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第63話 季節が変わるその時期に ACT9
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結局次の日曜に愛華を三浦家に連れていくということになった。しかも佳奈美さんも一緒に行くというのだ。
「そろそろ政樹んところの菓子が食べたくなった」と言うのは口実であることはわかりきっている。
まぁ完全に嘘ではないだろうけど。
正直、今僕の保護者である正樹さんに、正式に愛華と付き合っていることを佳奈美さん自身から伝えるというか、多分佳奈美さんのことだ。半強制的に正樹さんを押し切ろうというもくろみがあるんじゃないかと僕は思っている。
こ、これはもしかして、結婚の申し出と言うか、親族の顔合わせ的なものになるんだろうか。
おいおい、なんだ! そんなことを考えるとだんだんと、おおごとになってきたような気がして気後れしてしまいそうだ。
確かにミリッツアさんも正樹さんも、愛華のことを連れてこい。とは言っていたが、ただ遊に連れてこいと。それに、僕がどんな子と付き合っているのかと言う、興味が先に出てのことだと思うんだけど。
だからさ、こっちとしてはそんな仰々しい感じじゃなく、もっとラフなことなんだという認識しかないんだよな。―――――このギャップどう穴埋めをどうしたらいいんだろうか。
「あはははははは!!! そうかついにお前、腹決めたのか結城」
高笑いする頼斗さん。
「あのぉ、頼斗さぁん。そんなに笑わなくたっていいんじゃないんですか? 一応これでも担任として、それに兄として(ちょっと違う意味での兄なんだけど)相談してんのに。こっちはまじめなんだよ」
「ああ、わりぃ――、でもよう結城。べつにいいんじゃねぇのか? まぁ、そのなんだ、あの杉村の祖母さんが乗り気だろうがどうかはさておき、正樹さんやミリッツアさんがそこまで求めていないんだったら、なるようになるもんじゃねぇのか。まぁ、俺もあの人達のことは良く知っているからな。本当にお前が将来を誓い合うという気があるんだったら、また改めてそう言う機会を設けてくれるんだろうし」
「はぁ―、なんだか相談する人間違えたみたい」
「なんでだよう。これでも俺は人生の先輩だぞ、それにお前らの担任でもあるんだからな。俺のクラスからそう言うカップルが出てきたことも含めてこれでも真剣にだな……」
「はいはい、でもほとんど面白がっているんでしょ」
「ま、まぁな。でもほんと意外というかなんというか。お前とあの杉村がなぁ。ほんと恋はわかんねぇな」
「ほんとわかんないですよ。それに自分自身でも、本当に僕は杉村のことを愛しているのかていうことすら、わかんない状態なんですから」
「はぁ? なんだそれ」
「なんだそれって言われても」
「あのなぁ、お前杉村の事受け入れているんだろ。だったらその気持ちももって受け入れたていうことじゃねぇのか。――――それともお前単なる遊びなのか?」
「遊びって言われるとなんか心外だなぁ。僕ってそんな遊び人に見えますか?」
「いや、外見じゃ人は判断しけれねぇからな。それは杉村に一番いえることじゃねぇか」
「た、確かに……反論できません」
「で、お前、そうなると恵美とはもうちゃんと踏ん切りついているっていうことでいいのか?」
はぁ―、やっぱりそこに行くんだ。正直、完全に恵美のことを諦めた……いや、もうこういう表現とは違う気がしているんんだけど。でもさ、なんだろう――――愛華のことを思えば思うほど、なんだか恵美の姿が見え隠れしてくるんだよな。
―――――実際恵美からは嫌われているんだろうけど。
「おいおい、まさか二股かけようなんて思っていねぇだろうな」
「二股だなんて、そんな事しようにも出来ないでしょ。僕はそんなにも器用な男じゃないんですよ。そんなことできるくらいならもっと前からモテまくっていたんじゃないのかなぁ」
まったく、お前もよく言うぜ。でもな、愛華の気持ちを傷つけちゃまずいんじゃねぇのか? まだお前が恵美に未練があるんだったらそれはちゃんと自分の中でも、それが出来なかったら、愛華との関係についてももう一度見直すっていうことも必要になるんじゃないかと俺は思うんだけどな」
言われるがまま。
確かに頼斗さんのいうことは正論だ。
こんな中途半端な気持ちでずるずると愛華とこういう関係を続けていて、いいんだろうかと言う気持ちも正直ないといったら嘘になる。
かといってきっぱりと愛華と別れるっていうかその、……関係をなくすことも、忍び難い。
