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第26話 僕の知らない彼女 ACT 11
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車は町中を走り抜け、少し小高い土地にある赤いとんがり屋根の家の前で止まった。
「さぁ着いたぞ」
垣根に囲まれたその家は、なんとなくかわいらしい感じのする家だった。
家の前には小さな家庭菜園があり、夏の終わりにまだ面影を残して実っていた赤いトマトが目に入る。
敷地は結構広そうだ、僕が住んでいたあの家の敷地の2倍は優に超えているだろう。
家の裏の方にちらっと見えた、茶色い二階建ての建物。
倉庫にしてはなんとなく感じが違うように見えた。
頼斗さんは玄関を開け「ただいまぁ」と声を張り上げて言う。
その後ろで、遠慮気味に彼の陰に隠れた。
玄関からまっすぐに伸びる廊下。その廊下真ん中あたりから、ひょいと可愛らしいい顔が覗き込んだ。
「あ、やっぱり頼斗君だぁ――! お帰りぃ――!」
んっ! 妹さん? それともおねぇさん? 響音さんのほかに兄妹がいるとは聞いていなかったけど?
僕らを玄関で出迎えた人は、若くてとても利発そうなボブカットがよく似合う、本当にかわいらしい女性だった。
そのクリっとした愛くるしい目は、何か小動物を連想させてしまいそうな感じがしてしまうのは、僕だけだろうか。背丈も、ん―どちらかといえば小柄な方だと思う。それが全体的に完成されているから、この子はかわいい系のちょっとやんちゃな女の子というのが、僕の最終的な印象だ。
「やぁ、幸子さんご無沙汰」
「んもぉ――! ご無沙汰じゃやないでしょ。もう少しここに帰ってくる頻度上げられないの? 全くもう、独身で自由にできるからって帰らなさすぎだよぉ!」プンプン!!
両手を腰に据えながら、頭ごなしに頼斗さんを叱っている。でもその姿が可愛いい。
「んっ?」
ちょっと待て! 確かさっき頼斗さんは『幸子さん』て言ってたよな。
幸子さんって、頼斗さんのお父さんの後妻……で、それでもって、響音さんの……母親。いや、待て待て。しっかりするんだこれは単純な算数だろ。見た目年齢から、ん――――頼斗さんと同い年? いやもしかしたら、それより若い……いや、でもなんだこの威厳さは? 一つ上、大負けで二つ……それ以上は絶対に失礼だろうな。
はぁ――――若けぇ――!
そしてそのクリっとした目の視線は此方に向けられた。
「あれぇ! お客さん連れて来ていたのぉ?」
「あっ、ええっと俺の……」
「あはっ! もしかして頼斗君の隠し子? こんな大きな隠し子いつの間に作ったのぉ? 全くもうそう言うことは早くに申告して頂戴ね」
「だから、違うって、こんなでけぇ子、俺何歳の時に産ませた子になるんだよ。俺の生徒だ! 全く相変わらず幸子さんは話が飛んでもねぇところにもっていくの名人だよなぁ」
「あのぉ――――、やっぱりこの人は響音さんの、お母さんなんですか?」
「んっ、響音のこと知ってるの?」
「ああ、今、一緒に墓参りしてきたところだ」
「そうかぁ――、ありがとうね。あなたのお名前は?」
「ええっと、初めまして。笹崎結城といいます」
「笹崎君かぁ。それで名前が結城君」そう口にしながらふわっと彼女は僕の体を抱きしめた。
「よろしくね結城君。……あはっ、なんか不思議。初めて会った感じがしないねぇ」
始めはやんわりだったが、次第に彼女の体が僕の体に密着していく。見た目そんなに目立っていなかったけど、やわらかくて多分思いのほか大きなものが、僕の胸に押し付けられていく。
「なんだか君、響音と同じようなにおいがする」
そう彼女は耳元でささやいた。
同じ匂い。そう言えば、忘れかけていた母さんの匂に似ている。こうして抱かれたのは久しぶりのような感じがした。……でもいま僕を抱いているのは母さんじゃない。
ホントだ、何だろう彼女の言う通り、初めて会った気がしなくなるのは不思議なことだ。
「ごほんっ! もうその辺でやめといたほうがいいぜ幸子さん。親父がまた機嫌悪くするぜ」
「いいの。あの人まだギブス外れないからずっと機嫌悪いの」
そう言いながら、今度は僕の耳元で小さな声で「うふ、可愛いい。若いわよねぇ、私の体で反応したったの? うれしいなぁ。」
なまめかしい声が、余計に鼓動を刺激した。
「さ、上がって。多分頼斗君来ると思ってさ、お料理いっぱい実は作って待っていたんだぁ。結城君も遠慮しないでね」
にっこりとほほ笑む幸子さんの顔をまともに見れくなってしまった。それよりも落ち着け、早急に気持ちを落ち着かせないと。ま、まずいでしょ。……実際。
「どうした結城?」
「いや、な、何でも……」
と言ったが、にやりと笑う頼斗さんのあの顔は……意地悪だ。
でもほんとびっくりだ。あんなに若くて可愛い人が響音さんのお母さんだなんて。
未だに信じられない。
「さぁ着いたぞ」
垣根に囲まれたその家は、なんとなくかわいらしい感じのする家だった。
家の前には小さな家庭菜園があり、夏の終わりにまだ面影を残して実っていた赤いトマトが目に入る。
敷地は結構広そうだ、僕が住んでいたあの家の敷地の2倍は優に超えているだろう。
家の裏の方にちらっと見えた、茶色い二階建ての建物。
倉庫にしてはなんとなく感じが違うように見えた。
頼斗さんは玄関を開け「ただいまぁ」と声を張り上げて言う。
その後ろで、遠慮気味に彼の陰に隠れた。
玄関からまっすぐに伸びる廊下。その廊下真ん中あたりから、ひょいと可愛らしいい顔が覗き込んだ。
「あ、やっぱり頼斗君だぁ――! お帰りぃ――!」
んっ! 妹さん? それともおねぇさん? 響音さんのほかに兄妹がいるとは聞いていなかったけど?
