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冒険者
初任務
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革のプレートを受け取ってギルドから出る。
「まずは昼食ね」
「やったー!」
両手を掲げて喜んでいる芽依。
もう、子供なんだから。
少し歩いてみたら美味しそうな香ばしい匂いのする店を見つけたので入ってみる。
「らっしゃい!空いてる席にどうぞ」
黒髪の逞しい中年の男性が元気よく声を掛けてくる。
席に着くとすぐにやって来て「ご注文は?」と聞いて来た。
メニューは壁に掛けられた木の板に書いてある。
「私はお肉がいい!」
「じゃあ──」
メニューを見ながら芽依と私が食べ切れる量を注文する。
店員は「あいよ!」と元気よく返事をすると厨房に引っ込む。
少しして持って来たのはステーキにサラダ。フカフカのコッペパンにオニオンスープ。
「いただきます!」
芽依はステーキを切り分けて食べ始める。
「んー!美味しい!」
この肉はウルゼイドでも食べた事がある牛肉の様な物だ。名前はヴァーシュと言ったか、地球の牛よりもかなり大きい野生の動物らしい。
この辺りにもいるのだろうか?
サラダには酸味のあるドレッシングがかけられていて食欲を唆る。
スープも程よい味付けで飲みやすかった。
これだけ食べても五十エルズ。金銭感覚がまだよく分からないが宿屋の一食分と同じだ。良心的だと思う。
「ご馳走様でした!」
食事を済ませてオリオン商会へ向かう。
午前中に少し散策したので商業区の場所も凡そわかっていた。
オリオン商会を探して歩いていると、大きな看板の掛かった5階建ての建物を見つける。どうやらここの様だ。
正面の入り口から入ると、一階は調度品やドレスといった高級品が売られていた。
私達は配達の仕事で来たのだから正面から入ってはいけなかっただろうか?
「いらっしゃいませ。ようこそオリオン商会へ。本日は何をお探しでしょうか?」
近くに居た身なりの良い服を着た店員が私達に話しかけてくる。
「私達配達の仕事で来た冒険者なのですが、こちらから入って宜しかったでしょうか?」
「ええ、大丈夫ですよ。配達業務は奥の扉の向こうです」
怒られるのではないかと思ったが店員は丁寧に対応してくれた。
礼を言って奥へと向かう。
両開きの暗褐色の木の扉を開けて進むと、こちらは宅配の集荷場の様になっていた。
「いらっしゃいませ。荷運びの依頼ですか?」
カウンターにいた青年が聞いてくる。
「いえ、私達は冒険者です。配達の仕事を請けに来ました」
「そうでしたか!助かります!」
革のプレートを渡すと代わりに布の腕章を渡された。白地の布にオリオン運送と書かれていた。
「お二人には街の中の荷運びをお願いします。この街の出身者ではないですね?」
「はい。今日来たばかりです」
「分かりました。まずは近所の配達からお願いします。少しずつ住所を覚えていけば大丈夫です。荷物を傷めない様に気を付けてください」
青年は話しながら伝票を確認している。
「それじゃあ、これを持って奥のカウンターまで行ってください」
「分かりました」
伝票を受け取って奥へ行くと、カウンターにはスキンヘッドの大男が待っていた。
「新人だな?荷物は落とさない様に気をつけるんだぞ」
伝票を渡すと奥から封書を二通、小包を二つと街の地図を渡された。
「初めてだから急がなくていい。地図を見ながら確実に届けて来い」
「はい。行ってきます」
小包はそんなに重くないので一人で運べそうだ。芽依には封書を持ってもらおう。
「地図の見方分かる?」
「大丈夫だよ。案内するね」
初めは近所だったのですぐに届け先も見つかった。戻ってくる度に少しずつ離れた所への配達を用意してくれていて、地図を見ながら確実に配達をこなしていった。
十往復もしたら日が沈み出したので切り上げる事に。
報酬は二人で四百エルズだった。
ただ荷物を運ぶだけにしては貰えた方ではないだろうか。
「まずは昼食ね」
「やったー!」
両手を掲げて喜んでいる芽依。
もう、子供なんだから。
少し歩いてみたら美味しそうな香ばしい匂いのする店を見つけたので入ってみる。
「らっしゃい!空いてる席にどうぞ」
黒髪の逞しい中年の男性が元気よく声を掛けてくる。
席に着くとすぐにやって来て「ご注文は?」と聞いて来た。
メニューは壁に掛けられた木の板に書いてある。
「私はお肉がいい!」
「じゃあ──」
メニューを見ながら芽依と私が食べ切れる量を注文する。
店員は「あいよ!」と元気よく返事をすると厨房に引っ込む。
少しして持って来たのはステーキにサラダ。フカフカのコッペパンにオニオンスープ。
「いただきます!」
芽依はステーキを切り分けて食べ始める。
「んー!美味しい!」
この肉はウルゼイドでも食べた事がある牛肉の様な物だ。名前はヴァーシュと言ったか、地球の牛よりもかなり大きい野生の動物らしい。
この辺りにもいるのだろうか?
