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繁栄
支配者
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ゴブリン達は動きを止め、その場に跪いた。
「どうか許してください。」
「あなた達は何故こんな事をしたのですか?多くの同胞を犠牲にしてまでする事なのですか?」
全員を見る。ゴブリン達は視線を落とし、かぶりを振ったり頭を抱えたりしている。
何か様子がおかしい。
そんな事よりも私を庇って倒れた子の治療が先だ。確か名前は……
「カナエ、しっかりして。」
『ハル様……ご無事で……良かった。』
横たわったまま途切れ途切れに呟く。
頭の形が変わり、目や鼻、口からも血が溢れている。
「すぐに良くなるわ。頑張って……」
泉の水を生成して頭に掛ける。良くはなっていると思うがこれでは助からない。
「お母さん、《過剰分泌》を試してみたらどうかな?」
「やってみるわ。」
いつも通りに泉の水を手に溜めるように《過剰分泌》を上乗せする。
それをカナエの頭に掛け、少し口に含ませた。
『……ハル様、少し楽になりました。』
言葉も先程よりもしっかりと話せる様になった。身体を起こそうと足をバタつかせているが、まだ起き上がるまでには回復していない様だ。
「じっとしていて。少し休みなさい。」
首を優しく撫でながら言い聞かせると、動くのをやめてくれた。
泉の周りに押し寄せていたゴブリン達は、私が睨み付けると地に頭を付けてその上で両手を合わせ始める。
「教えなさい。あなた達に私達を襲うように命令したのは誰?」
「ガムド、俺達の王……」
「それはゴブリンですか?」
「はい。」
ゴブリンの王が命じてこんな事を?別種族のオーガまで従えて?
「このオーガは何ですか?」
「それはガムドの手下。他の種族を複数連れていました。」
どう言う事だろう。オーガはゴブリンを従える事はあるとカクカミは言っていた。逆もあり得るのだろうか?
「ガムドはどこにいるの?」
「海の近くに城を作った。石の大きな城です。」
そこに行って真意を確かめてみる必要があるわね。
『この者達はどうしますか?』
カノオに聞かれて考える。
今の彼らは理性的に話が出来ている。仮に何らかの方法で操られていたのだとしたらガムドの元に帰すのは良くないだろう。
「カクカミ達が戻るまでここに待機します。話し合ってから彼らをどうするか決めるわ。」
『分かりました。』
カクカミ達が戻ってきたのは太陽が頂点を越えた辺りだった。全員健在、大蛇さんも一緒に来てくれた。
大蛇さんの活躍もあって渓谷に押し寄せたゴブリンはほぼ全滅。
こちらはコボルト達が小さな怪我をしたくらいで殆ど損害は無かった。
ゴブリンに聞いた事をカクカミ達に話して、彼らをどうするべきか相談する。
『それならば渓谷に避難させてください。あそこならばおかしな真似をしたら私が対処できます故。』
大蛇さんが申し出てくれた。
「いいの?かなりの数になるけど。」
降伏したゴブリンは二百人はいる。
『心配御無用です。水も食料も豊富にあります。暫くはこの者達を養えるでしょう。』
「ありがとう。それじゃお願いね。」
『お安い御用です。さあお前達、渓谷に移動するぞ。さっさと歩け。』
ゴブリン達を先導して行く大蛇さん。
彼がいてくれて本当に助かった。
「海のそばに城ですか。そこにゴブリンの王がいるのならぶっ潰してやりましょう。」
両の拳をガンとぶつけ合いながら言うヨキ。
『カナエの仇を討たせてください。』
カノオも戦うつもりだ。
「お母さん、そのゴブリンの王は放っておいたら危ないよ。今の内に何とかしないと。」
私も颯太と同じ意見だ。
ゴブリンという生き物は繁殖力は高いがここまでではなく、オーガに従う事はあっても逆はまずあり得ないとカクカミが教えてくれた。
考え得るのは母熊に付いていた石の様な、何らかの力をガムドが得ているかだろう。
