50 / 453
新しい時代
交流
しおりを挟む
「あなたが長なら私の加護を与えましょう」
そう伝えると興奮した様子で後ろ足で立ち上がっていた。
『ありがたき幸せ!』
「そうね……あなたはギョクリュウよ」
白い馬で思い浮かぶのはあまり無くて、思い浮かぶのは芦毛の競走馬ばかりだった。白ならこれが一番しっくりくるわ。
『おお……!力が漲る!!』
「あなたのその力は仲間を守る為に使いなさい」
『ありがとうございます!』
ギョクリュウは大きく嘶くと喜んで走って行った。
私が名前を与えるとみんな同じ様に喜んでくれる。
ギョクリュウは少し喜びすぎかしら、転んで怪我をしなければ良いのだけど。
と、ギョクリュウはすぐに戻って来た。
「どうかしたのかい?」
『あの……』
その姿の変わり様に戸惑っているのだろう。私にもすぐに分かった。
『何だか頭が重いのですが……』
そう言うギョクリュウの頭には一本の角が生えていた。
ケリュネイア達とは違う、真っ直ぐの綺麗に整った長い円錐形の角だった。
「あらまあ大変……痛くはない?」
『はい。何だか重たいだけで特には大丈夫です』
痛くはないのなら良いのだけど、そんな所にツノが生えていたらうっかり何かを刺してしまいそうね。
観察していたら種族名がアンヴァールからユニコーンになっていた。
アンヴァールの長なのに種族が変わってしまったら良くないのではないだろうか?
ギョクリュウにはその事を伝えておく。
『大変光栄な事です。精霊様に名を頂いて、新たな種族になったのですから』
「他の者は受け入れてくれるかしら?」
『もし拒絶される様なら新しい長を立てて群れから離れます』
「もしもそうなってしまったら私の所にいらっしゃい。歓迎するわ」
『ありがとうございます!一度群れに戻ります!』
そう言うと物凄い勢いで走り去って行った。
「彼は自分から群れを去るんじゃないかな?」
ギョクリュウを見送ってから颯太が言う。
「どうして?」
「今の様子だと母さんのそばに居たそうだったから」
「あら……それは困ったわね」
仲間が受け入れてくれるのなら一緒に居てもらいたいのだけど。
「ギョクリュウの意志を尊重してあげましょう」
「母さんは優しいね」
結局、ギョクリュウは群れを出て私達の所に来てしまった。
『今日より全身全霊をもってお仕えさせていただきます!』
「分かったわ。でも、そんなに力まなくていいのよ。家族として一緒に暮らしましょう」
『ありがとうございます!』
そこへ見回りを済ませたカクカミが戻ってくる。
『ただいま戻りました。北側に異常はありません。……何ですかそのおかしなツノの生えた生き物は?』
『私はギョクリュウ。ハル様に名前をいただき、お仕えする事を許された者だ。お前の方こそ何だその変なツノは』
おや?何だか雰囲気が良くないわ。
二頭は真正面から睨み合っている。
『私はカクカミ。このツノはハル様にお名前を頂いた時に賜ったものだ。愚弄する事は許さんぞ!』
「二人とも喧嘩はおよしなさい。これからは家族なのだから仲良くしなくては駄目よ」
『『失礼致しました』』
私の方を向いて頭を下げる二頭。
意味もなく仲が悪い間柄というのは動物間にもあるね。
その後、メト、ヤト、カナエも戻って来たので全員に紹介する。
カクカミの時の様に喧嘩にはならなかったが、メトとヤトに対してはかなり怯えた様子だった。
「ギョクリュウも走るのは得意そうだから南の平原の見回りをお願いするわね」
『承りました』
『ふん、精々頑張る事だ。はしゃぎ過ぎてそのおかしなツノを折らぬ様にな』
『貴様こそ森の中でツタに絡まらぬ様に注意しろよ』
睨み合う二頭。
まあ、喧嘩腰だけど違いの事を気遣って言っている面もあるので何も言わないでおこう。
そしてもう一頭。
それは空からやって来た。
そう伝えると興奮した様子で後ろ足で立ち上がっていた。
『ありがたき幸せ!』
「そうね……あなたはギョクリュウよ」
白い馬で思い浮かぶのはあまり無くて、思い浮かぶのは芦毛の競走馬ばかりだった。白ならこれが一番しっくりくるわ。
『おお……!力が漲る!!』
「あなたのその力は仲間を守る為に使いなさい」
『ありがとうございます!』
ギョクリュウは大きく嘶くと喜んで走って行った。
私が名前を与えるとみんな同じ様に喜んでくれる。
ギョクリュウは少し喜びすぎかしら、転んで怪我をしなければ良いのだけど。
と、ギョクリュウはすぐに戻って来た。
「どうかしたのかい?」
『あの……』
その姿の変わり様に戸惑っているのだろう。私にもすぐに分かった。
『何だか頭が重いのですが……』
そう言うギョクリュウの頭には一本の角が生えていた。
ケリュネイア達とは違う、真っ直ぐの綺麗に整った長い円錐形の角だった。
「あらまあ大変……痛くはない?」
『はい。何だか重たいだけで特には大丈夫です』
痛くはないのなら良いのだけど、そんな所にツノが生えていたらうっかり何かを刺してしまいそうね。
観察していたら種族名がアンヴァールからユニコーンになっていた。
アンヴァールの長なのに種族が変わってしまったら良くないのではないだろうか?