僕はそう言うことをきっちりと自分自身で決めることの出来ない、優柔不断なダメ男なんだろうな。
「ま、でもさ、そんなに深刻に今考える必要もねぇと俺は思うんだけどな。まぁ、周りがどんなに騒ごうが結局は当人同士の問題だしな。こればっかりはお前らがちゃんとした答えを導くことが一番の解決法なんだろうからな」
だからさ、頼斗さん。その糸口が見つからないからこうして相談してんのに、これじゃ欲しい答えが返ってきていないような気がするんだけど。
そんなあいまいなこと言われて納得がいかないまま、今日はもう金曜日になってしまった。
明日は愛華はお店の手伝いがあるから、勉強会はない。
て、言うことはだ。日曜日にぶっつけ本番と言うことになるという流れが、必然的に組まれてしまった。
マジマジ! ほんと佳奈美さんがかなり強引に押してきそうな気がどうしてもして、ほんと落ち着かない。
授業が終わり愛華はすぐにホームルームをさぼり、帰宅してしまった。
今日はあと特にすることもない。このまま帰ろうかと、カバンに手をかけようとした時。
戸鞠が僕に話しかけてきた。
「あれぇ――、今日は奥さんに置いて行かれちゃったのぉ?」
「はぁ――? 奥さんって何だそれ?」
「あら、いだわ、もう愛華とは結婚の約束ていうか婚約するんでしょ。じゃもう奥さんって言ってもいいじゃなくて」
「ちょ、ちょっと待て! 戸鞠。お前いったい誰からそんな話聞いたんだよ。もしかして、女子の中じゃそう言ううわさが拾っているわけじゃないよな」
「うふふふふふふふふふふふふふ――――さぁ――――どう――だろうねぇ――――」
にまぁ―とした顔で戸鞠がじらすように言う。
「マジ! 冗談やめてくれよ。誰にもそんなこと言ってなんかいないのに」
「あれ、マジなんだこのことって」
「へっ?」
「あははは、女子の中じゃそんな噂なんかないわよ。これはさ、愛華から聞いた話なんだけどさ」
「ええええええっと愛華からって、彼奴そんな事戸鞠に言っているのかよ」
「うんうん、あんたたち二人のことは逐一愛華から報告受けてるんだよなぁ。わ・た・し」
はぁぃ――――!! それってどういうことなんだよ」
「さぁてどういうことなんでしょうね。あ、そうだまだ覚えている? 私の宿題」
「宿題?」
「そう宿題。忘れてないよね。もうそろそろ提出してくれてもいいともうんだけど」
宿題って―――――なんだっけ?
「そろそろ政樹んところの菓子が食べたくなった」と言うのは口実であることはわかりきっている。
まぁ完全に嘘ではないだろうけど。
正直、今僕の保護者である正樹さんに、正式に愛華と付き合っていることを佳奈美さん自身から伝えるというか、多分佳奈美さんのことだ。半強制的に正樹さんを押し切ろうというもくろみがあるんじゃないかと僕は思っている。
こ、これはもしかして、結婚の申し出と言うか、親族の顔合わせ的なものになるんだろうか。
おいおい、なんだ! そんなことを考えるとだんだんと、おおごとになってきたような気がして気後れしてしまいそうだ。
確かにミリッツアさんも正樹さんも、愛華のことを連れてこい。とは言っていたが、ただ遊に連れてこいと。それに、僕がどんな子と付き合っているのかと言う、興味が先に出てのことだと思うんだけど。
だからさ、こっちとしてはそんな仰々しい感じじゃなく、もっとラフなことなんだという認識しかないんだよな。―――――このギャップどう穴埋めをどうしたらいいんだろうか。
「あはははははは!!! そうかついにお前、腹決めたのか結城」
高笑いする頼斗さん。
「あのぉ、頼斗さぁん。そんなに笑わなくたっていいんじゃないんですか? 一応これでも担任として、それに兄として(ちょっと違う意味での兄なんだけど)相談してんのに。こっちはまじめなんだよ」
「ああ、わりぃ――、でもよう結城。べつにいいんじゃねぇのか? まぁ、そのなんだ、あの杉村の祖母さんが乗り気だろうがどうかはさておき、正樹さんやミリッツアさんがそこまで求めていないんだったら、なるようになるもんじゃねぇのか。まぁ、俺もあの人達のことは良く知っているからな。本当にお前が将来を誓い合うという気があるんだったら、また改めてそう言う機会を設けてくれるんだろうし」
「はぁ―、なんだか相談する人間違えたみたい」
「なんでだよう。これでも俺は人生の先輩だぞ、それにお前らの担任でもあるんだからな。俺のクラスからそう言うカップルが出てきたことも含めてこれでも真剣にだな……」
「はいはい、でもほとんど面白がっているんでしょ」
