たからです」
周りの兵士達が動揺している。
「君達はウルゼイドの者なのかね?」
「それも違います。私はウルゼイドより西にある大森林を取り纏めている泉の精霊です」
「嘘を申すな!」
堪らず伯爵の後ろに控えていた若い騎士が前に出てきて怒り出す。
「よさんか馬鹿者!」
その横にいた年配の騎士が一喝して若い騎士の肩を掴んで後ろに引き戻す。
「失礼した。我々も大森林の泉の精霊の話は聞いた事があるが……君がその精霊だと証明出来るものはあるかね?」
伯爵が聞いてくる。
それならば泉の水の効果でも見てもらおうか。
私達を遠巻きに取り囲んでいる兵士達の中には包帯を巻いている者も幾人か見える。
「この中に重傷者はいますか?今すぐ完全に治療して見せましょう」
周囲に問いかけると何人かの兵士がゆっくりとこちらにやって来る。
「俺は腕の骨折だ。本当に治せるのか?」
その兵士は左腕に添え木をしており、その上から布でグルグル巻きに固定されていた。
「ええ。じっとしてください」
泉の水を生成して左腕に振り掛ける。
「はい。もう治っていら筈です」
「そんな馬鹿な……本当だ。痛くない」
布と添え木を外して腕を動かしている兵士。
「次は俺だ……右目をやられている」
包帯を顔に巻いた兵士。右目の辺りから血が滲んでいた。
「頭から水を掛けます。動かないで」
泉の水を頭から掛けると右目はすぐに再生した。
「次は俺だ!左手を無くした」
「俺も頼む!右手の指を三本無くしちまったんだ!治してくれ!」
周りで見ていた者達も駆け寄ってくる。
何十人も一気に詰め寄って来るが、颯太とヴァンとセロが遮ってくれて押し潰される事はなかった。
「分かりました。全員一度に治しましょう」
大量の泉の水を空に打ち上げて局所的に雨を降らせる。
水を浴びた者達の怪我は立ち所に治っていった。
謝る伯爵に返答する。
「そう言ってもらえると助かる。護衛を安心させる為に聞かせてもらいたいのだが、先程のドラゴンは君の言う事を何でも聞くのかね?」
「はい」
「呼べばすぐにくるのかね?」
「はい。お呼びしても?」
「頼む」
伯爵の許可を得たのでトコヤミを召喚する。
『ハル様。街の外の掃除は終わりました』
「ご苦労様。投降者はいなかったの?」
『はい。警告をしても逃げるので御命令通り全て焼き捨てました』
「ありがとう」
トコヤミに状況を確認して礼を言っておく。
「私の家族のトコヤミです」
「家族……か」
伯爵は私とトコヤミを見比べている。
「貴様、ハル様を地に立たせ見下ろすとは何と無礼な人間だ。今すぐその小屋ごと焼き尽くしてやろうか?」
トコヤミは伯爵を睨みつけると人間の言葉で喋りながら翼を広げて威嚇する。
「おやめなさい。その人はこの街の長です。私達はこの街に住まわせてもらっているのです。慎みなさい」
『申し訳ありません……』
翼を折りたたみ頭を下げるトコヤミ。
「伯爵様、トコヤミは人間の社会について何も知りません。どうかお許しください」
「良いのだ……今ので君がその黒竜を制御しているのは充分にわかった」
伯爵は穏やかに言う。
周りの騎士は剣に手を掛けていたが、それを手で制して話を続ける。
「君達は私の味方だと宣言したが、それは今も変わらぬのかな?」
「はい」
「現在セイランは、駐屯兵団の戦力を失って防御が手薄になっている。西の地より魔族が攻めて来たら為す術は無いだろう。君を一時的に防衛戦力として雇いたい」
本来駐屯兵団はウルゼイドの侵攻を予想しての防衛戦力だった。それが壊滅状態であれば焦りもするだろう。
そこで私達に白羽の矢が立ったと。
「伯爵様、お言葉ですがウルゼイドがセイランに攻めてくる事はありません」
「貴様!伯爵に意見するつもりか!」
近くにいた年配の兵士が声を張り上げて言う。
「よい、続けなさい」
「ありがとうございます。私と芽依はウルゼイドから来たからです」
周りの兵士達が動揺している。
「君達はウルゼイドの者なのかね?」
「それも違います。私はウルゼイドより西にある大森林を取り纏めている泉の精霊です」
「嘘を申すな!」
堪らず伯爵の後ろに控えていた若い騎士が前に出てきて怒り出す。
「よさんか馬鹿者!」
その横にいた年配の騎士が一喝して若い騎士の肩を掴んで後ろに引き戻す。
「失礼した。我々も大森林の泉の精霊の話は聞いた事があるが……君がその精霊だと証明出来るものはあるかね?」
伯爵が聞いてくる。
それならば泉の水の効果でも見てもらおうか。
私達を遠巻きに取り囲んでいる兵士達の中には包帯を巻いている者も幾人か見える。
「この中に重傷者はいますか?今すぐ完全に治療して見せましょう」
周囲に問いかけると何人かの兵士がゆっくりとこちらにやって来る。
「俺は腕の骨折だ。本当に治せるのか?」
その兵士は左腕に添え木をしており、その上から布でグルグル巻きに固定されていた。
「ええ。じっとしてください」
泉の水を生成して左腕に振り掛ける。
「はい。もう治っていら筈です」
「そんな馬鹿な……本当だ。痛くない」
布と添え木を外して腕を動かしている兵士。
「次は俺だ……右目をやられている」
包帯を顔に巻いた兵士。右目の辺りから血が滲んでいた。
「頭から水を掛けます。動かないで」
泉の水を頭から掛けると右目はすぐに再生した。
「次は俺だ!左手を無くした」
「俺も頼む!右手の指を三本無くしちまったんだ!治してくれ!」
周りで見ていた者達も駆け寄ってくる。
何十人も一気に詰め寄って来るが、颯太とヴァンとセロが遮ってくれて押し潰される事はなかった。
「分かりました。全員一度に治しましょう」
大量の泉の水を空に打ち上げて局所的に雨を降らせる。
水を浴びた者達の怪我は立ち所に治っていった。
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