僕らを玄関で出迎えた人は、若くてとても利発そうなボブカットがよく似合う、本当にかわいらしい女性だった。
そのクリっとした愛くるしい目は、何か小動物を連想させてしまいそうな感じがしてしまうのは、僕だけだろうか。背丈も、ん―どちらかといえば小柄な方だと思う。それが全体的に完成されているから、この子はかわいい系のちょっとやんちゃな女の子というのが、僕の最終的な印象だ。
「やぁ、幸子さんご無沙汰」
「んもぉ――! ご無沙汰じゃやないでしょ。もう少しここに帰ってくる頻度上げられないの? 全くもう、独身で自由にできるからって帰らなさすぎだよぉ!」プンプン!!
両手を腰に据えながら、頭ごなしに頼斗さんを叱っている。でもその姿が可愛いい。
「んっ?」
ちょっと待て! 確かさっき頼斗さんは『幸子さん』て言ってたよな。
幸子さんって、頼斗さんのお父さんの後妻……で、それでもって、響音さんの……母親。いや、待て待て。しっかりするんだこれは単純な算数だろ。見た目年齢から、ん――――頼斗さんと同い年? いやもしかしたら、それより若い……いや、でもなんだこの威厳さは? 一つ上、大負けで二つ……それ以上は絶対に失礼だろうな。
はぁ――――若けぇ――!
そしてそのクリっとした目の視線は此方に向けられた。
「あれぇ! お客さん連れて来ていたのぉ?」
「あっ、ええっと俺の……」
「あはっ! もしかして頼斗君の隠し子? こんな大きな隠し子いつの間に作ったのぉ? 全くもうそう言うことは早くに申告して頂戴ね」
「だから、違うって、こんなでけぇ子、俺何歳の時に産ませた子になるんだよ。俺の生徒だ! 全く相変わらず幸子さんは話が飛んでもねぇところにもっていくの名人だよなぁ」
「あのぉ――――、やっぱりこの人は響音さんの、お母さんなんですか?」
「んっ、響音のこと知ってるの?」
「ああ、今、一緒に墓参りしてきたところだ」
「そうかぁ――、ありがとうね。あなたのお名前は?」
「ええっと、初めまして。笹崎結城といいます」
「笹崎君かぁ。それで名前が結城君」そう口にしながらふわっと彼女は僕の体を抱きしめた。
「よろしくね結城君。……あはっ、なんか不思議。初めて会った感じがしないねぇ」
始めはやんわりだったが、次第に彼女の体が僕の体に密着していく。見た目そんなに目立っていなかったけど、やわらかくて多分思いのほか大きなものが、僕の胸に押し付けられていく。
「なんだか君、響音と同じようなにおいがする」
そう彼女は耳元でささやいた。
同じ匂い。そう言えば、忘れかけていた母さんの匂に似ている。こうして抱かれたのは久しぶりのような感じがした。……でもいま僕を抱いているのは母さんじゃない。
ホントだ、何だろう彼女の言う通り、初めて会った気がしなくなるのは不思議なことだ。
「ごほんっ! もうその辺でやめといたほうがいいぜ幸子さん。親父がまた機嫌悪くするぜ」
「いいの。あの人まだギブス外れないからずっと機嫌悪いの」
そう言いながら、今度は僕の耳元で小さな声で「うふ、可愛いい。若いわよねぇ、私の体で反応したったの? うれしいなぁ。」
なまめかしい声が、余計に鼓動を刺激した。
「さ、上がって。多分頼斗君来ると思ってさ、お料理いっぱい実は作って待っていたんだぁ。結城君も遠慮しないでね」
にっこりとほほ笑む幸子さんの顔をまともに見れくなってしまった。それよりも落ち着け、早急に気持ちを落ち着かせないと。ま、まずいでしょ。……実際。
「どうした結城?」
「いや、な、何でも……」
と言ったが、にやりと笑う頼斗さんのあの顔は……意地悪だ。
でもほんとびっくりだ。あんなに若くて可愛い人が響音さんのお母さんだなんて。
未だに信じられない。
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