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第三章 悪魔の儀式
第55話 凱旋
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「結局やっぱり、田川先生って闇の勢力だったんだね」と、帰りのアダマスカル内でクリスが言った。
「本当、最悪」
あり得ない、という表情で紗奈は吐き捨てた。
「学校はどうなっちゃうんだろう。また新しい先生が来るのかな?」
さすがに、田川先生がまたのこのこと姿を現すことはないだろうとクリスは踏んでいた。
「さあ、どうだろう?」
紗奈は首をひねった。
「でも、その前にこのまま素直に引き下がると思う?」
「え、まだ諦めてないってこと?」
クリスが聞き返すと、紗奈は「わかんないけど」と肩をすくめた。
「だってこれで地球がアセンドしちゃったら、闇の勢力はもう地球からいられなくなるのでしょう?それなら、最後までもっと躍起になってアセンションを阻止しようとする気がするけど。なんかちょっと諦めが早いというか・・・」
『さすがに、これ以上は闇の勢力も手出しできないと思うよ』
紗奈の言葉に反応して、クレアが割って入った。
『なんでそう思うの?』と、紗奈が聞き返した。
『だって、クリスタルエレメントは中央部で保管されるわけだからね。それを闇の勢力が武力行使してきたら、それこそ宇宙連盟が黙ってないよ。そうしたら宇宙戦争にでも発展しかねない。
いくらなんでも、闇の勢力はそこまでして地球のアセンションを阻止しようとは考えないよ』
『ふーん』
クレアの言葉に紗奈は珍しく納得すると、「それなら、心配ないのかな」とつぶやいた。
「でも不思議に思ったのが、田川先生のルーベラピスってウェントゥスに反応していたでしょ?選ばれし者でないと反応しないはずなのに、なんで反応したんだろう?しかも、ぼくのルーベラピスが反応するよりもずっと前から反応していたし」
クリスのそんな疑問を『そんなの細工がしてあっただけだよ』と、クレアがひと言で切り捨てた。
『そうなのかな?』
『当たり前でしょう?』
すまし顔でクレアは言った。クリスは釈然としない思いを抱えながらも、もう終わったことだし考えても仕方ないと忘れることにした。
エルカテオスに到着した一行は、パーティ会場に案内されると万雷の拍手で迎えられた。
各都市の王や中央部の人間など総勢300名以上は集っていた。クレアの両親やアニムス養成校の教師たちまで来ていた。フィオナが代表してソレーテにウェントゥスを託すと、惜しみない拍手が送られた。それから、パーティが始まった。
地底都市では肉や魚などの“動”の食物は一切口にされない。しかし会場のテーブルには、野菜や穀物だけで作られたとは想像もつかないほどの豪勢な料理が並べられていた。
どの料理も美味しくて、地上から来たクリスたち三人は色んな料理を試しては舌鼓を打った。この時ばかりは特別にと、クリスはベベにもたらふく食べさせてあげた。
『この度は、誠にありがとうございました』
皆が歓談している中、ソレーテがクリスたちの元へやってきて改めて礼を述べた。
『今回も地上からきた皆さんのご活躍があったからこそ、無事にウェントゥスが入手できたとトルメイも申しておりました』
『いえ、たまたま運が良かっただけです』
クリスは、料理を口にしたまま首を振った。
『それより、風光都市は闇の勢力に乗っ取られていたようですけど市民の方たちは大丈夫なんですか?』
料理を咀嚼しながら、クリスは気になっていたことを質問した。思念での会話は、食事をしているときとても便利だ。
『そちらについては現在状況を確認中ですが、銀河連邦ならびに他の各都市へも協力を仰ぎ収束させますのでご心配いりません。恐らく闇の勢力も我々がクリスタルエレメントをすべて手中に収めたことで、地球からすでに撤退の準備を進めているはずですから自然と解決するかとは思いますが』
『そうなんですか?』と、クリスは聞き返した。先ほどアダマスカル内でクレアが言っていた通り、闇の勢力はもう諦めたということだろうか。
『はい。アセンションが始まった後も地球へ留まっていれば闇の勢力も身を滅ぼしてしまいますから、その前に退却するでしょう』
そう言って、ソレーテはにっこり微笑んだ。
『とにかく、いち早く神官を集めてアセンションの儀式を執り行うことで、すべての問題を解決へと導くことができます。そして、それについては私どもが責任を持って完遂いたしますので、安心してお任せください』
それからソレーテはまた礼を述べると、クリスたちにセテオスへの自由な立入許可と滞在許可を与えることを約束した。
