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養育
初等学校への進級
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測定値はこの国の大魔導師と呼ばれる者であっても出せない数値だったらしい。
「ハルさんはどうやってその様な魔力を身につけたのですか?」
ルシアーナに訊かれたが私には分からない。
何せ精霊なのだから魔族とは違うのは当然。
「私は人間でも魔族でもありませんから。元々魔力が高いのでしょう」
「そうですか……」
ルシアーナは事前に私が精霊である事は聞かされていたのだろう。特に驚く事はなかった。
装置に興味を持った颯太とカナエも測定装置に触れていたが、私程の現象は起きなかった。
「僕たちの中では母さんが一番魔力が高いんだね」
「流石はハル様です!」
「おかーさんすごーい!」
家族に褒められると嬉しいものね。
「芽依もこれからもっと伸びるわよ」
そう言うと芽依は満面の笑顔で返事をする。
「それでハルさん、一つ提案があります」
ルシアーナが私に話しかける。
「ハルさんは字の読み書きができる様ですし、魔力の制御も問題ない様なので、上の学校に通っては如何でしょうか?」
「ありがたい申し出だけど、私は芽依の保護者として参加させていただいているつもりなので、この子と離れて学ぶ事は出来ないです」
元々一緒に入学するつもりはなかったのだ。私がこれ以上勉強する必要はないだろう。
「おかーさん、メイはへいきだよ!カナエちゃんもいるから!」
「はい。私が常についておりますのでご安心ください」
二人は後押しをしてくれる。
「母さん、メイの今後の事も考えて魔族の学校で色々学んでおくのも良いと思うよ」
「確かにそうね……」
颯太に言われて考え直す。私が先に色々な事を知っておけば、後で教える事が出来るだろう。
「メイさんも優秀ですし、直ぐに追い付くと思います。ハルさんはもっと実力を発揮できる場所で学ぶ事が大切だと思いますよ」
ルシアーナも後押しする。
「そうね……分かりました。上の学校に通わせてもらおうと思います」
「では早速手続きをして来ますね!」
ルシアーナはそう言って急いでどこかに行ってしまう。
私達はどうすれば良いのかしらね?
「食堂にいきましょう。私がご案内いたします」
ずっと後ろに控えていたジョゼットが案内してくれるそうだ。
彼女もこの学校に通っていたそうで、大体の施設の場所は分かるらしい。
食堂と言っても綺麗に装飾の施された貴族の館の様だった。
「いらっしゃいませ。三名様でございますね。ご案内致します」
「あの、四人なのだけど」
「私は指導役ですので数には数えられません。お気遣いありがとうございます」
ジョゼットは作法について教えに来ているので食事は取らないそうだ。
一緒に食事をしながら教えてくれれば良いと思うのだが、貴族の社会ではこれが当たり前なのだろう。
私達はザハーン達の好意でここに通わせてもらっているのだ。彼らの作法について何か言う資格はない。
言われるままに食事を摂らせてもらう。
学校の給食どころか、屋敷でとる食事に劣らない豪華なものだった。
作法面について、ジョゼットが丁寧に芽依と私に教えてくれる。芽依は一度言われた事は直ぐに理解して同じ間違いはしないので、ジョゼットも感心していた。
食事を終えて、学園内を散策してみる事に。
「メイちゃん!ハルちゃん!」
声を掛けてきたのは幼年学校の子達だった。
私も学友だから『ちゃん』よね。
「なあに?」
「一緒にお話ししよ?」
芽依は私の方を見てくる。
私は微笑み掛けながら頷くとパッと笑顔になって「いいよ!」と返事をしていた。
「メイちゃんはどこから来たの?」
「うーんと、森のむこうからだよ」
「そっかー!」
メイはみんなに囲まれて楽しそう。
「ハルちゃんの事をお母さんって言ってたけど、どう言う事?」
「おかーさんはおかーさんだよ」
「でも五つ位しか離れてないよね?」
……え?
