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第一章 別世界

9話 この世界とは? (2)

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「うーん…」早紀は伸びをしながらベッドに座る「お母さん…今何時…?」と早紀は目を開ける。そこには隣に可愛らしい女の子が気持ちよさそうに寝ているだけだった。

「そっか…お母さんいないんだ…」早紀は窓の外を見る

「ねぇ早紀?」「何?お母さん!」早紀は首を傾げる「あなたは優しい…けどね優しすぎると相手から反感買うこともあるのよ。お母さんやお父さん見たいな人にはならないで欲しいの」早紀はその時はまだなんの事だか分かってなかった。

「優しすぎると相手から反感を買う…か」

「おいお前!どっちの味方なんだよ!」「そんな嘘つき混じりの優しさとかマジでいらねー」「なぁなぁほっとこうぜどうせ猫かぶりの女なんてろくな女じゃねぇよ」早紀は自分が言われたことを思い出した。

「お母さんもお父さんもそう言い続けられてたのかな…」「うーん…」隣でマリが寝返りをする「可愛い…」早紀はついつい見とれてしまう「そういえばマリって何歳なんだろ…私より年下なのは確かだと思うけど…ん?」早紀は再び窓の外を見る。

(今なにか聞こえたような…)

早紀はマップを広げる「魔物だ…しかもかなり多い…」「きゃー!」外から悲鳴と何やら魔物の鳴き声が聞こえる「ひゃぁ!何!?」マリが飛び起きる「見て!」早紀が慌ててマップを見せる「何この魔物の大軍…」マリは目を見開く「分からないけどいきましょ!」早紀は剣を持つと2人で宿屋を出る。

昨日のスライム退治は結局スライムに合わず帰ってきたのだった。

「魔物は一応まだ先だけど…」早紀はマップを見続ける「ねぇ!君たち!危ないからさっさと逃げてー!」屋根の上から叫び声が聞こえる「あなたはー!?」早紀は大声で叫ぶ「私は冒険者だよ!」上から声が返ってくる「私達も冒険者なんです!なのでお助けします!」早紀とマリは頷き道を走っていく。

(一応門は閉まっているはず…ならば超えることは出来ない…)

キエェー!と何やら上から声が聞こえる「魔物よ!」マリが叫ぶ「ええ!?飛んで来たの!?」早紀は目を見開くと剣を構える「早紀!スキル以外で剣使った事あるの?」マリが叫ぶと早紀は半ば絶望した顔で振り返る「……無いから…」早紀の目から涙がこぼれる「たすけてー!まり!」早紀は走って逃げる「ちょっと!早紀!?」上空の魔物は早紀の後ろに並ぶように襲いかかる。

「はぁ…早紀って…」マリは剣を構える「マリー!早くしてー!」早紀は泣きながらマリがいる方向に走ってくる「任せて!」マリは剣を握る「【終焉の炎よ我が身を燃やして敵を滅せよ!】」マリの剣や体から炎が現れる「やぁ!」マリはそのまま魔物の列に突っ込むとあっという間に殲滅した。

「はぁ…はぁ…」早紀は走り疲れたようで膝を着いている「まずは剣を使い慣らす方が良さそうかな?早紀ちゃん…」「はい…マリ…」早紀はもう声が出ないようだ「ところで早紀は何歳なの?」「私は18才だよ!」「私より年下なんだ私は19歳」早紀は驚いた顔をする「なに…?」マリが首を傾げる「てっきり10歳かと…」マリの顔が赤くなる「そんなわけないでしょー!」マリが早紀を追いかけた。

「ところで何なの?今の魔物」追いかけ回された挙句ポカポカ殴られている早紀がマリに聞く「えっとあれはねぇー」「グラッドバードよ」更に後ろから声が聞こえた「あなたはさっきの!」2人は女の人を見る「さっきはあんな挨拶でごめんなさいね、私はリミア、リミア・スカーレットよ」「へぇー」マリは軽く頷く「あら、姉に対する態度がなってないわね」リミアはマリの顔を見る「姉さんって?」「あら!マリちゃんギルド仲間に言ってなかったの?マリちゃんはマリ・スカーレット私達スカーレット家の次女よ。私は長女だから姉の22才よ」

(へぇー姉さんってすごくクールなんだ…)

「あなたが早紀さん?」リミアが首を傾げる「あっ!はい!三河早紀と言います!」「やっぱり聞かない名前ね…ここの事は?」「全く知りません……」「そうねぇ屋敷の人に聞けばここの歴史よく知っているから聞けばいいと思うわ」リミアが笑っている「あ…ありがとうございます」早紀が軽く礼をした。

「それでお姉ちゃんどうしてここに?まさか早紀の顔を見に来ただけってことは無いよね?」「うんそうそう最近魔物が活発化しているのよだから注意を言いに来ただけ。それじゃあまたどこかで!」リミアはそのまま姿を消した。

「もう朝だね」マリが前を向くと門の奥が明るくなってきた「とりあえずここの屋敷に向かいますね。どんな所か確認しないと…」早紀が周りを見る「私が案内するね!」マリが早紀の手を掴み走り出した。

「ここが屋敷よ」「うわぁ…」目の前には巨大な屋敷と呼ばれる建物があった「ここから先は1人限定だから私は待ってるね!」マリが頷く「うん!行ってくるね!」早紀はゆっくりとドアを開けた。

「いらっしゃい…あらあなたは…ここの世界の人じゃないねぇ…」フロントからはおばさんらしき人がマントを被っている「分かるのですか!?」早紀が目を見開く「召喚者でも転移者…でもなさそうね…転生者かしら…」おばさんが早紀に近寄る「あの…この世界はどんな世界なのですか?」早紀は真剣な目でおばさんを見る。

「私はリオネス・シスター。リオネスと呼んでいいよ」「はい…リオネスさん…」リオネスは振り返る「この世界はどんな世界か…面白いこと聞くねぇあんたは。例えば自分が住んでた世界でこの世界はどんな世界ですか?なんて聞く人はいないでしょう…」「じゃあやっぱり普通の異世界という事ですか?」リオネスは頷く「あぁ…そうさここはあなたから見れば普通の異世界さ…」「では異世界ではこのステータス…あれレベルが5に上がってるしステータスも上がってる…いつの間に…」早紀がステータスを見ると考えた「ギルド仲間が倒した魔物の魔力が貴方の冒険者レベルを上げたんだよ…」「あのそれの事で!普通の世界はその…レベルとか要らないと思いませんか?レベルやステータスがあるのは私たちの世界で言うとゲームなど〔人工的に作り出したもの〕だと思うのですがスキルなどは無論この世界には魔法などがあるので分かりますが…」リオネスは考える。

「確かにお前さんの所はステータスもスキルも無いかもだが…ステータスがあるからと言ってこの世界はゲームの世界とは思わない方がいいかもねぇ…じゃがお前さんの言うことも分かるがな。まぁこの世界はこれが普通…あんたの世界も普通であろう?」早紀は頷く「まぁあとは慣れるんじゃな」「分かりました!教えて頂きありがとうございました!ところで…これまでも別世界から来た人はいるんですか?」リオネスは首を振る「いいや…あんたが初めてだ」「そうですか…色々ありがとうございました!」早紀は頭を下げる「あっ、忘れてたわお前さんのステータス見させてくれるかい?」リオネスが左手を出してくる。

「ふむ…ユニークスキルか…【RA強制解放】」リオネスが目を細める「はい、このスキルは【一定時間自分を含む味方を1段階強制的にランクアップする】スキルだと思います。一定時間と言うのは恐らくMPが尽きるまでです」リオネスが考え込む「なるほどねぇ…私なりにそのスキルを視てみたのだけど…あなたが思っている以上のスキルじゃね…」

(え?それってどういう事?)

「あのそれって…」「いずれ分かる」リオネスが笑いながら手を振った。

早紀は深く頭を下げると屋敷扉を開いた。

「おかえりー!長かったね!」マリが屋敷のベンチに座っている「ごめんね!それと君のおかげでレベルが5に上がったよ!」マリは笑顔で拍手をした「おめでとう!これで少し強くなるね!明日からも魔物退治頑張ろう!」マリは笑顔で笑っていた。

(この世界ではこれが普通…RPGと異世界と異世界が入れ混じった世界…動物は死んでも消えない…慣れるしかないか)

「早紀?」「あぁ!いや、なんでもない」「もう!変な早紀!」2人はまたもや笑いながら歩いていった。

「早紀…【RA強制解放】あのようなスキル持ちが居るとは…これからが楽しみになりそうじゃな」リオネスは一人椅子に座りながら笑っていた。
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