その後パーティを終えてから、クリスと紗奈は優里に地底都市を案内して回った。
地底図書館へ行ってラムザと再会したり、ベスタメルナへ行ってベベのピューラを仕立て直してもらったりもした。
そしてアニムス養成校では、ロズウェル先生からピューラの特性を伸ばす魔法(マージア)の手ほどきを本格的に受けた。
闇の勢力と戦ったときに、クリスはアクアドラゴンの特性である水魔法だけでは戦力不足だと感じていた。
今後闇の勢力と対決することは恐らくもうないだろうが、能力を伸ばしておくに越したことはない。それで、クリスのピューラのもう一つの特性であるアースドラゴンの土魔法も扱えるよう訓練した。
優里も紗奈もそれぞれのピューラの特性に応じた魔法のカンターメルを一から覚え、状況に応じて使い分けられるよう練習した。
また、養成校の生徒たちと一緒に魔法の授業に参加してピューラの特性に応じた魔法だけでなく、テステクのように生命エネルギーを魔法へ返還させる魔道具を使っての基礎的な魔法のレッスンも受けた。
さらに、コミュニケーションの授業では思念のコントロール方法なども学習した。それにより、相手に自分の思考を読み取らせないようにしたり、特定の相手にだけ思念を飛ばしたりすることができるようになった。
すべての心配がなくなったため、皆解放的になって大はしゃぎでとても楽しい時間を過ごした。
『それじゃあクレア、エランドラ、ラマルみんな元気で』
“お城”の裏の空き地に降ろしてもらって、クリスたちは別れの挨拶をした。
存分に地底都市での滞在を満喫した後、地表世界へ戻ってきた。しばらくぶりの地上だった。
紗奈がスマホを取り出して時刻を確認した。
感覚的には数か月くらい経っている気がしたが、やはり出かけた時とほぼ同じ日時だった。紗奈のスマホに示された日付を見て、クリスは大事なことを思い出した。
「あ、来週期末テストだ」
家に帰ったら勉強しないといけないと思うと、楽しく弾んでいた心が一気に重く沈んだ。
ソレーテによれば、十三人の神官が揃うのはいつになるか分からないということだった。
神官は、すでに決まっているというわけではなかった。
クリスタルエレメントを獲得する選ばれし者が自ずと導かれたように、クリスタルエレメントが5つ揃ったことにより、神官も自ずと導かれることになるのだという。
その時がくるまで、クリスタルエレメントは地底都市で責任もって厳重に保管するとソレーテは約束した。
そしてそれまでは、日々の生活に戻ってその日を待つ必要がある。
つまりそれは、来週必ずやってくる期末テストも避けられないということを意味する。
『ユリ。エンダがユリを乗せて飛翔できるほど大きくなるまでは、あまり外へ連れ回さないようにね』
エランドラが、優里に念を押した。
地底都市に滞在している間に、エンダはすでにベベくらいのサイズにまで成長していた。
しかし皮膚がまだ弱いため、地表世界の太陽の日射しはあまり浴びせない方がいいとエランドラは言った。
だからといってエンダだけ地底世界へ残していくよりは、優里と一緒に過ごして一体化を進めた方がお互いのために良い。そのため、優里が地表世界で育てることになった。
『はい。分かりました』と、優里はエンダを両腕に抱いてエランドラに頭を下げた。
『みんなにはまた会えるよね?』
クリスがそう言ってエランドラとクレア、ラマルの顔を見回すと、三人とも笑顔でうなずいた。
『アセンションが始まれば地表世界と地底世界の交流が公に始まって、お互いにより容易に行き来できるようになるわ』と、エランドラが言った。
『そっか。それならよかった。そうしたら、またみんなと会えるんだね』
『当たり前じゃない、そんなの。それに、どうせまた何か問題が起きてすぐまた会いにくることになるよ』
クレアは冗談めかしてそう言うと、いたずらっぽく笑った。
『うん、そうかもね』と、クリスも笑って冗談を返した。
みんな笑顔だった。
その後別れの挨拶をすると、飛び去っていく三人の姿が見えなくなるまでクリスたちは手を振った。
三人を見送ってから、何かを思い出したように紗奈が「あ」と声を発した。
「どうしたの?」と、優里が心配そうに聞き返した。
「自転車、学校に置きっぱなしだった」
やっちゃった、というように紗奈は舌を出した。
「まあ、でも優里を送りがてら取りに行けばいいか」
紗奈の言葉に、クリスと優里は笑いながらうなずいた。坂道を下る足取りは、いつになく軽やかだった。
クレアの言った冗談が現実になるなんて、その時はまだ誰も想像していなかった。
────第三章 悪魔の儀式 完────
長々とここまでお読みくださり、ありがとうございました!
