55 / 453
新しい時代
エルフ
しおりを挟む
エルフの子供達4人は私の所で保護する事になった。
全員女の子かと思ったら一番下の子は男の子だった。
上から、九歳のアルカ、八才のフェイ、六歳のリリア、五歳のイル。
全員私の眷属として認め、泉の水や世界樹の実を与えて育てていた。
泉の小屋なら四人増えても充分生活できる。ここで生活しながらアインに教わった手仕事を覚えさせ、自分達に必要な物を作る事を教えていった。
どうやらエルフというのは成長がかなり遅いらしく、二十年程経ってようやくイルが私と同じくらいの身長になった。
他の子達も同じ位に見える。
そういえば私は全然成長していない気がするけど、まさかずっとこのままなのだろうか?
別段困る事がある訳ではないので構わないけど。
「アルカ達エルフは西方から栖を追われて来たと聞いているけど、そこにはどんな者が住んでいたの?」
「私達エルフ族と同じ位の身長の者で、頭にツノが生えていました」
頭にツノ?オーガーには生えていたわね。でも彼らはもっとずっと大きかった。
どうやら見たことのない生き物なのだろう。
「他に特徴はある?」
「私達よりも魔法が得意で力も強いと聞いてました」
魔法……石に操られていて使用しているのではなければ問題ないだろう。もしもこちらにくる様な事があれば、相手の出方次第では戦闘になるかも知れない。この子達にも魔法を教えておいた方が良いだろう。
カナエに相談して、これからは魔法の訓練もやっていくことになった。
あれ以降、北の山に住んでいるエルフ達も大人しく生活している。私が聞きたい事はトコヤミを通じて聞いてもらっていた。
ある日の夜、皆が集まった所でトコヤミが聞いてきた情報を確認する。
アルカが言っていたツノのある生き物はエルフ達の間では魔族と呼ばれていたらしい。
そして彼らエルフは人間に会った事があると言っていたそうだ。
人間はエルフを仲間として迎え入れてくれたのだが、魔族との争いが激化して、付近にいた人間は集落を捨てて遠くに逃げていったらしい。
アインの事を聞きたかったが、人間はかなりの数だったそうで、容姿や名前を教えても分かりそうになかった。
『どうやらその人間という種族はかなりの人数だったそうで、二、三千人はいたらしいです』
「そんなにいるのか……」
トコヤミの説明を聞いて驚く颯太。私も驚いていた。
「魔族というのは、その規模の人間を追い払う程の力があるということね」
『その様です』
人間だって知恵が回る分弱くはないだろう。魔族については今後、警戒しておく必要がある。
「ヤトには西側の警戒を強めてもらわないとね」
『畏まりました』
「それから人間が接触してくるかも知れないわ。明らかな敵対をしてこない限り攻撃しない事」
『御意』『分かりました』
こんな所だろうか。
何事も起こらなければ子供達の教育に専念していきたい所だ。
☆★☆★☆★☆★
あれから更に月日が流れ……
エルフの子供達はもうすっかり大人らしくなっていた。
今では森の見回りにも参加する様になっていて、魔法もかなり上達した。それから北のエルフから弓を教わって使えるようになっている。
そう足は早くないので、ケリュネイアとコンビを組んで遠くまで見回りに出てくれている。
『ハル様』
やって来たのはヤト。泉の近くの穴から少しだけ頭を出している。
「どうしたの?」
『魔族と思われる集団がこちらに向かって来ています』
とうとう来たか。
「どんな様子?」
『アンヴァールに乗って移動している者が三十人、全員武装しています』
「分かりました。私が出向きましょう」
「僕も行くよ」
自分と颯太に実体化を掛けて私はギョクリュウに、颯太はカクカミに乗って移動する。
高地から降りた西の平原、三十人の魔族達は、森に入る前で待っていた。
全員女の子かと思ったら一番下の子は男の子だった。
上から、九歳のアルカ、八才のフェイ、六歳のリリア、五歳のイル。
全員私の眷属として認め、泉の水や世界樹の実を与えて育てていた。
泉の小屋なら四人増えても充分生活できる。ここで生活しながらアインに教わった手仕事を覚えさせ、自分達に必要な物を作る事を教えていった。
どうやらエルフというのは成長がかなり遅いらしく、二十年程経ってようやくイルが私と同じくらいの身長になった。
他の子達も同じ位に見える。
そういえば私は全然成長していない気がするけど、まさかずっとこのままなのだろうか?