どの道このままにしてはおけない。
「ガムドの所へ行きます。」
私達は敵の城へ乗り込むことにした。
「どうか許してください。」
「あなた達は何故こんな事をしたのですか?多くの同胞を犠牲にしてまでする事なのですか?」
全員を見る。ゴブリン達は視線を落とし、かぶりを振ったり頭を抱えたりしている。
何か様子がおかしい。
そんな事よりも私を庇って倒れた子の治療が先だ。確か名前は……
「カナエ、しっかりして。」
『ハル様……ご無事で……良かった。』
横たわったまま途切れ途切れに呟く。
頭の形が変わり、目や鼻、口からも血が溢れている。
「すぐに良くなるわ。頑張って……」
泉の水を生成して頭に掛ける。良くはなっていると思うがこれでは助からない。
「お母さん、《過剰分泌》を試してみたらどうかな?」
「やってみるわ。」
いつも通りに泉の水を手に溜めるように《過剰分泌》を上乗せする。
それをカナエの頭に掛け、少し口に含ませた。
『……ハル様、少し楽になりました。』
言葉も先程よりもしっかりと話せる様になった。身体を起こそうと足をバタつかせているが、まだ起き上がるまでには回復していない様だ。
「じっとしていて。少し休みなさい。」
首を優しく撫でながら言い聞かせると、動くのをやめてくれた。
泉の周りに押し寄せていたゴブリン達は、私が睨み付けると地に頭を付けてその上で両手を合わせ始める。
「教えなさい。あなた達に私達を襲うように命令したのは誰?」
「ガムド、俺達の王……」
「それはゴブリンですか?」
「はい。」
ゴブリンの王が命じてこんな事を?別種族のオーガまで従えて?
「このオーガは何ですか?」
「それはガムドの手下。他の種族を複数連れていました。」
どう言う事だろう。オーガはゴブリンを従える事はあるとカクカミは言っていた。逆もあり得るのだろうか?
「ガムドはどこにいるの?」
「海の近くに城を作った。石の大きな城です。」
そこに行って真意を確かめてみる必要があるわね。
『この者達はどうしますか?』
カノオに聞かれて考える。
今の彼らは理性的に話が出来ている。仮に何らかの方法で操られていたのだとしたらガムドの元に帰すのは良くないだろう。
「カクカミ達が戻るまでここに待機します。話し合ってから彼らをどうするか決めるわ。」
『分かりました。』
カクカミ達が戻ってきたのは太陽が頂点を越えた辺りだった。全員健在、大蛇さんも一緒に来てくれた。
大蛇さんの活躍もあって渓谷に押し寄せたゴブリンはほぼ全滅。
こちらはコボルト達が小さな怪我をしたくらいで殆ど損害は無かった。
ゴブリンに聞いた事をカクカミ達に話して、彼らをどうするべきか相談する。
『それならば渓谷に避難させてください。あそこならばおかしな真似をしたら私が対処できます故。』
大蛇さんが申し出てくれた。
「いいの?かなりの数になるけど。」
降伏したゴブリンは二百人はいる。
『心配御無用です。水も食料も豊富にあります。暫くはこの者達を養えるでしょう。』
「ありがとう。それじゃお願いね。」
『お安い御用です。さあお前達、渓谷に移動するぞ。さっさと歩け。』
ゴブリン達を先導して行く大蛇さん。
彼がいてくれて本当に助かった。
「海のそばに城ですか。そこにゴブリンの王がいるのならぶっ潰してやりましょう。」
両の拳をガンとぶつけ合いながら言うヨキ。
『カナエの仇を討たせてください。』
カノオも戦うつもりだ。
「お母さん、そのゴブリンの王は放っておいたら危ないよ。今の内に何とかしないと。」
私も颯太と同じ意見だ。
ゴブリンという生き物は繁殖力は高いがここまでではなく、オーガに従う事はあっても逆はまずあり得ないとカクカミが教えてくれた。
考え得るのは母熊に付いていた石の様な、何らかの力をガムドが得ているかだろう。
どの道このままにしてはおけない。
「ガムドの所へ行きます。」
私達は敵の城へ乗り込むことにした。
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