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養育

大会二日目

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エキシビジョンマッチは10分程度で終了した。

終わる頃には観客は大盛り上がりで、決勝戦よりも歓声が大きかったのではないだろうか。

戻ってきた芽依は満足した様子で笑顔を向けてくる。

「二人とも凄かったわ。お疲れ様」
「たのしかった!」
「少しやり過ぎてしまったみたいだね。ごめん母さん」
「二人に怪我が無ければいいのよ」

怪我も無く楽しかったならそれでいい。

「アルザハーン、子供達の為に時間を作ってくれてありがとう」
「いいえ!私の方こそ素晴らしいものを見させていただきました。観衆も喜んでおりますよ」

観客はほぼ全員、颯太と芽依に惜しみない拍手をしてくれていた。
二人は観客に手を振って応えている。

これで一日目は終了。

今晩は城でパーティが催されるそうで、私達も招待を受けていた。

一度屋敷に帰り湯浴みを済ませてドレスに着替える。
私は白藍色、芽依は薄桃色のドレスに身を包み馬車で城へ。

パーティは王族や貴族、大会の関係者に今大会で上位だった者達が参加している。断っても良かったのだが、『メイ様の教育の為に是非行くべきです』とジョゼットに言われて参加する事に決めた。

皆の前でアルザハーンが簡単な挨拶をして、私達を紹介してくれる。

颯太と芽依はエキシビジョンマッチで一躍有名人だ。流石に芽依に勧誘は来なかったが、颯太には『是非騎士団にお越し下さい』や『魔法兵団の顧問になってもらえませんか?』と、様々な人が群がって来ていた。

困った様子でこちらを見てくる颯太にニコリと笑い掛け、芽依と一緒に飲み物を取りに行く。
あの子は少し人とコミュニケーションをとった方が良いだろうから暫く様子を見ていよう。

私の所にも貴族達が挨拶に来た。アルザハーンや弟のイルザハーンに世話になっている事を話しておいた。
また、建国の父ブランザハーンについて聞かれる事も多く、覚えている事を全て話した。

あとは明日の学生の部に芽依は出場するのかを聞かれたが、出場資格が無い事を説明しておいた。

芽依は沢山の人に声を掛けられていたが、物怖じせずにいつも通りに受け答えをしていた。

時間はあっという間に過ぎて、もう帰る時間だ。
アルザハーンの顔を立てる為にも来なければならなかったのだと後で気付いて少し申し訳なく思いつつ、颯太と芽依にとって良い経験になった事に満足して屋敷に戻った。

翌日、学生の部が開催される。
学生達は木剣での試合だ。審判がいて、五回以上の有効打もしくは一回の致命傷判定で勝負がつくらしい。致命傷判定は頭部や喉や胴体に深く入ったであろう攻撃が成立した場合に出るそうで、無論本当に刺したり強打はしない。それでも毎年重傷者が出るらしく、泉の水は学生達に使われる事が多い。

今回は私がいるので必要であれば水を出そう。

大会は重傷者が出る事も無く順調に進み、次は準決勝だ。
驚いた事にウェークが勝ち上がって来ていた。初等部生徒が準決勝まで勝ち上がって来たのは大会初らしく、皆が注目していた。

しかし対戦相手が悪かった。

相手は高等部生徒で前回大会の優勝者だった。力、技量、経験全てにおいてウェークに勝ち目はなく、善戦したものの敗退となった。
そして優勝はウェークを下した生徒。ウェークは3位で、大会史上初の快挙に大いに盛り上がった。

今日もエキシビジョンが行われる。
これは元々予定されていたもので、一般の部優勝者と学生の部優勝者の対戦だ。

対戦方式は大会同様の試合形式。ただし木剣で戦う事になっている。
戦闘能力に差がある為、一般の部の優勝者は十回以上の有効打か三回の致命傷判定を出さなければ勝ちにならないらしい。

良い勝負になるかと思いきや、一般の部の優勝者の騎士の圧勝。
実戦経験のある大人相手ではまるで歯が立たなかった。

「よく見ていたかいメイ。学生の優勝者がまるで子供扱いだったろう?年齢のレギュレーションが無いからってメイが一般の部に出るなんて無理なんだよ?」

颯太が膝の上にいる芽依に言い聞かせていた。

芽依ったら、そんな事を言っていたの?
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