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新しい時代
生存
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魔族の軍を壊滅させ、一時の平穏を得る事が出来た。
このまま魔族の国へ攻め入ろうという意見も多く上がったが、私は泉とその周りに住まう者を守りたいだけなのだ。更なる攻撃が来ないのなら、こちらから攻め入る必要も無いだろう。
万が一更に攻め入ってくる様ならその時は国を滅ぼそう。
加勢してくれた多くの種族が、泉のある高地ではなく、周囲の平地に住みたいと願い出ていた。
高地以外の土地は私達のものとは認識していないので、「好きに使って」と伝えておいた。
それから彼らに言い伝えの事を聞いてみた。
どの種族も泉の精を護る様に伝えられていた。それから『人間族は簡単に信用してはいけない』と、『魔力を持つ宝石の様な石には触れるな』という二つは全ての種族に伝えられていた。
「輝く綺麗な石とは戦った事があります」
全ての種族の代表を集めて話を聞いていた時、今代のヨキが話してくれた。
「それはいつ、何処で?」
「ほんの一年前です。ゴブリン達の身体に石が埋まり込む病気がありました。伝承にあった綺麗な宝石の様でしたので、すぐに対処致しました。ただ、ゴブリンの身体を乗っ取ったあの石は強く、周囲に暮らす他種族をも巻き込んだ大きな戦いになりました」
それが今ここにいる全て種族らしい。
彼らは協力して、増え続ける石に乗っ取られた者を何とか封じ込め、殲滅する事が出来たのだと言った。
あの石は大規模な雨を降らせたのでもう無いと思っていたが、大規模な地殻変動が起こる前に海底だった所に有ったのだろうか?
或いはあの巨大隕石に混じっていたのか。
「あれは危険なものよ。よく滅する事ができたわね」
「決して簡単ではありませんでした。多くを犠牲にして、ようやくでした」
ゴブリンは千人近くを失い、コボルトも半数が命を落としたと言っていた。
それはもう大変な戦いだったのだろう。
「戦いが終わってから、我らは話し合いました。『今こそ精霊様の元へ行く時ではないか』と」
未曾有の脅威に晒されて、このままでは各種族の存続も危ぶまれたのだろう。
住み慣れた土地を離れ、泉を目指して移動する事にした。
「そこで偶然、魔族と戦われているのを見つけ、助太刀させていただきました」
「長い旅路を経て、さぞ疲れていたでしょうに……本当にありがとう」
「いえ、我らは今日この時、精霊様を救う為に生きていたのだと思い、奮い立ちました」
「あなた達にはお礼をしなければならないわね。何か私に出来る事はあるかしら?」
族長達は互いに顔を見合わせ、頷いていた。
「ならば我らを眷属にお加えください。必ずや精霊様のお役に立ちましょう」
「分かったわ。明日から全員に眷属の契約を結びます」
私の返事を聞いて喜ぶ族長達。
「ありがとうございます。眷属にしていただきましたら、我らは一旦ここを離れます」
「あら、どうして?」
「あれだけの人数を養うには一つの所に止まる事は出来ません。一度小単位の群れに分かれて各地で自給致します」
彼らは食料事情についてもしっかりと考えていた。
「分かったわ。皆が戻るまでに、平原を豊かな森に変えておきましょう」
彼らが不自由なく暮らせる様に広大な森を作ろう。
「精霊様、この度は我が同胞の暴挙を制してくださりありがとうございました」
改めてブランハザーンが謝罪と感謝を伝えてくる。
「結果はあちらの壊滅で終わったけれど、あなたは良かったの?」
「ええ、精霊様とその眷属様達がご無事で何よりでした」
「あなた達はこれからどうするの?」
「我らは国には戻らず、新しい村を作ります」
彼らは東の平原の隅に村を作るつもりだと話していた。
「分かりました。あなた達も眷属と認めましょう」