「ま、まぁな。でもほんと意外というかなんというか。お前とあの杉村がなぁ。ほんと恋はわかんねぇな」
「ほんとわかんないですよ。それに自分自身でも、本当に僕は杉村のことを愛しているのかていうことすら、わかんない状態なんですから」
「はぁ? なんだそれ」
「なんだそれって言われても」
「あのなぁ、お前杉村の事受け入れているんだろ。だったらその気持ちももって受け入れたていうことじゃねぇのか。――――それともお前単なる遊びなのか?」
「遊びって言われるとなんか心外だなぁ。僕ってそんな遊び人に見えますか?」
「いや、外見じゃ人は判断しけれねぇからな。それは杉村に一番いえることじゃねぇか」
「た、確かに……反論できません」
「で、お前、そうなると恵美とはもうちゃんと踏ん切りついているっていうことでいいのか?」
はぁ―、やっぱりそこに行くんだ。正直、完全に恵美のことを諦めた……いや、もうこういう表現とは違う気がしているんんだけど。でもさ、なんだろう――――愛華のことを思えば思うほど、なんだか恵美の姿が見え隠れしてくるんだよな。
―――――実際恵美からは嫌われているんだろうけど。
「おいおい、まさか二股かけようなんて思っていねぇだろうな」
「二股だなんて、そんな事しようにも出来ないでしょ。僕はそんなにも器用な男じゃないんですよ。そんなことできるくらいならもっと前からモテまくっていたんじゃないのかなぁ」
まったく、お前もよく言うぜ。でもな、愛華の気持ちを傷つけちゃまずいんじゃねぇのか? まだお前が恵美に未練があるんだったらそれはちゃんと自分の中でも、それが出来なかったら、愛華との関係についてももう一度見直すっていうことも必要になるんじゃないかと俺は思うんだけどな」
言われるがまま。
確かに頼斗さんのいうことは正論だ。
こんな中途半端な気持ちでずるずると愛華とこういう関係を続けていて、いいんだろうかと言う気持ちも正直ないといったら嘘になる。
かといってきっぱりと愛華と別れるっていうかその、……関係をなくすことも、忍び難い。
僕はそう言うことをきっちりと自分自身で決めることの出来ない、優柔不断なダメ男なんだろうな。
「ま、でもさ、そんなに深刻に今考える必要もねぇと俺は思うんだけどな。まぁ、周りがどんなに騒ごうが結局は当人同士の問題だしな。こればっかりはお前らがちゃんとした答えを導くことが一番の解決法なんだろうからな」
だからさ、頼斗さん。その糸口が見つからないからこうして相談してんのに、これじゃ欲しい答えが返ってきていないような気がするんだけど。
そんなあいまいなこと言われて納得がいかないまま、今日はもう金曜日になってしまった。
明日は愛華はお店の手伝いがあるから、勉強会はない。
て、言うことはだ。日曜日にぶっつけ本番と言うことになるという流れが、必然的に組まれてしまった。
マジマジ! ほんと佳奈美さんがかなり強引に押してきそうな気がどうしてもして、ほんと落ち着かない。
授業が終わり愛華はすぐにホームルームをさぼり、帰宅してしまった。
今日はあと特にすることもない。このまま帰ろうかと、カバンに手をかけようとした時。
戸鞠が僕に話しかけてきた。
「あれぇ――、今日は奥さんに置いて行かれちゃったのぉ?」
「はぁ――? 奥さんって何だそれ?」
「あら、いだわ、もう愛華とは結婚の約束ていうか婚約するんでしょ。じゃもう奥さんって言ってもいいじゃなくて」
「ちょ、ちょっと待て! 戸鞠。お前いったい誰からそんな話聞いたんだよ。もしかして、女子の中じゃそう言ううわさが拾っているわけじゃないよな」
「うふふふふふふふふふふふふふ――――さぁ――――どう――だろうねぇ――――」
にまぁ―とした顔で戸鞠がじらすように言う。
「マジ! 冗談やめてくれよ。誰にもそんなこと言ってなんかいないのに」
「あれ、マジなんだこのことって」
「へっ?」
「あははは、女子の中じゃそんな噂なんかないわよ。これはさ、愛華から聞いた話なんだけどさ」
「ええええええっと愛華からって、彼奴そんな事戸鞠に言っているのかよ」
「うんうん、あんたたち二人のことは逐一愛華から報告受けてるんだよなぁ。わ・た・し」
はぁぃ――――!! それってどういうことなんだよ」
「さぁてどういうことなんでしょうね。あ、そうだまだ覚えている? 私の宿題」
「宿題?」
「そう宿題。忘れてないよね。もうそろそろ提出してくれてもいいともうんだけど」
宿題って―――――なんだっけ?
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