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冒険者

報告

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準備も無しに遺跡の中に突入という無謀な事をしてしまったが、夕方までには無事帰ってくる事ができた。

ギルドに行って倒した動物の肉と毛皮を納品しよう。
解体場という所から荷車を借りて来て、人目につかない所で指輪から獲物を出して乗せる。

状態もかなり良いという事で全部で二千エルズだった。
狩りをしていた時間はそんなに長くなかったが結構な収入になって皆喜んでいる。

そして本題。

「何?遺跡を見つけただと!?」

受付にいたバルドルが大声を出すものだからギルド内の冒険者達がこちらを注目している。

「場所は?中は確認したのか?」

カウンターの下から周辺地図を取り出して置くバルドル。

「ええと……場所はこの辺りで、中は少しだけ見てきました」

セロが戸惑いながら穴の空いた場所を指し示す。

「中はどうなっていた?」
「剣があったので引き抜きました。そしたら床が崩れて下まで落ちて、下層で魔物と戦いました」

魔物の詳細を伝えるセロ。
周りの冒険者達も集まってきて話を聴いていた。

「おいおい……そんな化け物知らねぇぞ。よく無事だったな」
「下層に落とされた時はハルさんが、魔物との戦闘ではメイさんが助けてくれましたので」

私達の名前を聞いて何故か身構えるバルドル。チラリとこちらを見てきたので笑顔を返しておいた。

「分かった。それで、遺跡で手に入れた剣はそれか?」
「はい」

セロは剣をバルドルに手渡す。

「うおっ!?」

手にした瞬間バルドルは剣を取り落とす。
剣はカウンターの上に落ちて激しい音を立てる。

「大丈夫ですか?」
「すまん……しかしなんて重さだ。この俺が持つ事すら出来んとは」

おや?セロや芽依は凄く軽いと言っていたが、これはどういう事だろうか?

「そんな筈はありませんよ。ほら」

セロはカウンターの上にあった剣を片手で軽々と持ち上げる。

「所有者しか持てねぇんじゃねえか?」
「そんな剣があるのですか?」
「聞いた事があるだけだが、多分コイツがそうだぜ」

芽依も扱えたけど、引き抜く時二人で抜いたからかしら?

「その剣はお前しか使えねぇんだから売却はできないぜ。大事に使いな」
「はい」
「遺跡の情報料として三千エルズ出すぜ」
「ありがとうございます」

お金を受け取って受付から離れて精算する。一人千エルズずつ均等に分けた。

「拾ってきた剣と盾はどうしよう?」
「今から鍛冶屋に持っていって見てもらおうか?」

鍛冶屋なら何かわかるかも知れないわね。

「もう遅いから明日にしない?」
「そうですね。今から行っても嫌がられるかも知れませんし」

リンとミラが言うには鍛冶屋は夕方には仕事をやめてしまうらしい。
何でも鍛治の神様は夜に鎚を振るう事を嫌うそうだ。

それならばという事で日を改めて明日見せに行く事になった。

「セロさん達は明日も空いてますか?剣と盾を見てもらって価値のあるものなら精算しないといけないので」
「そんな、メイさんが運んできたんだから二人の物にしていいよ」
「いいえ。五人でパーティだったんだから収拾品は均等に分けましょう。ね?」

そう言いながら私に聞いて来るので私も頷いておいた。

ギルドから出て互いの宿屋に向かう別れ道まで少し歩いていると、後ろから誰かがこちらに向かってやって来た。

「なあセロ、その剣売ってくれないか?」

声をかけて来たのはギルドにいた冒険者の男だった。革の鎧を着た痩せた男だ。

「これはパーティで手に入れたものだから俺の勝手で売ったり出来ない」
「そいつはお前の様な雑魚じゃあ扱い切れない剣だぜ。買ってやるから幾ら欲しいか言え」

男はセロの事を完全に下に見ている。
高圧的に言えば従うと思っているのだろう。

「そんなに言うなら持ってみれば?」

芽依がセロから剣を奪って投げて寄越す。
受け取ろうとした男だが、持つ事が出来ずに剣に跳ね飛ばされてしまった。

大丈夫かしら?
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