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養育
補習授業
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呪文については本を読むだけなので簡単だ。記憶力も前世よりも格段に良いのでビッシリ書かれた呪文についても難なく覚える事が出来た。
「全部覚えました」
「ふむ。それでは試させてもらおう。儂が言う呪文を解読してみなさい」
「はい」
解読とは、属性や射程距離、持続などが加えられている呪文を言い当てるものだった。
十問程出されたけど、特に難しくもなく簡単に答えていく。
「素晴らしい……!全問正解だ!」
興奮しているフォルド。
「メイもおぼえたー」
「これくらいなら私も覚えられますね」
芽依とカナエも覚えられた様だ。
「ここでは実技が出来んから移動しよう」
そう言って実技棟に移動する。
今回は授業で使っている所ではなかった。
「ここは研究者が使用する実験棟だ。ここなら少々コントロールを間違っても破壊の心配はない」
そう言う事なら芽依でも大丈夫そうだ。
早速出力の低い呪文から試していく。
試していく内に適性のある属性と無い属性を比較してコントロールのし易さが全く違う事に気付いた。
芽依とカナエも呪文をしっかりと覚えていて次々と発動させていく。
物覚えが良くて、流石私の娘だと嬉しくなってしまった。
「おおお……何という魔力量だ。素晴らしい!」
フォルドは指導をするというより私達の行使する呪文を見ながら喜んでいるだけだ。
「ハルよ、お主は既に初等学校の域を遥かに超えておる。このまま儂の研究室に入らんか?」
「折角の申し出ですが遠慮させて貰います。私は自分の勉強をしに来た訳では無いので」
そう、私達は芽依の教育の為にここに来ているのだ。これ以上この子と離れ離れになるつもりはない。
「しかしお主の力は素晴らしい。儂の研究している魔法科学や魔導兵器の開発には必要なのだ。我らの発展の為にもどうか力を貸して貰えんだろうか?」
フォルドは何やら物騒なものを研究している様だ。
どんなものかは興味があるが……
「それこそお断りします。私は魔族の国に武力をもたらす為に来たわけではありません」
「そうか……残念だ」
意外とアッサリと引き下がってくれた。
「だがもし興味があるのなら研究室に来てもらって構わない。いつでも遊びに来なさい」
見学に行くくらいなら良いか。
「ありがとうございます。偶に覗かせてもらうと思います」
「メイもー!」
「うむうむ。メイちゃんもいつでも遊びにおいで」
両手を広げて無邪気に言う芽依の頭を撫でながら笑顔で答えるフォルド。
こうして見ると優しそうなお爺さんに見えるけど、目の光が老人のそれでは無い。
計算尽くでやっているのであれば要注意だ。
「先生、呪文学ではない相談をしても良いですか?」
「何だね?」
「クラウス先生の事ですが……」
それこそこのタイプの教師に話す意味は無いとも思うが、敢えて聞いてみることにした。
「確かにそれは問題かも知れんな。子供の才能はいつ開花するかは分からんものだ。初等教育でするべきでは無い」
ジョゼットが言っていた通り教育熱心ではある様だ。
「先生からクラウス先生に話していただく事は出来ないでしょうか?」
「分かった。話しておこう」
フォルドは快諾してくれた。
「ハル様、そろそろ帰りませんと」
ずっと静かについて来てくれていたジョゼットが声をかけてくれる。いいタイミングだ。
「おお、もう帰る時間か。教え甲斐のある生徒との時間はあっという間だな」
「今日はありがとうございました」
「うむ、儂も久し振りに楽しかったぞ」
そう言って笑顔を見せるフォルド。
「おじーちゃんありがとう!」
「うむ。メイちゃんもお母さんに似て良い才能を持っているね」
芽依は褒められた事が嬉しくて飛び跳ねて喜んでいた。
「それでは私達はこれで」
「気を付けて帰りなさい」
昨日より2時間ほど遅く、私達は学校を後にした。
「全部覚えました」
「ふむ。それでは試させてもらおう。儂が言う呪文を解読してみなさい」
「はい」
解読とは、属性や射程距離、持続などが加えられている呪文を言い当てるものだった。
十問程出されたけど、特に難しくもなく簡単に答えていく。
「素晴らしい……!全問正解だ!」
興奮しているフォルド。
「メイもおぼえたー」
「これくらいなら私も覚えられますね」
芽依とカナエも覚えられた様だ。
「ここでは実技が出来んから移動しよう」
そう言って実技棟に移動する。
今回は授業で使っている所ではなかった。
「ここは研究者が使用する実験棟だ。ここなら少々コントロールを間違っても破壊の心配はない」
そう言う事なら芽依でも大丈夫そうだ。
早速出力の低い呪文から試していく。
試していく内に適性のある属性と無い属性を比較してコントロールのし易さが全く違う事に気付いた。
芽依とカナエも呪文をしっかりと覚えていて次々と発動させていく。
物覚えが良くて、流石私の娘だと嬉しくなってしまった。
「おおお……何という魔力量だ。素晴らしい!」
フォルドは指導をするというより私達の行使する呪文を見ながら喜んでいるだけだ。
「ハルよ、お主は既に初等学校の域を遥かに超えておる。このまま儂の研究室に入らんか?」
「折角の申し出ですが遠慮させて貰います。私は自分の勉強をしに来た訳では無いので」
そう、私達は芽依の教育の為にここに来ているのだ。これ以上この子と離れ離れになるつもりはない。
「しかしお主の力は素晴らしい。儂の研究している魔法科学や魔導兵器の開発には必要なのだ。我らの発展の為にもどうか力を貸して貰えんだろうか?」
フォルドは何やら物騒なものを研究している様だ。
どんなものかは興味があるが……
「それこそお断りします。私は魔族の国に武力をもたらす為に来たわけではありません」
「そうか……残念だ」
意外とアッサリと引き下がってくれた。
「だがもし興味があるのなら研究室に来てもらって構わない。いつでも遊びに来なさい」
見学に行くくらいなら良いか。
「ありがとうございます。偶に覗かせてもらうと思います」
「メイもー!」
「うむうむ。メイちゃんもいつでも遊びにおいで」
両手を広げて無邪気に言う芽依の頭を撫でながら笑顔で答えるフォルド。
こうして見ると優しそうなお爺さんに見えるけど、目の光が老人のそれでは無い。
計算尽くでやっているのであれば要注意だ。
「先生、呪文学ではない相談をしても良いですか?」
「何だね?」
「クラウス先生の事ですが……」
それこそこのタイプの教師に話す意味は無いとも思うが、敢えて聞いてみることにした。
「確かにそれは問題かも知れんな。子供の才能はいつ開花するかは分からんものだ。初等教育でするべきでは無い」
ジョゼットが言っていた通り教育熱心ではある様だ。
「先生からクラウス先生に話していただく事は出来ないでしょうか?」
「分かった。話しておこう」
フォルドは快諾してくれた。
「ハル様、そろそろ帰りませんと」
ずっと静かについて来てくれていたジョゼットが声をかけてくれる。いいタイミングだ。
「おお、もう帰る時間か。教え甲斐のある生徒との時間はあっという間だな」
「今日はありがとうございました」
「うむ、儂も久し振りに楽しかったぞ」
そう言って笑顔を見せるフォルド。
「おじーちゃんありがとう!」
「うむ。メイちゃんもお母さんに似て良い才能を持っているね」
芽依は褒められた事が嬉しくて飛び跳ねて喜んでいた。
「それでは私達はこれで」
「気を付けて帰りなさい」
昨日より2時間ほど遅く、私達は学校を後にした。
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