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第4話 見事にフラられました ACT 4
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家に帰ると、母さんが出かけようとしていた。
「ただいま」
「お帰り結城」
にっこりと優しくほほ笑む母さんの笑顔。いつもと変わらない笑顔がそこにある。
その笑顔を見るとホッとする。
「出かけるの?」
「うん、お父さん。帰ってくるから」
「へぇー、父さん帰ってくるんだ」
「そうよ、何とか時間作って日本に立ち寄るんだって。本当に立ち寄るなんて、自分の家をホテルか何かと思っているんじゃないのかしらねぇ」
「忙しいんですよ社長は。それにあの人は日本に留まっていちゃいけない人なんですから。太芽社長は世界の国々が仕事場、ああ、なんてスケールの大きな人なんでしょ」
「あのぉ、律ねぇ。来てたんだ」
「ああ、何よ結城。なんかついでみたいに言うのね。私がいちゃお母さんに甘えられないから邪魔?」
「はぁ―? 何言ってんだよ律ねぇ。律ねぇこそなんか今日はものすごくうきうきしてねぇ」
「えっ! あ、わかる! そうよ、だって社長が来るんですもの。ウキウキしてどこが悪いの?」
「う――――ん、いいのか母さん。そのうち父さん律ねぇに取られるんじゃない?」
「あら、そうねぇ。それも困ったものねぇ。でもそうなったらそうなったで4人で暮らしましょうか。あ、でもあの人またすぐに出かけちゃうから実際には3人だよね」
まったく母さんって危機感とかやきもちとかそういうこと思わないのかなぁ。律ねぇが父さんのこと好きなのわかってるのに。
「4人で、……3人でかぁ。うん、それもいいんじゃない。でもさぁ、私もただ寝泊まりする場所がここになるだけで、今までとなぁんにも変わらないような気がするんだけど」
そ、何かが変わったら非常にまずいんですけど!
うちの親、意外と律ねぇにはあまあまだし。ま、でも僕にとっては姉のような存在だから、何にも変わんないか。いや、そういう問題じゃないような気がするんだけど。
「あら、もうこんな時間。急がないと」
「恵梨香さん、タクシー呼びますか?」
「ううん、いいわ、たぶんあの人私が来るの空港で待っていると思うから」
「はぁ―、何でしょうかねぇ。いつも思うんですよ。お二人はほんと隙がないって。ヤキモチ妬いちゃいますよ」
「隙が無いってそうなのかなぁ。ま、あの人のことだからそう思うだけよ」
ニコット笑う母さん。
「あ、そうだ結城、帰りちょっと寄ってくるところがあるから、帰り遅くなるんだけど、夕食……」
「はいはい、何か作って食べてます」
「ごめんね。それじゃ行ってくるね」
僕と律ねぇは声をそろえて「いってらっしゃい」と母さんを見送った。
ぱたんとドアが閉まる。
いつもそうだ。父さんが返ってくるとき、必ず母さんは父さんを迎えに空港まで赴く。
そして、日本から出発する父さんを母さんは必ず、空港まで行って見送る。
僕がまだ幼いころはよく母さんが僕を連れて、父さんの帰国と見送りにつれて行ってもらった。
でも今では母さん一人が出向いている。
一緒に行かなかくなったのは中学の頃からかなぁ。でも父さんが帰ってくるときの母さんの顔は幸せそうだ。そんな 二人の仲を邪魔する年じゃなくなったということだ。
「さぁてと今日の夕食は何かなぁ。結城」
「あのなぁ律ねぇ、もう夕食の心配か?」
「だって結城の作る料理は天下一品。将来は料理人目指した方が成功するよ」
長い黒髪を指でスルリとなぞり、潤んだ彼女の瞳が僕の顔に近づき、僕らはお互いの唇を重ね合わせた。
「ただいま」
「お帰り結城」
にっこりと優しくほほ笑む母さんの笑顔。いつもと変わらない笑顔がそこにある。
その笑顔を見るとホッとする。
「出かけるの?」
「うん、お父さん。帰ってくるから」
「へぇー、父さん帰ってくるんだ」
「そうよ、何とか時間作って日本に立ち寄るんだって。本当に立ち寄るなんて、自分の家をホテルか何かと思っているんじゃないのかしらねぇ」
「忙しいんですよ社長は。それにあの人は日本に留まっていちゃいけない人なんですから。太芽社長は世界の国々が仕事場、ああ、なんてスケールの大きな人なんでしょ」
「あのぉ、律ねぇ。来てたんだ」
「ああ、何よ結城。なんかついでみたいに言うのね。私がいちゃお母さんに甘えられないから邪魔?」
「はぁ―? 何言ってんだよ律ねぇ。律ねぇこそなんか今日はものすごくうきうきしてねぇ」
「えっ! あ、わかる! そうよ、だって社長が来るんですもの。ウキウキしてどこが悪いの?」
「う――――ん、いいのか母さん。そのうち父さん律ねぇに取られるんじゃない?」
「あら、そうねぇ。それも困ったものねぇ。でもそうなったらそうなったで4人で暮らしましょうか。あ、でもあの人またすぐに出かけちゃうから実際には3人だよね」
まったく母さんって危機感とかやきもちとかそういうこと思わないのかなぁ。律ねぇが父さんのこと好きなのわかってるのに。
「4人で、……3人でかぁ。うん、それもいいんじゃない。でもさぁ、私もただ寝泊まりする場所がここになるだけで、今までとなぁんにも変わらないような気がするんだけど」
そ、何かが変わったら非常にまずいんですけど!
うちの親、意外と律ねぇにはあまあまだし。ま、でも僕にとっては姉のような存在だから、何にも変わんないか。いや、そういう問題じゃないような気がするんだけど。
「あら、もうこんな時間。急がないと」
「恵梨香さん、タクシー呼びますか?」
「ううん、いいわ、たぶんあの人私が来るの空港で待っていると思うから」
「はぁ―、何でしょうかねぇ。いつも思うんですよ。お二人はほんと隙がないって。ヤキモチ妬いちゃいますよ」
「隙が無いってそうなのかなぁ。ま、あの人のことだからそう思うだけよ」
ニコット笑う母さん。
「あ、そうだ結城、帰りちょっと寄ってくるところがあるから、帰り遅くなるんだけど、夕食……」
「はいはい、何か作って食べてます」
「ごめんね。それじゃ行ってくるね」
僕と律ねぇは声をそろえて「いってらっしゃい」と母さんを見送った。
ぱたんとドアが閉まる。
いつもそうだ。父さんが返ってくるとき、必ず母さんは父さんを迎えに空港まで赴く。
そして、日本から出発する父さんを母さんは必ず、空港まで行って見送る。
僕がまだ幼いころはよく母さんが僕を連れて、父さんの帰国と見送りにつれて行ってもらった。
でも今では母さん一人が出向いている。
一緒に行かなかくなったのは中学の頃からかなぁ。でも父さんが帰ってくるときの母さんの顔は幸せそうだ。そんな 二人の仲を邪魔する年じゃなくなったということだ。
「さぁてと今日の夕食は何かなぁ。結城」
「あのなぁ律ねぇ、もう夕食の心配か?」
「だって結城の作る料理は天下一品。将来は料理人目指した方が成功するよ」
長い黒髪を指でスルリとなぞり、潤んだ彼女の瞳が僕の顔に近づき、僕らはお互いの唇を重ね合わせた。
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