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第53話 皆で温泉に入る

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 21層へ降りる洞窟内は道が幾重にも分かれていて、進んでいくと行き止まりになる。そして、そこに温泉があった。

 僕達は【R空間探知士】の〈探査〉で調査を行う。結果、大小合わせて10ヶ所温泉があることが分かった。アターシャの命令で一番大きな温泉を男性約30名が使うことになり――。

「女湯覗き等おかしな行動をとらないよう私とアレプニヒトで監視致します」

 とアターシャに進言したのは【R賢者】のタイムさん。この人とアレプニヒトは女性に興味がないらしい。

 男性陣がぞろぞろ温泉へ向かってから僕はアターシャに声を掛ける。

「僕はあっちの温泉を使いますね」

 僕のあそこはパッシブスキル〈ゼツリン〉のせで常に荒ぶっている。トイレの時だけは大人しくなるのがせめても救いだ。ただ、流石にこの状態で皆さんと風呂に入るわけにはいかない。
 それに僕達と勇者パーティーは共闘しているが同じパーティーではない。アターシャの指図を聞く必要はないだろう。

「わかりましたわ。ではわたくし達はあちらの温泉を――、さっ姫様、アナル様行きましょう」

「ノエル行こうか」

 僕はやる気でノエルを誘った。
 するとノエルが。

「じゃぁティッシュも行きましょ」

 どっちに付いて行けば良いかわからないと言いたそうな顔をしていたティッシュを誘った。
 ノエルはパンティーやアターシャと仲良くしているが、ティッシュはそうではない。
 特にアターシャは平民で獣族のティッシュとは距離を置いている。

 ティッシュがいたらできないぞ。悪いけど別の温泉に一人で入ってもらえないかな……。

「アッチも行っていいニャンか?ゼツに見られるのは別に良いニャンけど……ノエルは平気なの?」

「全然いいよー、今更だし!ゼツ君も大丈夫だと思う♪ ねっ、いいよね?ゼツ君?」

「いや……」

「え?」
「え?」

「あ……いや、うん、いいよ……うん、そうしよう」

「ゼツ、ノエル~、ありがとうニャン」

 ティッシュがノエルに抱き着いた。

 ちっ、断り辛くなったな。
 見られながらやる?まぁ最悪それでも……と、思っていたら。

「ちょっと待ってくださいッ!」

 パンティーが叫んだ。

「ノエルとティッシュさんは女性なのですから、私達と一緒に行きますよね?それとも、ま、まさか3人で、いかがわしい事をする積りだったんですか!?」

 ギクゥッ!
 まぁ正確にはノエルとだけど……。

「うーん、でもせっかく温泉に来たしゼツ君と一緒に入りたいかなぁ……」
 とノエル。

「今は冒険中ですよ!妊娠したらどうするんですかッッ!!?」

 すると、大人しくしていたアナルが進言する。

「パンティー様、であれば、我々も坊ちゃんの温泉にお邪魔して、この変態が粗相しないよう見張りましょう。クスクス」

「私は見られても大丈夫ですけど……パンティーやアナル様は流石に恥ずかしいのでは……」
 とノエル。

「むっ!私はビッグベニス王国の姫。逃げも隠れもしませんッ!」
 とパンティー様。

「坊ちゃんといつも水浴びをしてましたから、今更ですねぇ」
 とアナル様

わたくしモンスターがこわいので、姫様に付いていきますわ。殿方に裸を見られるのなんて何とも思いませんし」
 とアターシャ。

 こうして僕達は6人で温泉に入ることになった。





「うわぁー、凄く広いねぇ、ゼツ君」

 僕の隣でノエルは瞳を輝かせる。

「そうだな……」

 逆に僕の瞳のハイライトはキャストオフしていた。
 もうどうでもいいよ。僕は諦めて温泉を楽しむことにした。

 天井が10メートルはあろう広い空間に岩に囲まれた露天風呂がる。湯船の面積もかなり広くて20人くらい入れそうだ。

 全員、服を脱ぎ裸になる。
 ここは水蒸気や湯煙が濃い。故に大事なところだけ靄がかかって見えない仕様になっている!
 しかし!ここには裸を見られて恥ずかしがる女性はいない。

 アターシャとアナルは自然体だし、パンティー至って小さな胸を堂々と張り、表情は誇らしげで威厳に満溢れている。

「ゼツに見られるの恥ずかしいニャンね」

 一人いたか……。ティッシュだけ巨乳を片腕で隠していた。色街で働いているのに彼女が一番常識人だ。

 僕は女の裸に全く興味が無いから見えても見えなくどっちでもいい。それよりも〈ゼツリン〉のせいで凶暴な自分のものを見られるわけにはいかない。だから、さっさと湯に浸かった。

 僕の横にノエルとパンティーが座り二人は楽しそうに話している。
 そうしているとアターシャが。

「髪や体を洗い流したいのですが、私一人ではできませんわね……。街に帰ってから侍女に――」

「アターシャ様、アッチが流しましょうか?」

「貴女、平民ですわよね?できますの?」

「アッチ、得意ですニャン。仕事でやりますので……」

「ふーん、でしたらお願いしようかしら……」

 ティッシュとアターシャという珍しい組み合わせだ。ティッシュは持参していた櫛でアターシャの長い金髪を梳かしながら丁寧に洗っていく。
 目を閉じたアターシャは気持ちよさそうに言う

「貴女、ティッシュさんと言うのかしら?」

「はいニャン」

「とてもお上手ね。気持ち良いですわ」

「にひひひ、それは良かったニャン」

 二人は不仲だと思っていたがどうやら僕の勘違いだったようだ。
 その後もティッシュとアターシャは友達の様に楽しそうに会話していた。

 温泉の湯は熱すぎず、心地よい温かさで永く浸かっていられる。疲れた体に沁みるな……。





 僕達が温泉を堪能していると、ソイツは唐突に現れた。

 ――黒い軍服を着た黒髪で赤い瞳の少女。







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