子供達に言われて、近くの建物の窓に映った自分の姿を見直す。
自分では十四、五くらいには成長したと思っていたのだけど……
「ねえジョゼット、私は何歳くらいに見える?」
「はい、私の見立てでは十二歳くらいかと」
自分の外見年齢を見誤っていたのは私だった。
「ハルさんはどうやってその様な魔力を身につけたのですか?」
ルシアーナに訊かれたが私には分からない。
何せ精霊なのだから魔族とは違うのは当然。
「私は人間でも魔族でもありませんから。元々魔力が高いのでしょう」
「そうですか……」
ルシアーナは事前に私が精霊である事は聞かされていたのだろう。特に驚く事はなかった。
装置に興味を持った颯太とカナエも測定装置に触れていたが、私程の現象は起きなかった。
「僕たちの中では母さんが一番魔力が高いんだね」
「流石はハル様です!」
「おかーさんすごーい!」
家族に褒められると嬉しいものね。
「芽依もこれからもっと伸びるわよ」
そう言うと芽依は満面の笑顔で返事をする。
「それでハルさん、一つ提案があります」
ルシアーナが私に話しかける。
「ハルさんは字の読み書きができる様ですし、魔力の制御も問題ない様なので、上の学校に通っては如何でしょうか?」
「ありがたい申し出だけど、私は芽依の保護者として参加させていただいているつもりなので、この子と離れて学ぶ事は出来ないです」
元々一緒に入学するつもりはなかったのだ。私がこれ以上勉強する必要はないだろう。
「おかーさん、メイはへいきだよ!カナエちゃんもいるから!」
「はい。私が常についておりますのでご安心ください」
二人は後押しをしてくれる。
「母さん、メイの今後の事も考えて魔族の学校で色々学んでおくのも良いと思うよ」
「確かにそうね……」
颯太に言われて考え直す。私が先に色々な事を知っておけば、後で教える事が出来るだろう。
「メイさんも優秀ですし、直ぐに追い付くと思います。ハルさんはもっと実力を発揮できる場所で学ぶ事が大切だと思いますよ」
ルシアーナも後押しする。
「そうね……分かりました。上の学校に通わせてもらおうと思います」
「では早速手続きをして来ますね!」
ルシアーナはそう言って急いでどこかに行ってしまう。
私達はどうすれば良いのかしらね?
「食堂にいきましょう。私がご案内いたします」
ずっと後ろに控えていたジョゼットが案内してくれるそうだ。
彼女もこの学校に通っていたそうで、大体の施設の場所は分かるらしい。
食堂と言っても綺麗に装飾の施された貴族の館の様だった。
「いらっしゃいませ。三名様でございますね。ご案内致します」
「あの、四人なのだけど」
「私は指導役ですので数には数えられません。お気遣いありがとうございます」
ジョゼットは作法について教えに来ているので食事は取らないそうだ。
一緒に食事をしながら教えてくれれば良いと思うのだが、貴族の社会ではこれが当たり前なのだろう。
私達はザハーン達の好意でここに通わせてもらっているのだ。彼らの作法について何か言う資格はない。
言われるままに食事を摂らせてもらう。
学校の給食どころか、屋敷でとる食事に劣らない豪華なものだった。
作法面について、ジョゼットが丁寧に芽依と私に教えてくれる。芽依は一度言われた事は直ぐに理解して同じ間違いはしないので、ジョゼットも感心していた。
食事を終えて、学園内を散策してみる事に。
「メイちゃん!ハルちゃん!」
声を掛けてきたのは幼年学校の子達だった。
私も学友だから『ちゃん』よね。
「なあに?」
「一緒にお話ししよ?」
芽依は私の方を見てくる。
私は微笑み掛けながら頷くとパッと笑顔になって「いいよ!」と返事をしていた。
「メイちゃんはどこから来たの?」
「うーんと、森のむこうからだよ」
「そっかー!」
メイはみんなに囲まれて楽しそう。
「ハルちゃんの事をお母さんって言ってたけど、どう言う事?」
「おかーさんはおかーさんだよ」
「でも五つ位しか離れてないよね?」
……え?
子供達に言われて、近くの建物の窓に映った自分の姿を見直す。
自分では十四、五くらいには成長したと思っていたのだけど……
「ねえジョゼット、私は何歳くらいに見える?」
「はい、私の見立てでは十二歳くらいかと」
自分の外見年齢を見誤っていたのは私だった。
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