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人間

魔法

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カナエの種族は妖精だった。
眷属認定をしたら巨大化するかと思ったけどしなかった。

夜、カクカミとメトと偶々来ていたヤトにもカナエを紹介する。

「ハル様は魔法について知りたがっていると聞いたのですけど、お教えしましょうか?」

一通り挨拶するとカナエは私の近くに飛んできてそう言った。

あの神様は私達の事を見守ってくれていたのね。

「分かるの?」
「はい。神様に手解きを受けましたので」

まず、私達の使用している様々な力は魔法に由来しているものらしい。

「シグルーンに教えてもらった事はあるけど、あのゴブリンを操っていた黄色い宝石の様なものも雷を出したり火球を飛ばしたりしていたわ。あれも魔法なの?」

魔法ってあんなすごい事ができるものだとは思わなかった。

「母さんが使う回復の水や猛毒の水も十分すごいと思うよ」

颯太は私を気遣ってくれている。

「はい。魔法には適性というものがあって、人それぞれで違うそうです」
「私は泉の精霊だから水の魔法が得意という事かしら。適性を試す方法とかあるの?」

カクカミやメトやヤトも魔法が使える様にはならないだろうか。緊急時に使えると助かる事もあるだろうし。

「はい。魔法の発動の手解きをしますので皆さんやってみてください」

ここにいる全員で試してみることになった。

「大切なのは集中力です。深呼吸をして、意識を身体の中心に集める感じです」

言われた通りにやってみる。ゆっくりと深呼吸をして、意識をお腹の辺りに集中。じんわりと暖かくなった気がする。

「次に一つずつイメージをしていきます。まずは炎。暖かい、熱い、小さな火、大きな火……何でも構いません」

私がイメージしたのは蝋燭に灯る様な小さな火。小さくても確実に燃えている火。
するとお腹のあたりの暖かさが無くなっていく。

失敗、かしら?

『お、おおお……!?』

メトが声を上げる。彼の目の前には拳大の火の玉が浮かんでいた。

「どうやらメト様には炎の適性がある様ですね」

適性がないと発現できないのね。メト以外は何も起こらなかった。

「それでは同じ要領で属性を調べていきます」

水、土、風、雷、氷、光、闇、植物と順番に試していく。

私は水と土と氷と光と植物に適性があるみたいだ。
颯太は土と風と光と植物に、カクカミは風と雷、メトは火と風、ヤトは水と土と闇に適性があった。

「みんなすごいわ、魔法が使えるんだもの」
「母さんは流石だね。五属性も適性があるなんて」
「颯太も四属性使えて凄いわ、みんなもよ。全員合わせれば全ての属性が使えるわね」

みんな誇らしげだ。

「皆様の適性が分かりましたね。あとはそれを自由にコントロールできるまで練習してみてください」

『メト、火のコントロールを間違えてこの辺りのものを燃やすなよ』
『分かってますよ!カクカミ様こそ雷で木々を破壊しないでくださいね』

みんな新しい事が出来る様になって嬉しそうだ。こういう刺激はあった方がいい。私も魔法の習熟に力を注いだ。

「そういえばカナエの適性はどうなの?」
「私は……言いにくいのですが全部使えます」

申し訳なさそうに言うカナエ。何でも神様に「魔法の手解きをするなら全て使えないといけないよ」と言われて調整されたらしい。

「良かったじゃない。私達もカナエという先生がいてくれるから魔法の習得が出来るの。自信を持っていいのよ」
「ありがとうございます!」

パッと表情を明るくしてみんなの指導に戻るカナエ。

それから数ヶ月の間私達は空いている時間は魔法の練習を重ねていった。
教えてもらった魔法は付与力を消費する訳ではないらしく、使い過ぎると身体が怠くなったりした。
単純に疲労というわけではなく、カナエ曰く「精神力を消費しているからです」との事だった。
これは数値になっていないので動ける限界がどの程度かを自分で見極める必要があった。
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