サラダには酸味のあるドレッシングがかけられていて食欲を唆る。
スープも程よい味付けで飲みやすかった。
これだけ食べても五十エルズ。金銭感覚がまだよく分からないが宿屋の一食分と同じだ。良心的だと思う。
「ご馳走様でした!」
食事を済ませてオリオン商会へ向かう。
午前中に少し散策したので商業区の場所も凡そわかっていた。
オリオン商会を探して歩いていると、大きな看板の掛かった5階建ての建物を見つける。どうやらここの様だ。
正面の入り口から入ると、一階は調度品やドレスといった高級品が売られていた。
私達は配達の仕事で来たのだから正面から入ってはいけなかっただろうか?
「いらっしゃいませ。ようこそオリオン商会へ。本日は何をお探しでしょうか?」
近くに居た身なりの良い服を着た店員が私達に話しかけてくる。
「私達配達の仕事で来た冒険者なのですが、こちらから入って宜しかったでしょうか?」
「ええ、大丈夫ですよ。配達業務は奥の扉の向こうです」
怒られるのではないかと思ったが店員は丁寧に対応してくれた。
礼を言って奥へと向かう。
両開きの暗褐色の木の扉を開けて進むと、こちらは宅配の集荷場の様になっていた。
「いらっしゃいませ。荷運びの依頼ですか?」
カウンターにいた青年が聞いてくる。
「いえ、私達は冒険者です。配達の仕事を請けに来ました」
「そうでしたか!助かります!」
革のプレートを渡すと代わりに布の腕章を渡された。白地の布にオリオン運送と書かれていた。
「お二人には街の中の荷運びをお願いします。この街の出身者ではないですね?」
「はい。今日来たばかりです」
「分かりました。まずは近所の配達からお願いします。少しずつ住所を覚えていけば大丈夫です。荷物を傷めない様に気を付けてください」
青年は話しながら伝票を確認している。
「それじゃあ、これを持って奥のカウンターまで行ってください」
「分かりました」
伝票を受け取って奥へ行くと、カウンターにはスキンヘッドの大男が待っていた。
「新人だな?荷物は落とさない様に気をつけるんだぞ」
伝票を渡すと奥から封書を二通、小包を二つと街の地図を渡された。
「初めてだから急がなくていい。地図を見ながら確実に届けて来い」
「はい。行ってきます」
小包はそんなに重くないので一人で運べそうだ。芽依には封書を持ってもらおう。
「地図の見方分かる?」
「大丈夫だよ。案内するね」
初めは近所だったのですぐに届け先も見つかった。戻ってくる度に少しずつ離れた所への配達を用意してくれていて、地図を見ながら確実に配達をこなしていった。
十往復もしたら日が沈み出したので切り上げる事に。
報酬は二人で四百エルズだった。
ただ荷物を運ぶだけにしては貰えた方ではないだろうか。
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