クリスの物語

daichoro

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第四章 パラレルワールド

第43話 マザーシップ

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『すごーい!あれが、かつて地表世界にいたという恐竜ね』



 広大な草原を優雅に歩くブラキオサウルスの群れを指差して、クレアがはしゃいだ。エンダやベベも、興奮した様子で飛び回っている。



『ベベ!あんまり遠くへ行っちゃダメだよ!』とクリスが注意すれば、『もう。エンダも勝手にいなくなったりしないで』と優里がエンダを叱った。



 草原には他にもトリケラトプスやステゴサウルスがいるし、空にはプテラノドンのような翼竜もいる。見渡す限り、あちこちに絶滅したはずの恐竜や動物がいた。

 それだけではなく、ドラゴンやペガサス、ユニコーンやグリフォンなどの幻獣といわれる生物も共存している。

 周囲には小高い山がそびえ、川も流れ、湖もある。一方、最新鋭の設備を備えた巨大な建物がそこかしこにあり、地下にはたくさんの人が生活する街がある。



 そんなここは一体どこなのかというと、地球から3万光年ほど離れた宇宙空間に浮遊する銀河連邦のマザーシップの中だ。

 まさか宇宙船の中にこんな風景が広がっているとは、クリスたちも信じられなかった。

 さらに3次元的視点で見た場合、マザーシップの大きさはオーストラリアの面積を優に超えるということだった。



 そんな超巨大なマザーシップに、クリスたち一行は闇の勢力との死闘の後、銀河連邦によって連れてこられた。

 一行を迎えに来たのは、太陽系地球担当のアラミスという女性だった。マーティスが生前、常々コンタクトを取っていた人物だ。



 闇の勢力との戦いを終え、クリスタルエレメントを回収して本拠地を後にした一行の元へ宇宙船に乗って登場した。

 疲労困憊の一同は倒れ込むように宇宙船に乗り込み、マルゲリウムで休息を取った。



 アラミスが一行をマザーシップへ招待した目的は、クリスタルエレメントを銀河連邦にて保管するためだった。

 地球はあまりにも闇の勢力に魅入られてしまっていた。そのため、13人の神官が揃うまでクリスタルエレメントを特別に銀河連邦で保管していいという許可が宇宙連盟から下りたのだった。



 本来であれば各惑星で起きた問題は、その惑星内で解決する必要がある。そのため惑星内の人間を通じて間接的な手助けはできたとしても、このような直接的な手出しはできないことになっている。

 しかし地球を牛耳っていた闇の勢力を駆逐したことで、地球は自らの力で闇を葬り光へと進む選択をしたことが宇宙でも完全に認められた。



『当然、その立役者となったあなた方がいたからこそです』と、死力を尽くして戦ったクリスたち一行をアラミスは労った。



 宇宙的な観点から見れば、地球人類の集合意識が光への道を選択したことによって采配されたメンバーだった。

 そのため、銀河連邦もメンバーに信頼を置いていた。しかし、それでも地球の運命がクリスたちの手に掛かっていたことは紛れもない事実だった。



 そして、見事その任務を遂行したメンバーをもてなしたいという銀河連邦の意向もあって、クリスたちはこうしてマザーシップへ呼ばれたのだった。




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