ギョクリュウにはその事を伝えておく。
『大変光栄な事です。精霊様に名を頂いて、新たな種族になったのですから』
「他の者は受け入れてくれるかしら?」
『もし拒絶される様なら新しい長を立てて群れから離れます』
「もしもそうなってしまったら私の所にいらっしゃい。歓迎するわ」
『ありがとうございます!一度群れに戻ります!』
そう言うと物凄い勢いで走り去って行った。
「彼は自分から群れを去るんじゃないかな?」
ギョクリュウを見送ってから颯太が言う。
「どうして?」
「今の様子だと母さんのそばに居たそうだったから」
「あら……それは困ったわね」
仲間が受け入れてくれるのなら一緒に居てもらいたいのだけど。
「ギョクリュウの意志を尊重してあげましょう」
「母さんは優しいね」
結局、ギョクリュウは群れを出て私達の所に来てしまった。
『今日より全身全霊をもってお仕えさせていただきます!』
「分かったわ。でも、そんなに力まなくていいのよ。家族として一緒に暮らしましょう」
『ありがとうございます!』
そこへ見回りを済ませたカクカミが戻ってくる。
『ただいま戻りました。北側に異常はありません。……何ですかそのおかしなツノの生えた生き物は?』
『私はギョクリュウ。ハル様に名前をいただき、お仕えする事を許された者だ。お前の方こそ何だその変なツノは』
おや?何だか雰囲気が良くないわ。
二頭は真正面から睨み合っている。
『私はカクカミ。このツノはハル様にお名前を頂いた時に賜ったものだ。愚弄する事は許さんぞ!』
「二人とも喧嘩はおよしなさい。これからは家族なのだから仲良くしなくては駄目よ」
『『失礼致しました』』
私の方を向いて頭を下げる二頭。
意味もなく仲が悪い間柄というのは動物間にもあるね。
その後、メト、ヤト、カナエも戻って来たので全員に紹介する。
カクカミの時の様に喧嘩にはならなかったが、メトとヤトに対してはかなり怯えた様子だった。
「ギョクリュウも走るのは得意そうだから南の平原の見回りをお願いするわね」
『承りました』
『ふん、精々頑張る事だ。はしゃぎ過ぎてそのおかしなツノを折らぬ様にな』
『貴様こそ森の中でツタに絡まらぬ様に注意しろよ』
睨み合う二頭。
まあ、喧嘩腰だけど違いの事を気遣って言っている面もあるので何も言わないでおこう。
そしてもう一頭。
それは空からやって来た。
3
お気に入りに追加
433
あなたにおすすめの小説
愛されイージーモードはサービスを終了しました。ただいまより、嫌われハードモードを開始します。
夕立悠理
恋愛
ベルナンデ・ユーズには前世の記憶がある。
そして、前世の記憶によると、この世界は乙女ゲームの世界で、ベルナンデは、この世界のヒロインだった。
蝶よ花よと愛され、有頂天になっていたベルナンデは、乙女ゲームのラストでメインヒーロ―である第一王子のラウルに告白されるも断った。
しかし、本来のゲームにはない、断るという選択をしたせいか、ベルナンデにだけアナウンスが聞こえる。
『愛されイージーモードはサービスを終了しました。ただいまより、嫌われハードモードを開始します』
そのアナウンスを最後に、ベルナンデは意識を失う。
次に目を覚ました時、ベルナンデは、ラウルの妃になっていた。
なんだ、ラウルとのハッピーエンドに移行しただけか。
そうほっとしたのもつかの間。
あんなに愛されていたはずの、ラウルはおろか、攻略対象、使用人、家族、友人……みんなから嫌われておりー!?
※小説家になろう様が一番早い(予定)です
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
家族内ランクE~とある乙女ゲー悪役令嬢、市民堕ちで逃亡します~
りう
ファンタジー
「国王から、正式に婚約を破棄する旨の連絡を受けた。
ユーフェミア、お前には二つの選択肢がある。
我が領地の中で、人の通わぬ屋敷にて静かに余生を送るか、我が一族と縁を切り、平民の身に堕ちるか。
――どちらにしろ、恥を晒して生き続けることには変わりないが」
乙女ゲーの悪役令嬢に転生したユーフェミア。
「はい、では平民になります」
虐待に気づかない最低ランクに格付けの家族から、逃げ出します。
悪役令嬢ですが最強ですよ??
鈴の音
ファンタジー
乙女ゲームでありながら戦闘ゲームでもあるこの世界の悪役令嬢である私、前世の記憶があります。
で??ヒロインを怖がるかって?ありえないw
ここはゲームじゃないですからね!しかも、私ゲームと違って何故か魂がすごく特別らしく、全属性持ちの神と精霊の愛し子なのですよ。
だからなにかあっても死なないから怖くないのでしてよw
主人公最強系の話です。
苦手な方はバックで!
乙女ゲームに悪役転生な無自覚チートの異世界譚
水魔沙希
ファンタジー
モブに徹していた少年がなくなり、転生したら乙女ゲームの悪役になっていた。しかも、王族に生まれながらも、1歳の頃に誘拐され、王族に恨みを持つ少年に転生してしまったのだ!
そんな運命なんてクソくらえだ!前世ではモブに徹していたんだから、この悪役かなりの高いスペックを持っているから、それを活用して、なんとか生き残って、前世ではできなかった事をやってやるんだ!!
最近よくある乙女ゲームの悪役転生ものの話です。
だんだんチート(無自覚)になっていく主人公の冒険譚です(予定)です。
チートの成長率ってよく分からないです。
初めての投稿で、駄文ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
会話文が多いので、本当に状況がうまく伝えられずにすみません!!
あ、ちなみにこんな乙女ゲームないよ!!という感想はご遠慮ください。
あと、戦いの部分は得意ではございません。ご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる