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新しい時代
竜
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泉の畔でみんなと話をしていたら大きな影が陽の光をさえぎった。
バサバサと羽ばたく音、それは泉の上から声を掛けてきた。
『この泉は我が頂く。精霊よ我に仕えよ』
それはシグルーンと同じ種族、竜だった。全身漆黒の鱗に覆われた竜は私に仕えろと言ってきている。
『無礼者!!』
『今すぐ泉から離れろ!』
『不遜な者め!二度とその様な口が聞けぬ様に顎を消し飛ばしてくれる!』
私が止めるより早く、カクカミが巨大な雷を落とし、メトが周りの空気まで燃えそうな高温の大火球を、ヤトが地面から槍の様に尖らせた石を次々と生み出して放っていた。
『なにぃっ!?ぐわあぁぁぁっっ!!』
全ての魔法がぶつかり大爆発に飲み込まれる竜。爆煙が私達の所までやってきたが、颯太が私を抱き寄せて守ってくれた。
『おのれ下等生物ども!よくも私に傷を負わせたな!!大人しく軍門に降れば死なずに済んだものを、今すぐに消し済みにしてくれる!』
竜は健在だった。身体中の鱗を焦され黒煙を上げながら怒り狂っていた。
大きく口を開くと、喉の奥に光が見える。何かを吐き出すつもりだ。
あれは……!
「おやめなさい!これ以上ここを荒らす事は許しません!」
氷の塊を精製して大きく開けられた口に目掛けて放つ。
口の中の光が収束し、放たれる直前に氷塊が喉に命中し、爆発した。
面食らっている竜に追い討ちを掛ける。
私は両手に光を収束させて左右の翼に撃ち放つ。光線は翼を切り裂いて、竜は泉に落下した。
少しやり過ぎだろうか?しかしあれを放たれたらここにいる皆が怪我をしてしまう。それは許さない。
「安心なさい。この泉には傷を癒す効果があります。すぐに良くなるけど、あなたがまだ戦うと言うなら私も何度でもあなたを攻撃します」
「君がまだ抵抗するなら、今度は僕とカナエも加わるから次は死ぬかもしれないよ。覚悟して決めるんだ」
私の警告に颯太が付け加える。カナエは既に風の魔法を準備している。
『ま、参りました……!どうか命だけはお許しを』
ある程度傷が再生して声が出せる様になったのだろう、慌てて降参する竜。
「まずあなたは何故この泉を奪おうと思ったの?」
『はい……先日北の山脈を根城に決めたのですが、南側にはとてつもない効果をもつ泉があると聞いて、それを我がものにしようとやって来ました』
どうやら北の山に棲み着いた竜で間違いないらしい。
『傷が癒えたのなら泉から出て謝罪をせよ。我らは貴様の無礼を許してはいない』
カクカミが鼻を鳴らしながら言っている。今にも襲いかかりそうな剣幕だ。
『すぐに出ます……』
そう言うと、よたよたと泉から這い上がり畔で仰向けに転がった。
「……何の真似ですか?」
『我らの降伏の仕草です。泉の精霊様に服従するとお誓い致します』
カナエに聞かれて怯えながら答える黒い竜。何だか犬みたいね。
「分かりました。まずは互いに話をしましょう。私は泉の精霊のハル。あなたは何と名乗っているの?」
『は、我はドラゴン。鱗の色からブラックドラゴンと同種から言われておりました』
他にも竜がいるのね。
「あなたと同じ種族の者はどれくらいいるの?」
私は彼から竜族について詳しく聞くことにした。
竜族はここよりずっと北側にある湿地帯に棲んでいたらしく、数が増えたことにより食糧が不足して何体かの竜は住処を追われてしまったらしい。
彼が住処を出る頃には二、三十頭の竜がいた様だ。
『済んでる所を追い出されて来ただけの癖によくもまああんな事を言えたね』
黒竜を睨みながらメトが言う。
『申し訳ありませんでした』
「まあまあ、今は反省しているので許してあげましょう。北の山で大人しく暮らすのなら私は何も言いません。約束できますか?」
『はい!お約束致します!』
黒竜は元気よく返事をした。
バサバサと羽ばたく音、それは泉の上から声を掛けてきた。
『この泉は我が頂く。精霊よ我に仕えよ』
それはシグルーンと同じ種族、竜だった。全身漆黒の鱗に覆われた竜は私に仕えろと言ってきている。
『無礼者!!』
『今すぐ泉から離れろ!』
『不遜な者め!二度とその様な口が聞けぬ様に顎を消し飛ばしてくれる!』
私が止めるより早く、カクカミが巨大な雷を落とし、メトが周りの空気まで燃えそうな高温の大火球を、ヤトが地面から槍の様に尖らせた石を次々と生み出して放っていた。
『なにぃっ!?ぐわあぁぁぁっっ!!』
全ての魔法がぶつかり大爆発に飲み込まれる竜。爆煙が私達の所までやってきたが、颯太が私を抱き寄せて守ってくれた。
『おのれ下等生物ども!よくも私に傷を負わせたな!!大人しく軍門に降れば死なずに済んだものを、今すぐに消し済みにしてくれる!』
竜は健在だった。身体中の鱗を焦され黒煙を上げながら怒り狂っていた。
大きく口を開くと、喉の奥に光が見える。何かを吐き出すつもりだ。
あれは……!
「おやめなさい!これ以上ここを荒らす事は許しません!」
氷の塊を精製して大きく開けられた口に目掛けて放つ。
口の中の光が収束し、放たれる直前に氷塊が喉に命中し、爆発した。
面食らっている竜に追い討ちを掛ける。
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少しやり過ぎだろうか?しかしあれを放たれたらここにいる皆が怪我をしてしまう。それは許さない。
「安心なさい。この泉には傷を癒す効果があります。すぐに良くなるけど、あなたがまだ戦うと言うなら私も何度でもあなたを攻撃します」
「君がまだ抵抗するなら、今度は僕とカナエも加わるから次は死ぬかもしれないよ。覚悟して決めるんだ」
私の警告に颯太が付け加える。カナエは既に風の魔法を準備している。
『ま、参りました……!どうか命だけはお許しを』
ある程度傷が再生して声が出せる様になったのだろう、慌てて降参する竜。
「まずあなたは何故この泉を奪おうと思ったの?」
『はい……先日北の山脈を根城に決めたのですが、南側にはとてつもない効果をもつ泉があると聞いて、それを我がものにしようとやって来ました』
どうやら北の山に棲み着いた竜で間違いないらしい。
『傷が癒えたのなら泉から出て謝罪をせよ。我らは貴様の無礼を許してはいない』
カクカミが鼻を鳴らしながら言っている。今にも襲いかかりそうな剣幕だ。
『すぐに出ます……』
そう言うと、よたよたと泉から這い上がり畔で仰向けに転がった。
「……何の真似ですか?」
『我らの降伏の仕草です。泉の精霊様に服従するとお誓い致します』
カナエに聞かれて怯えながら答える黒い竜。何だか犬みたいね。
「分かりました。まずは互いに話をしましょう。私は泉の精霊のハル。あなたは何と名乗っているの?」
『は、我はドラゴン。鱗の色からブラックドラゴンと同種から言われておりました』
他にも竜がいるのね。
「あなたと同じ種族の者はどれくらいいるの?」
私は彼から竜族について詳しく聞くことにした。
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黒竜を睨みながらメトが言う。
『申し訳ありませんでした』
「まあまあ、今は反省しているので許してあげましょう。北の山で大人しく暮らすのなら私は何も言いません。約束できますか?」
『はい!お約束致します!』
黒竜は元気よく返事をした。
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