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養育

呪文学

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次の日も同じ様に登校。一日だけだった筈の颯太もついて来た。

「母さんは別の教室に行くのだから、護衛がいた方が良いと思うよ」
「あら、私が魔族の子供達に遅れを取ると思っているの?」
「それは無いと思うけど、他にも色々あるかも知れないから。それに僕だけ家に留守番なんて退屈だよ」
「確かにそうね。颯太も一緒に授業を受ければいいんじゃない?」

颯太だけ屋敷に残していくのも可哀想ね。それなら私と同じクラスに編入してみたらどうだろう?

「僕は人間や魔族の文化に興味は無いよ。読み書きだけは覚えるけど」

その程度なら独学で充分だと言っていた。

颯太も賢い子だからね。

「メイが教えてあげる!」
「うん。ありがとう」

そう言う芽依は颯太の膝の上だ。外の景色を見たいからなのか、甘えん坊だからか……その両方の様ね。

ジョゼットは家族だけでいる時は礼儀作法について何も言わないでくれている。
ありがたい事だ。

『私もメイ様について文字を覚えていますよ。少しでも学んでみんなと差をつけちゃいますよ!』

カナエも一緒に勉強を楽しんでいるらしい。

楽しく話していたら学校にはすぐに着いてしまった。

芽依達と別れて私は初等魔法科教室へ。

「おはよう」
「おはようハルさん!昨日は助かっちゃった。今度何かお礼をさせてね」

教室に入る時に挨拶をしたらセシリアが挨拶を返してくれた。他のみんなもそれぞれ返事をしてくれる。

ツンツン頭の子と休憩時間に文句を言ってきた子は無反応。

まあ当然よね。

席について待っていたらクラウスが入ってきて点呼をとり始める。
欠席は無し。このまま授業が始まる様だ。

一時間目は魔法史。
魔法の成り立ちやこの国の歴史にも触れられている。
こういう事については全然知らないから面白い。
この世界に生まれてずっと勉強なんて無縁の環境にいたからか、或いは元々の出来が良いのか、学んだ事は簡単に記憶する事が出来た。

あっという間に一時間が過ぎて休憩時間。セシリアが話しかけてくる。

「さっき見ちゃったんだけど、ハルさん授業の内容を書き写したりしないの?」
「ええ。大体覚えられているから」
「そうなの……」

ビッシリと文字の書かれた紙束を持ってしょんぼりしているセシリア。
ああ、私が理解できずに困っていると思って自分の書いたものを見せてくれようとしていたのか。

「ありがとうセシリアさん。あなたは優しい子ね」

笑いかけると顔を赤くして紙束で覆ってしまった。

照れ屋さんなのね。

次の授業は呪文学。
魔法を具体的に発現するには呪文が必要で、その基礎を学ぶらしい。
これは実技棟で行う授業だった。

そして担当教師もクラウスではなく違う先生だった。

「全員おるかね?」

そう言って見渡している年配の男性、歳は六十くらいだろうか?銀髪ではなく白髪の様だ。

「君が編入生のハルだね?」
「はい。宜しくお願いします」
「儂はフォルドという。呪文学の講師だ。聞けばかなりの魔力と制御能力を有しておるそうだな。楽しみにしておるぞ」

クラウスから聞いたのだろう。随分と私に興味がありそうだったけど、まあ煙たがられるよりはいいだろう。

「では始めるぞ」

フォルドは呪文らしきものを詠唱していく。すると手の中から渦巻く炎が現れて大きくなっていく。

「魔法とは、単純に魔力を属性に変換してぶつけるだけのものでは無い。正しい呪文を唱える事で単調だった魔力変換をより複雑で大きなものに変える事が出来る」

渦巻く炎はかなり大きくなったいた。
そんなものを放ったら建物が壊れてしまうのではないだろうか?

フォルドは的目掛けてそれを解き放つ。
渦を巻く様に炎は飛んでいき的を粉々に吹き飛ばすとすぐに消えた。

「威力、形状、距離、持続時間、様々な情報を呪文の中に組み込む事が出来る」

つまり感覚でやっていた威力の調整が、呪文を使えばより正確に出来る様になるのか。

これは良い事を学べた。
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