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第59話〈種強化Lv80〉
しおりを挟むダンジョンの中で、青白く光る直径30メートル程の巨大な魔方陣を発見した。オリハルコンゴーレムが通った跡はこの魔方陣で終わっている。これがクリトの言っていた〈転移魔方陣〉だな。
ノエルが僕の手を握る。
「ゼツ君」
僕は頷きノエルの手を握り返した。
僕達は魔方陣の中に飛び込む。
◇
太陽が眩しい。
僕達は街の中心広場に出た。
【タカヒロ、手筈通り、お前はクリトと合流しろ】
【はは!】
僕達は〈念話〉で会話ができる。
僕はタカヒロに指示を出しながらオリハルコンゴーレムが通った跡、街が破壊されたその先を睨む。
オリハルコンゴーレムが長い腕を振り回し、コマのように回転しながら暴れている。この街の建物は殆が3階建てだ。建物で例えるなら10階建てはある巨大なオリハルコンゴーレムが、ここからでも良く見えた。
「やはり来ていたか」
次に僕は空を見て呟く。
そこには無数の【SSR天使】――。
更に複数の天使がオリハルコンゴーレムを攻撃し、わざとヤツを暴れさせている。
僕をあぶり出し、攫おうとしているのだ。天国愛ならやりそうなことだな。
だが残念だったな【人神】よッ!
「お前は一手遅かったッ!
――ノエル、下がっていて」
ノエルが真剣な顔で頷き下がると。
「アクティブスキル〈ガンシャ―ライフル〉!」
――種転送、〈種強化Lv80〉ッッッ!!!」
僕は暴れるオリハルコンゴーレムの頭を狙って撃つ!
ドッピュンッッッッッッ!!!!!――ドゴゴゴンッ!!
物凄い発射反動エネルギー。僕の周りで雷鳴が鳴り響き紫電が飛ぶ。大地は割れ、爆風がノエルのスカートを捲るッ!
ドガンッッッッ!!!
全てを超越するかのような闘気を纏った”種”が神話級SSモンスター、オリハルコンゴーレムの頭に着弾、奴の頭部を吹き飛ばしバラバラに砕いた!
「なんて物凄い威力なの……、え?なに?この人たち?」
十数体の【SSR天使】が光の速さで地上に降りて、〈ガンシャ―ライフル〉の発射反動で地面にできた小さなクレーターの周りを取り囲む。
天使は全員、白銀の髪と瞳、白い肌、無表情。それらがキョロキョロと周囲を見回している。クレーターの中心に立つ僕が見えていないのだ。
「だから一手遅かったと言ったろう」
アエロリットが僕に掛けたスキル〈神の隠蔽〉――、その効果によって人神と龍神の眷属は僕を認識できない。
5000年前は無かったスキルだ。新しいスキルを創造するには数百年という、長い年月を要する。
アエロリット……、この日の為にこのスキルを用意したのか。
ふっ、流石だよ。お前は……。
僕はそんな天使達の間をすり抜けると、腰に差していた”刀”を抜きざま――、女天使の首を切り落とした。刀を鞘に戻す。
天使の首はトスっと地面に落ち、体は地面に倒れる。切り口からは血は出ない。
「人の成れの果てか……、可哀想に。ノエル行こう」
そう呟くと、頭部を失い倒れたオリハルコンゴーレムへ向かって歩き出した。
僕を追ってきたノエルが。
「ゼツ君、あの人死んじゃったよ」
「あれは生物じゃないんだ。モンスターみたいな存在なんだよ」
天使に生はない。レベルカンストした者が、天国愛のスキルで【天使】に変えられるわけだが、その際に生を奪われるのだ。
僕の行為は【LR人神】天国愛への宣戦布告である。
【クリリス視点】
巨大なオリハルコンゴーレムの頭がバラバラになって弾け飛んだ。
ゼツ・リンダナがやったのか!?
余りの威力に呆然としていた私に裸のおじさんが話し掛けてきた。
「ぐへへへ、【魔王】ですね」
「ッ!?貴様、何者だッ?」
「あっしはタカヒロ、――ゼツ様のホールブラザーズです」
この男が……タカヒロ!!
「――ゼツ様がアレを始末したら、一緒に〈バビロンの塔〉へ飛びやしょう」
「わかった」
私は恥ずかしくて裸の男を直視できないので、倒れたオリハルコンゴーレムを見詰めながら頷いた。
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