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冒険者
捕縛と駐屯兵団
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ものの数十秒で制圧が完了し、全員生きたまま捕らえる事ができた。深傷を負っているものにはほんの少しだけ水をかけて出血を止めておく。
「それで、あなた達は何処のどなた?」
「知らずに攻撃して来たのかよ。……へっ!俺達はただ狩猟でこの辺りを彷徨いていただけだぜ」
この期に及んで恍けるとは。
男達をよく観察すると、腕に同じ刺青をしているのを見つけた。翼を広げた猛禽類の刺青だ。
「嘘をつくと痛い目に遭いますよ。その刺青が何よりの証拠です」
「……ちっ。バレちゃあしょうがねぇ。俺達は泣く子も黙る盗賊団『荒鷲の爪』だ」
ただの鎌掛けだったが男は自白してくれた。
「何それ?こんなに弱いのに名前だけ立派なんて……笑わせようとしてるの?」
芽依は見下ろしながら言う。
「小娘……覚えてやがれよ。いつか痛い目に遭わせてやるからな」
「お母さん、コイツらどうする?倒した証明に首をぶら下げて商隊に帰る?」
芽依は男の言う事を無視した。男は芽依の態度に顔を赤くしていたが、内容を聞いて今は顔を青くしている。
「そうね。でも刺青が証明になるから頭だけ持って行っても駄目じゃないかしら」
「そっかー」
それなら街から兵士を連れてきて身柄を引き渡してしまおう。
「芽依、少しの間だけここで待てる?」
「うん。何処に行くの?」
「ちょっと街まで行って兵士を連れてくるわ。オオトリ!」
空を見上げて大声で呼ぶと、オオトリが急降下してきた。
『お呼びですか?ハル様』
「私を街まで連れて行ってもらえるかしら?」
『お安い御用です』
オオトリはそう言うと、足で私の両肩をしっかりと掴んで飛び立つ。
「すぐに戻るからね」
「うん!」
手を振る芽依に軽く手を振り返してセイランの街へ。
東門の前で降ろしてもらうと門衛達が武器を手にこちらに走ってきた。
「大丈夫か!?」
どうやら攫われたのだと勘違いされた様だ。
「この鳥は私の眷属です。街道で盗賊団を捕えました。兵士に取り次ぎをお願いします」
そう言いながら首に掛けていた冒険者証を見せる。
「わ、分かった。ここで待っていてくれ」
門衛は動揺しながらも直ぐに兵士を連れてきてくれた。
「ハルじゃないか。」
やって来たのは駐屯兵団の分隊長、ハーツだった。
「ハーツさん」
「覚えていたか」
つい数日前の事だ、忘れる訳がない。
彼に事情を説明すると直ぐに兵を集めてくれて出発する事になった。
私は前回同様ハーツの前に乗せられる。
馬は軽快に走り出し、一時間程度で芽依のいる林に着いた。
「ハーツさんだ」
「メイが一人でコイツらを見ていたのか?」
「うん。大した相手でもなかったし、今は身動きが取れないから大丈夫」
ハーツは盗賊達を調べながら部下に命じて縄を掛けていく。
「確かに『荒鷲の爪』だ。コイツらは遠目が効くからなかなか捕まらなかったんだ」
「遠目が効くだけなんですね」
「腕の立つ弓使いが揃っている筈だが……」
それらは私が腕前を見る前に戦闘不能にしてしまった。
「私達商隊の護衛をしているのですが、彼らを見つけたから襲われる前に仕掛けたのです。捕縛の証明は頂けないでしょうか?」
「それなら私ともう一人が君達を商隊まで送り届けよう」
他の兵士は盗賊団を連行して戻る。
私と芽依はまたしても馬に乗せられて移動する事に。
「少し急ぐから舌を噛まない様に」
「はい」
ハーツともう一人の兵が馬を走らせる。
更に一時間程で商隊に追いつく事ができた。
ハーツは所属を名乗り護衛の指揮者であるヴァンを呼び出し、盗賊団を捕縛した事を説明していく。近くにいたレイルとロッシュも驚きのあまり言葉を失っていた。
「それで、だ。君達はこんな年端もいかない少女二人に何て無茶をさせるんだ!何かあってからでは取り返しがつかないんだぞ!」
ハーツはヴァンと近くにいたレイルとロッシュを叱責する。
三人はその剣幕にただ辟易するだけだった。
「それで、あなた達は何処のどなた?」
「知らずに攻撃して来たのかよ。……へっ!俺達はただ狩猟でこの辺りを彷徨いていただけだぜ」
この期に及んで恍けるとは。
男達をよく観察すると、腕に同じ刺青をしているのを見つけた。翼を広げた猛禽類の刺青だ。
「嘘をつくと痛い目に遭いますよ。その刺青が何よりの証拠です」
「……ちっ。バレちゃあしょうがねぇ。俺達は泣く子も黙る盗賊団『荒鷲の爪』だ」
ただの鎌掛けだったが男は自白してくれた。
「何それ?こんなに弱いのに名前だけ立派なんて……笑わせようとしてるの?」
芽依は見下ろしながら言う。
「小娘……覚えてやがれよ。いつか痛い目に遭わせてやるからな」
「お母さん、コイツらどうする?倒した証明に首をぶら下げて商隊に帰る?」
芽依は男の言う事を無視した。男は芽依の態度に顔を赤くしていたが、内容を聞いて今は顔を青くしている。
「そうね。でも刺青が証明になるから頭だけ持って行っても駄目じゃないかしら」
「そっかー」
それなら街から兵士を連れてきて身柄を引き渡してしまおう。
「芽依、少しの間だけここで待てる?」
「うん。何処に行くの?」
「ちょっと街まで行って兵士を連れてくるわ。オオトリ!」
空を見上げて大声で呼ぶと、オオトリが急降下してきた。
『お呼びですか?ハル様』
「私を街まで連れて行ってもらえるかしら?」
『お安い御用です』
オオトリはそう言うと、足で私の両肩をしっかりと掴んで飛び立つ。
「すぐに戻るからね」
「うん!」
手を振る芽依に軽く手を振り返してセイランの街へ。
東門の前で降ろしてもらうと門衛達が武器を手にこちらに走ってきた。
「大丈夫か!?」
どうやら攫われたのだと勘違いされた様だ。
「この鳥は私の眷属です。街道で盗賊団を捕えました。兵士に取り次ぎをお願いします」
そう言いながら首に掛けていた冒険者証を見せる。
「わ、分かった。ここで待っていてくれ」
門衛は動揺しながらも直ぐに兵士を連れてきてくれた。
「ハルじゃないか。」
やって来たのは駐屯兵団の分隊長、ハーツだった。
「ハーツさん」
「覚えていたか」
つい数日前の事だ、忘れる訳がない。
彼に事情を説明すると直ぐに兵を集めてくれて出発する事になった。
私は前回同様ハーツの前に乗せられる。
馬は軽快に走り出し、一時間程度で芽依のいる林に着いた。
「ハーツさんだ」
「メイが一人でコイツらを見ていたのか?」
「うん。大した相手でもなかったし、今は身動きが取れないから大丈夫」
ハーツは盗賊達を調べながら部下に命じて縄を掛けていく。
「確かに『荒鷲の爪』だ。コイツらは遠目が効くからなかなか捕まらなかったんだ」
「遠目が効くだけなんですね」
「腕の立つ弓使いが揃っている筈だが……」
それらは私が腕前を見る前に戦闘不能にしてしまった。
「私達商隊の護衛をしているのですが、彼らを見つけたから襲われる前に仕掛けたのです。捕縛の証明は頂けないでしょうか?」
「それなら私ともう一人が君達を商隊まで送り届けよう」
他の兵士は盗賊団を連行して戻る。
私と芽依はまたしても馬に乗せられて移動する事に。
「少し急ぐから舌を噛まない様に」
「はい」
ハーツともう一人の兵が馬を走らせる。
更に一時間程で商隊に追いつく事ができた。
ハーツは所属を名乗り護衛の指揮者であるヴァンを呼び出し、盗賊団を捕縛した事を説明していく。近くにいたレイルとロッシュも驚きのあまり言葉を失っていた。
「それで、だ。君達はこんな年端もいかない少女二人に何て無茶をさせるんだ!何かあってからでは取り返しがつかないんだぞ!」
ハーツはヴァンと近くにいたレイルとロッシュを叱責する。
三人はその剣幕にただ辟易するだけだった。
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