「我らにまで……恐悦至極にございます」
魔族のかつての王はそう言って平伏していた。
このまま魔族の国へ攻め入ろうという意見も多く上がったが、私は泉とその周りに住まう者を守りたいだけなのだ。更なる攻撃が来ないのなら、こちらから攻め入る必要も無いだろう。
万が一更に攻め入ってくる様ならその時は国を滅ぼそう。
加勢してくれた多くの種族が、泉のある高地ではなく、周囲の平地に住みたいと願い出ていた。
高地以外の土地は私達のものとは認識していないので、「好きに使って」と伝えておいた。
それから彼らに言い伝えの事を聞いてみた。
どの種族も泉の精を護る様に伝えられていた。それから『人間族は簡単に信用してはいけない』と、『魔力を持つ宝石の様な石には触れるな』という二つは全ての種族に伝えられていた。
「輝く綺麗な石とは戦った事があります」
全ての種族の代表を集めて話を聞いていた時、今代のヨキが話してくれた。
「それはいつ、何処で?」
「ほんの一年前です。ゴブリン達の身体に石が埋まり込む病気がありました。伝承にあった綺麗な宝石の様でしたので、すぐに対処致しました。ただ、ゴブリンの身体を乗っ取ったあの石は強く、周囲に暮らす他種族をも巻き込んだ大きな戦いになりました」
それが今ここにいる全て種族らしい。
彼らは協力して、増え続ける石に乗っ取られた者を何とか封じ込め、殲滅する事が出来たのだと言った。
あの石は大規模な雨を降らせたのでもう無いと思っていたが、大規模な地殻変動が起こる前に海底だった所に有ったのだろうか?
或いはあの巨大隕石に混じっていたのか。
「あれは危険なものよ。よく滅する事ができたわね」
「決して簡単ではありませんでした。多くを犠牲にして、ようやくでした」
ゴブリンは千人近くを失い、コボルトも半数が命を落としたと言っていた。
それはもう大変な戦いだったのだろう。
「戦いが終わってから、我らは話し合いました。『今こそ精霊様の元へ行く時ではないか』と」
未曾有の脅威に晒されて、このままでは各種族の存続も危ぶまれたのだろう。
住み慣れた土地を離れ、泉を目指して移動する事にした。
「そこで偶然、魔族と戦われているのを見つけ、助太刀させていただきました」
「長い旅路を経て、さぞ疲れていたでしょうに……本当にありがとう」
「いえ、我らは今日この時、精霊様を救う為に生きていたのだと思い、奮い立ちました」
「あなた達にはお礼をしなければならないわね。何か私に出来る事はあるかしら?」
族長達は互いに顔を見合わせ、頷いていた。
「ならば我らを眷属にお加えください。必ずや精霊様のお役に立ちましょう」
「分かったわ。明日から全員に眷属の契約を結びます」
私の返事を聞いて喜ぶ族長達。
「ありがとうございます。眷属にしていただきましたら、我らは一旦ここを離れます」
「あら、どうして?」
「あれだけの人数を養うには一つの所に止まる事は出来ません。一度小単位の群れに分かれて各地で自給致します」
彼らは食料事情についてもしっかりと考えていた。
「分かったわ。皆が戻るまでに、平原を豊かな森に変えておきましょう」
彼らが不自由なく暮らせる様に広大な森を作ろう。
「精霊様、この度は我が同胞の暴挙を制してくださりありがとうございました」
改めてブランハザーンが謝罪と感謝を伝えてくる。
「結果はあちらの壊滅で終わったけれど、あなたは良かったの?」
「ええ、精霊様とその眷属様達がご無事で何よりでした」
「あなた達はこれからどうするの?」
「我らは国には戻らず、新しい村を作ります」
彼らは東の平原の隅に村を作るつもりだと話していた。
「分かりました。あなた達も眷属と認めましょう」
「我らにまで……恐悦至極にございます」
魔族のかつての王はそう言って平伏していた。
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