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第四章 パラレルワールド
第33話 助っ人
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全員が一斉にうしろを振り返った。
そこには、得意気な顔をして腕組みをするクレアが立っていた。その後ろには、人の姿をしたエランドラとラマルもいる。
『なんでクレアがここにいるの?』と、紗奈が尋ねた。嬉しそうに顔をほころばせている。
『そりゃあ、わたしたちがいなかったらやっぱり不安でしょう?』
クレアは腕組みをしたまま、すまし顔で答えた。
『そうじゃなくて、なんでここを知ってるの?だって、このことはクレアたちにも秘密にしてあったはずでしょう?』
紗奈が振り返ってマーティスに確認すると、マーティスは『そのはずです』とうなずいた。
『ああ、それはね。ロズウェル先生から言われたの。行って、クリスたちの力になってあげるようにって。銀河連邦の人間だって名乗る女の人が突然ロズウェル先生のところにやってきて、わたしたちにそう伝えるように言われたって先生言ってた。場所も教えてくれたって』
全員がマーティスの方を向いた。マーティスは、心当たりがないというように首を傾げた。
『ところでロズウェル先生から聞いたけど、地底都市にスパイがいてクリスタルエレメントが盗まれてしまったっていうのは、本当なの?』
クレアの質問に、一同がうなずいた。
『それでそのスパイっていったい誰なの?』
『それはまだ分からないんだ』とクリスが首を振ると、クレアは『ふーん』と言って腕を組んだ。
そこへ、少年のうめき声が聞こえてきた。横になって動けずにいる少年の内のひとりが、青い顔をして悶えている。
先ほど、紗奈に攻撃を仕掛けて腕の骨を折った少年だった。すぐさま紗奈がそばへ駆け寄っていった。そして、少年の腕に向かってカンターメルを唱えた。
「オスネクトセラーピア」
するとあらぬ方向に曲がっていた少年の腕は、みるみる元通りに戻っていった。元に戻っていく自分の腕を、少年は奇異な目で見つめた。
『この人たち、どうする?』
地面に倒れる少年たちを指差して、紗奈が尋ねた。その向こうでは、気を失ったボスが倒れている。
『そうだね。いっそのこと、記憶をすべて消してしまおうか』
紗奈のそばへ歩み寄って、ハーディが言った。
「トート・メモーレフェクティオ」
ボスの元へ近づいていって頭に指先を向けると、ハーディはカンターメルを唱えた。それから脇に転がる黒い杖を拾い上げた。
そして両手でそれをへし折り、魔法で燃やしてしまった。そのあと、倒れたまま身動きできずにいる少年たちのところへ移動した。
少年たちは、皆怯えた様子で青ざめている。
『インペローモがかけられているからそれを解いておかないと、誰かがまた人操のカンターメルを使ったら反応しちゃうよ』
少年たちを縛り上げた魔法をハーディが解こうとすると、クレアが言った。
『そうだったね。その解き方は知っているかな?』
ハーディが振り返ると、クレアは『ううん、知らない』と首を振った。
『ロズウェル先生なら知ってると思うけど』
『そうか。まあ仕方ない。そうしたら、ひとまず眠ってもらおう』
そう言って、ハーディは一人ひとり眠らせた。
それから縛り上げていた魔法を解いて、ここ数日間分の記憶とお互いに関する記憶を全員から消し去った。
『これで目が覚めたときには、ボスも彼らもお互いに見知らぬ者同士になっているさ』
ハーディは振り返ってそう言うと、クレアに向かってウィンクした。
クレアはぽかんとした顔をして、首をひねった。
その後、クリスがクレアとラマル、エランドラにハーディを紹介した。それから、これからの作戦について簡単に説明した。
『ところで、エランドラやラマルはその姿で大丈夫なの?』
クリスがひと通り説明すると、紗奈が不思議そうに聞いた。
地表世界では、人の姿にシェイプシフトするのはエランドラやラマルにとってきついと以前言っていた。
『ええ。この中は大丈夫よ。地下ということもあるし、それに強力なバリアーが張られているようだから、わたしたちの体への3次元的影響が少ないの』と、エランドラが笑顔で答えた。
「へぇー」と、クリスと紗奈が驚くようにうなずいた。
張り巡らされているバリアーには、ホロロムルスが通じないというマイナスの要素があるが、エランドラたちのような存在にとってはかえってプラスな面もあるようだ。
いずれにしてもクレアたち3人が加わってくれたことで、クリスや紗奈の顔から自然と笑みがこぼれた。
そこには、得意気な顔をして腕組みをするクレアが立っていた。その後ろには、人の姿をしたエランドラとラマルもいる。
『なんでクレアがここにいるの?』と、紗奈が尋ねた。嬉しそうに顔をほころばせている。
『そりゃあ、わたしたちがいなかったらやっぱり不安でしょう?』
クレアは腕組みをしたまま、すまし顔で答えた。
『そうじゃなくて、なんでここを知ってるの?だって、このことはクレアたちにも秘密にしてあったはずでしょう?』
紗奈が振り返ってマーティスに確認すると、マーティスは『そのはずです』とうなずいた。
『ああ、それはね。ロズウェル先生から言われたの。行って、クリスたちの力になってあげるようにって。銀河連邦の人間だって名乗る女の人が突然ロズウェル先生のところにやってきて、わたしたちにそう伝えるように言われたって先生言ってた。場所も教えてくれたって』
全員がマーティスの方を向いた。マーティスは、心当たりがないというように首を傾げた。
『ところでロズウェル先生から聞いたけど、地底都市にスパイがいてクリスタルエレメントが盗まれてしまったっていうのは、本当なの?』
クレアの質問に、一同がうなずいた。
『それでそのスパイっていったい誰なの?』
『それはまだ分からないんだ』とクリスが首を振ると、クレアは『ふーん』と言って腕を組んだ。
そこへ、少年のうめき声が聞こえてきた。横になって動けずにいる少年の内のひとりが、青い顔をして悶えている。
先ほど、紗奈に攻撃を仕掛けて腕の骨を折った少年だった。すぐさま紗奈がそばへ駆け寄っていった。そして、少年の腕に向かってカンターメルを唱えた。
「オスネクトセラーピア」
するとあらぬ方向に曲がっていた少年の腕は、みるみる元通りに戻っていった。元に戻っていく自分の腕を、少年は奇異な目で見つめた。
『この人たち、どうする?』
地面に倒れる少年たちを指差して、紗奈が尋ねた。その向こうでは、気を失ったボスが倒れている。
『そうだね。いっそのこと、記憶をすべて消してしまおうか』
紗奈のそばへ歩み寄って、ハーディが言った。
「トート・メモーレフェクティオ」
ボスの元へ近づいていって頭に指先を向けると、ハーディはカンターメルを唱えた。それから脇に転がる黒い杖を拾い上げた。
そして両手でそれをへし折り、魔法で燃やしてしまった。そのあと、倒れたまま身動きできずにいる少年たちのところへ移動した。
少年たちは、皆怯えた様子で青ざめている。
『インペローモがかけられているからそれを解いておかないと、誰かがまた人操のカンターメルを使ったら反応しちゃうよ』
少年たちを縛り上げた魔法をハーディが解こうとすると、クレアが言った。
『そうだったね。その解き方は知っているかな?』
ハーディが振り返ると、クレアは『ううん、知らない』と首を振った。
『ロズウェル先生なら知ってると思うけど』
『そうか。まあ仕方ない。そうしたら、ひとまず眠ってもらおう』
そう言って、ハーディは一人ひとり眠らせた。
それから縛り上げていた魔法を解いて、ここ数日間分の記憶とお互いに関する記憶を全員から消し去った。
『これで目が覚めたときには、ボスも彼らもお互いに見知らぬ者同士になっているさ』
ハーディは振り返ってそう言うと、クレアに向かってウィンクした。
クレアはぽかんとした顔をして、首をひねった。
その後、クリスがクレアとラマル、エランドラにハーディを紹介した。それから、これからの作戦について簡単に説明した。
『ところで、エランドラやラマルはその姿で大丈夫なの?』
クリスがひと通り説明すると、紗奈が不思議そうに聞いた。
地表世界では、人の姿にシェイプシフトするのはエランドラやラマルにとってきついと以前言っていた。
『ええ。この中は大丈夫よ。地下ということもあるし、それに強力なバリアーが張られているようだから、わたしたちの体への3次元的影響が少ないの』と、エランドラが笑顔で答えた。
「へぇー」と、クリスと紗奈が驚くようにうなずいた。
張り巡らされているバリアーには、ホロロムルスが通じないというマイナスの要素があるが、エランドラたちのような存在にとってはかえってプラスな面もあるようだ。
いずれにしてもクレアたち3人が加わってくれたことで、クリスや紗奈の顔から自然と笑みがこぼれた。
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