次回より、いよいよ最終章に突入します。
ローマを舞台に前世とのつながりを感じながら、いよいよ最後の決戦へと臨むことになるクリスたち────。
引き続き、ぜひお楽しみください♪
「本当、最悪」
あり得ない、という表情で紗奈は吐き捨てた。
「学校はどうなっちゃうんだろう。また新しい先生が来るのかな?」
さすがに、田川先生がまたのこのこと姿を現すことはないだろうとクリスは踏んでいた。
「さあ、どうだろう?」
紗奈は首をひねった。
「でも、その前にこのまま素直に引き下がると思う?」
「え、まだ諦めてないってこと?」
クリスが聞き返すと、紗奈は「わかんないけど」と肩をすくめた。
「だってこれで地球がアセンドしちゃったら、闇の勢力はもう地球からいられなくなるのでしょう?それなら、最後までもっと躍起になってアセンションを阻止しようとする気がするけど。なんかちょっと諦めが早いというか・・・」
『さすがに、これ以上は闇の勢力も手出しできないと思うよ』
紗奈の言葉に反応して、クレアが割って入った。
『なんでそう思うの?』と、紗奈が聞き返した。
『だって、クリスタルエレメントは中央部で保管されるわけだからね。それを闇の勢力が武力行使してきたら、それこそ宇宙連盟が黙ってないよ。そうしたら宇宙戦争にでも発展しかねない。
いくらなんでも、闇の勢力はそこまでして地球のアセンションを阻止しようとは考えないよ』
『ふーん』
クレアの言葉に紗奈は珍しく納得すると、「それなら、心配ないのかな」とつぶやいた。
「でも不思議に思ったのが、田川先生のルーベラピスってウェントゥスに反応していたでしょ?選ばれし者でないと反応しないはずなのに、なんで反応したんだろう?しかも、ぼくのルーベラピスが反応するよりもずっと前から反応していたし」
クリスのそんな疑問を『そんなの細工がしてあっただけだよ』と、クレアがひと言で切り捨てた。
『そうなのかな?』
『当たり前でしょう?』
すまし顔でクレアは言った。クリスは釈然としない思いを抱えながらも、もう終わったことだし考えても仕方ないと忘れることにした。
エルカテオスに到着した一行は、パーティ会場に案内されると万雷の拍手で迎えられた。
各都市の王や中央部の人間など総勢300名以上は集っていた。クレアの両親やアニムス養成校の教師たちまで来ていた。フィオナが代表してソレーテにウェントゥスを託すと、惜しみない拍手が送られた。それから、パーティが始まった。
地底都市では肉や魚などの“動”の食物は一切口にされない。しかし会場のテーブルには、野菜や穀物だけで作られたとは想像もつかないほどの豪勢な料理が並べられていた。
どの料理も美味しくて、地上から来たクリスたち三人は色んな料理を試しては舌鼓を打った。この時ばかりは特別にと、クリスはベベにもたらふく食べさせてあげた。
『この度は、誠にありがとうございました』
皆が歓談している中、ソレーテがクリスたちの元へやってきて改めて礼を述べた。
『今回も地上からきた皆さんのご活躍があったからこそ、無事にウェントゥスが入手できたとトルメイも申しておりました』
『いえ、たまたま運が良かっただけです』
クリスは、料理を口にしたまま首を振った。
『それより、風光都市は闇の勢力に乗っ取られていたようですけど市民の方たちは大丈夫なんですか?』
料理を咀嚼しながら、クリスは気になっていたことを質問した。思念での会話は、食事をしているときとても便利だ。
『そちらについては現在状況を確認中ですが、銀河連邦ならびに他の各都市へも協力を仰ぎ収束させますのでご心配いりません。恐らく闇の勢力も我々がクリスタルエレメントをすべて手中に収めたことで、地球からすでに撤退の準備を進めているはずですから自然と解決するかとは思いますが』
『そうなんですか?』と、クリスは聞き返した。先ほどアダマスカル内でクレアが言っていた通り、闇の勢力はもう諦めたということだろうか。
『はい。アセンションが始まった後も地球へ留まっていれば闇の勢力も身を滅ぼしてしまいますから、その前に退却するでしょう』
そう言って、ソレーテはにっこり微笑んだ。
『とにかく、いち早く神官を集めてアセンションの儀式を執り行うことで、すべての問題を解決へと導くことができます。そして、それについては私どもが責任を持って完遂いたしますので、安心してお任せください』
それからソレーテはまた礼を述べると、クリスたちにセテオスへの自由な立入許可と滞在許可を与えることを約束した。
その後パーティを終えてから、クリスと紗奈は優里に地底都市を案内して回った。
地底図書館へ行ってラムザと再会したり、ベスタメルナへ行ってベベのピューラを仕立て直してもらったりもした。
そしてアニムス養成校では、ロズウェル先生からピューラの特性を伸ばす魔法(マージア)の手ほどきを本格的に受けた。
闇の勢力と戦ったときに、クリスはアクアドラゴンの特性である水魔法だけでは戦力不足だと感じていた。
今後闇の勢力と対決することは恐らくもうないだろうが、能力を伸ばしておくに越したことはない。それで、クリスのピューラのもう一つの特性であるアースドラゴンの土魔法も扱えるよう訓練した。
優里も紗奈もそれぞれのピューラの特性に応じた魔法のカンターメルを一から覚え、状況に応じて使い分けられるよう練習した。
また、養成校の生徒たちと一緒に魔法の授業に参加してピューラの特性に応じた魔法だけでなく、テステクのように生命エネルギーを魔法へ返還させる魔道具を使っての基礎的な魔法のレッスンも受けた。
さらに、コミュニケーションの授業では思念のコントロール方法なども学習した。それにより、相手に自分の思考を読み取らせないようにしたり、特定の相手にだけ思念を飛ばしたりすることができるようになった。
すべての心配がなくなったため、皆解放的になって大はしゃぎでとても楽しい時間を過ごした。
『それじゃあクレア、エランドラ、ラマルみんな元気で』
“お城”の裏の空き地に降ろしてもらって、クリスたちは別れの挨拶をした。
存分に地底都市での滞在を満喫した後、地表世界へ戻ってきた。しばらくぶりの地上だった。
紗奈がスマホを取り出して時刻を確認した。
感覚的には数か月くらい経っている気がしたが、やはり出かけた時とほぼ同じ日時だった。紗奈のスマホに示された日付を見て、クリスは大事なことを思い出した。
「あ、来週期末テストだ」
家に帰ったら勉強しないといけないと思うと、楽しく弾んでいた心が一気に重く沈んだ。
ソレーテによれば、十三人の神官が揃うのはいつになるか分からないということだった。
神官は、すでに決まっているというわけではなかった。
クリスタルエレメントを獲得する選ばれし者が自ずと導かれたように、クリスタルエレメントが5つ揃ったことにより、神官も自ずと導かれることになるのだという。
その時がくるまで、クリスタルエレメントは地底都市で責任もって厳重に保管するとソレーテは約束した。
そしてそれまでは、日々の生活に戻ってその日を待つ必要がある。
つまりそれは、来週必ずやってくる期末テストも避けられないということを意味する。
『ユリ。エンダがユリを乗せて飛翔できるほど大きくなるまでは、あまり外へ連れ回さないようにね』
エランドラが、優里に念を押した。
地底都市に滞在している間に、エンダはすでにベベくらいのサイズにまで成長していた。
しかし皮膚がまだ弱いため、地表世界の太陽の日射しはあまり浴びせない方がいいとエランドラは言った。
だからといってエンダだけ地底世界へ残していくよりは、優里と一緒に過ごして一体化を進めた方がお互いのために良い。そのため、優里が地表世界で育てることになった。
『はい。分かりました』と、優里はエンダを両腕に抱いてエランドラに頭を下げた。
『みんなにはまた会えるよね?』
クリスがそう言ってエランドラとクレア、ラマルの顔を見回すと、三人とも笑顔でうなずいた。
『アセンションが始まれば地表世界と地底世界の交流が公に始まって、お互いにより容易に行き来できるようになるわ』と、エランドラが言った。
『そっか。それならよかった。そうしたら、またみんなと会えるんだね』
『当たり前じゃない、そんなの。それに、どうせまた何か問題が起きてすぐまた会いにくることになるよ』
クレアは冗談めかしてそう言うと、いたずらっぽく笑った。
『うん、そうかもね』と、クリスも笑って冗談を返した。
みんな笑顔だった。
その後別れの挨拶をすると、飛び去っていく三人の姿が見えなくなるまでクリスたちは手を振った。
三人を見送ってから、何かを思い出したように紗奈が「あ」と声を発した。
「どうしたの?」と、優里が心配そうに聞き返した。
「自転車、学校に置きっぱなしだった」
やっちゃった、というように紗奈は舌を出した。
「まあ、でも優里を送りがてら取りに行けばいいか」
紗奈の言葉に、クリスと優里は笑いながらうなずいた。坂道を下る足取りは、いつになく軽やかだった。
クレアの言った冗談が現実になるなんて、その時はまだ誰も想像していなかった。
────第三章 悪魔の儀式 完────
長々とここまでお読みくださり、ありがとうございました!
次回より、いよいよ最終章に突入します。
ローマを舞台に前世とのつながりを感じながら、いよいよ最後の決戦へと臨むことになるクリスたち────。
引き続き、ぜひお楽しみください♪
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