別段困る事がある訳ではないので構わないけど。
「アルカ達エルフは西方から栖を追われて来たと聞いているけど、そこにはどんな者が住んでいたの?」
「私達エルフ族と同じ位の身長の者で、頭にツノが生えていました」
頭にツノ?オーガーには生えていたわね。でも彼らはもっとずっと大きかった。
どうやら見たことのない生き物なのだろう。
「他に特徴はある?」
「私達よりも魔法が得意で力も強いと聞いてました」
魔法……石に操られていて使用しているのではなければ問題ないだろう。もしもこちらにくる様な事があれば、相手の出方次第では戦闘になるかも知れない。この子達にも魔法を教えておいた方が良いだろう。
カナエに相談して、これからは魔法の訓練もやっていくことになった。
あれ以降、北の山に住んでいるエルフ達も大人しく生活している。私が聞きたい事はトコヤミを通じて聞いてもらっていた。
ある日の夜、皆が集まった所でトコヤミが聞いてきた情報を確認する。
アルカが言っていたツノのある生き物はエルフ達の間では魔族と呼ばれていたらしい。
そして彼らエルフは人間に会った事があると言っていたそうだ。
人間はエルフを仲間として迎え入れてくれたのだが、魔族との争いが激化して、付近にいた人間は集落を捨てて遠くに逃げていったらしい。
アインの事を聞きたかったが、人間はかなりの数だったそうで、容姿や名前を教えても分かりそうになかった。
『どうやらその人間という種族はかなりの人数だったそうで、二、三千人はいたらしいです』
「そんなにいるのか……」
トコヤミの説明を聞いて驚く颯太。私も驚いていた。
「魔族というのは、その規模の人間を追い払う程の力があるということね」
『その様です』
人間だって知恵が回る分弱くはないだろう。魔族については今後、警戒しておく必要がある。
「ヤトには西側の警戒を強めてもらわないとね」
『畏まりました』
「それから人間が接触してくるかも知れないわ。明らかな敵対をしてこない限り攻撃しない事」
『御意』『分かりました』
こんな所だろうか。
何事も起こらなければ子供達の教育に専念していきたい所だ。
☆★☆★☆★☆★
あれから更に月日が流れ……
エルフの子供達はもうすっかり大人らしくなっていた。
今では森の見回りにも参加する様になっていて、魔法もかなり上達した。それから北のエルフから弓を教わって使えるようになっている。
そう足は早くないので、ケリュネイアとコンビを組んで遠くまで見回りに出てくれている。
『ハル様』
やって来たのはヤト。泉の近くの穴から少しだけ頭を出している。
「どうしたの?」
『魔族と思われる集団がこちらに向かって来ています』
とうとう来たか。
「どんな様子?」
『アンヴァールに乗って移動している者が三十人、全員武装しています』
「分かりました。私が出向きましょう」
「僕も行くよ」
自分と颯太に実体化を掛けて私はギョクリュウに、颯太はカクカミに乗って移動する。
高地から降りた西の平原、三十人の魔族達は、森に入る前で待っていた。
2
お気に入りに追加
433
あなたにおすすめの小説
愛されイージーモードはサービスを終了しました。ただいまより、嫌われハードモードを開始します。
夕立悠理
恋愛
ベルナンデ・ユーズには前世の記憶がある。
そして、前世の記憶によると、この世界は乙女ゲームの世界で、ベルナンデは、この世界のヒロインだった。
蝶よ花よと愛され、有頂天になっていたベルナンデは、乙女ゲームのラストでメインヒーロ―である第一王子のラウルに告白されるも断った。
しかし、本来のゲームにはない、断るという選択をしたせいか、ベルナンデにだけアナウンスが聞こえる。
『愛されイージーモードはサービスを終了しました。ただいまより、嫌われハードモードを開始します』
そのアナウンスを最後に、ベルナンデは意識を失う。
次に目を覚ました時、ベルナンデは、ラウルの妃になっていた。
なんだ、ラウルとのハッピーエンドに移行しただけか。
そうほっとしたのもつかの間。
あんなに愛されていたはずの、ラウルはおろか、攻略対象、使用人、家族、友人……みんなから嫌われておりー!?
※小説家になろう様が一番早い(予定)です
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
不死の大日本帝國軍人よ、異世界にて一層奮励努力せよ
焼飯学生
ファンタジー
1945年。フィリピンにて、大日本帝国軍人八雲 勇一は、連合軍との絶望的な戦いに挑み、力尽きた。
そんな勇一を気に入った異世界の創造神ライラーは、勇一助け自身の世界に転移させることに。
だが、軍人として華々しく命を散らし、先に行ってしまった戦友達と会いたかった勇一は、その提案をきっぱりと断った。
勇一に自身の提案を断られたことに腹が立ったライラーは、勇一に不死の呪いをかけた後、そのまま強制的に異世界へ飛ばしてしまった。
異世界に強制転移させられてしまった勇一は、元の世界に戻るべく、異世界にて一層奮励努力する。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
農民の少年は混沌竜と契約しました
アルセクト
ファンタジー
極々普通で特にこれといった長所もない少年は、魔法の存在する世界に住む小さな国の小さな村の小さな家の農家の跡取りとして過ごしていた
少年は15の者が皆行う『従魔召喚の儀』で生活に便利な虹亀を願ったはずがなんの間違えか世界最強の生物『竜』、更にその頂点である『混沌竜』が召喚された
これはそんな極々普通の少年と最強の生物である混沌竜が送るノンビリハチャメチャな物語
【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する
影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。
※残酷な描写は予告なく出てきます。
※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。
※106話完結。
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる