114 / 227
第二章 クリスタルエレメント
第62話 英雄
しおりを挟む
体に力がみなぎってくるのを感じ、クリスは目を覚ました。
暗く狭い空間の中だった。閉じ込められたのかと思い焦って体を起こすと、それに合わせて覆っていたカバーが自動で開いた。
クリスが横になっていたのは、体力回復装置“マルゲリウム”の中だった。どうやらその中で寝かせられていたようだ。どれほど眠っていたのか分からないが、たしかにすっかり体力を回復している。
クリスは周囲を見回した。壁も床も天井もすべて白で統一され、大きな窓からは日が差し込み部屋の中はとても明るい。部屋には他にラプーモやポルタール、大きなベッドにソファもある。まるでラグジュアリーホテルのスイートルームのようだった。クリス以外に、部屋には誰もいない。
外がやけに騒がしい。外の様子を見ようとしてクリスがマルゲリウムから降りると、部屋のドアが開いた。そして海底人と思しき、すらりとした背の高い女性が入ってきた。
『ご気分はいかがですか?』
一礼してから、女性がクリスに微笑みかけた。
『あ、はい。気分はいいです』
状況が飲み込めずに戸惑いながらも、クリスは頭を下げた。
『あの、ここはどこですか?』
部屋の中を見回して、クリスは尋ねた。
『こちらはポセイドーンです』
微笑みを浮かべたまま女性は答えた。
『皆様がお待ちです。こちらへどうぞ』
出口を示すと、女性が先導して部屋を出た。クリスは黙って後に続いた。そしてエレベーターに乗って別の階へと案内された。
降り立った階には、幅が広く長い廊下が続いていた。
女性の後に従って廊下を突き進むと、突き当りに巨大で重厚な扉が構えていた。
先導していた女性が扉の前で脇へよけ、クリスに向かって深々と頭を下げた。すると、その重厚な扉が音もなく自動で開いた。
扉の向こうでは、椅子やソファに腰かける紗奈やクレアたちの姿があった。入ってきたクリスに気づくと、皆が駆け寄った。真っ先に飛んできたベベをクリスは抱きとめた。
「大丈夫?」
今にも泣き出しそうな表情で、心配そうに紗奈が声をかけた。
『マルゲリウムでこれだけ寝たから大丈夫でしょ』
隣ですまし顔のクレアが言った。クレアは顔や体の傷跡がすっかりなくなり、元気そうだった。
エランドラやラマル、マーティスにアルメイオンと、全員無事に揃っていた。一同を見回して、クリスは笑顔でうなずき返した。それから、はっと思い出したように尋ねた。
『アクアはどうなったの?』
すると、全員うしろを振り返った。皆の見つめる先には、ガイオンがいた。
玉座に腰かけたガイオンの手には、アクアが握られている。
それを目にしたクリスは、一抹の不安を覚えた。なぜガイオンがアクアを手にしているのか。奪われてしまったのだろうか?
そんなクリスの思いを悟ったように、ガイオンが立ち上がった。
『クリス。ご苦労だった』
クリスの元へ歩み寄ると、ガイオンが言った。それから片膝をつき、アクアを差し出した。
『君の勇敢さには恐れ入ったよ』
抱いていたベベを放して差し出されたアクアを両手で受け取ってから、クリスは怪訝な表情で隣に立つクレアの方を振り向いた。
クレアは肩をすくめた。
『ごめんなさい。すべてわたしがいけないの』
アルメイオンが一歩進み出て謝った。そして一部始終を説明した。
アルメイオンの話によると、グレンにそそのかされてアルメイオンはずっと選ばれし者をグレンに引き合わせる手引きをしてきたそうだ。
ボラルク同様アルメイオンはグレンの思想に惹かれ、グレンを支持してきた。しかし、いつからかグレンは闇の勢力に取り込まれていたというわけだ。
知らなかったとはいえ、間接的にも闇の勢力の手助けをしていたことをアルメイオンは恥じた。
『父が闇の勢力に引き込まれている可能性があるから用心した方がいいと言われ、それを信じて自分の父親まで疑っていたのだから救いようがないわよね』
アルメイオンは肩を落として、再度謝った。
そしてクリスを引き合わせたところ、クリスが真の選ばれし者であることをグレンは悟った。
そのため用済みとなったアルメイオンは、オケアノース王宮の地下牢獄へ囚われてしまった。
ところが運よく王宮を訪れたエランドラがアルメイオンの助けを求める声をキャッチすることができたために、無事救出された。
『本当に皆さまのおかげです』と言って、アルメイオンは恐縮するように頭を下げた。
『こいつのせいで、色々迷惑をかけてすまなかったな』
アルメイオンの頭に手を載せ、ガイオンが謝った。クリスは笑顔で首を振った。
とにかく無事にミッションを達成できたと思うと、自然と笑みがこぼれた。
それから改めて全員の顔を見回して、もうひとつ気づいたことがあった。
『そういえば、ローワンさんは?』
『ああ。あの人なら地底都市に強制送還されて、銀河連邦からの判決待ちだよ』
うつむくマーティスを尻目に、クレアが答えた。
『どういうこと?』
『あの人はね、グレンと一緒に闇の勢力に加担していたんだよ。それで海賊を使ってクリスを襲わせたってわけ』
まるで最初からすべてを知っていたかのような口ぶりで、クレアが話した。
『それで、当初は一からすべて海賊の仕業と見せかけてアクアを奪ってしまおうとしていたのだけれど、その計画が失敗してしまった。だからアルメイオンをクリスのもとに向かわせ、グレン自ら動いたというわけ。
そしてマーティスがローワンのことを中央部に報告し中央部で調べたところ、グレンの一連の計画に関与していたことが認められてそれで強制送還されるに至ったということだよ』
話を聞き終え、クリスは『そっか』とうなずいた。クレアのうしろでマーティスは申し訳なさそうにうつむいたままだったが、知らなかったわけだから仕方のないことだ。
『何にしてもクリスのピューラがアクアドラゴンとアースドラゴンの加護を受けていて、銃に撃たれても海底に落ちても死ななかったのは本当に幸運だったよね』と、クレアが声を弾ませた。
『でもやっぱりそれが“選ばれし者”としての運命だったというわけだよね。まぁそれもあって、グレンもクリスが真の選ばれし者だという確信を得たみたいだけどね』
そう言って、クレアは肩をすくめた。
その場にいる全員が、功績を讃えるようにクリスを見つめた。
『でも、いずれにしてもみんなが無事でよかったよ』
クリスは照れ隠しするようにそう言って視線を外すと、アクアを撫でた。
『それと、これを』
そう言ってエランドラが差し出したのは、ルーベラピスのついた短剣だった。グレンが海底洞窟の地面に突き刺したまま、置きっぱなしにしてきてしまったのだった。
『取って来てくれたの?』
エランドラは笑顔でうなずき返した。クリスは礼を言って受け取ると、それを腰に差した。
『そしたら、これからセテオスに戻るんだよね?』
クリスが顔を上げると、皆が笑顔でうなずいた。
『その前にこっちの民にも顔を見せてやってくれんか。英雄をひと目見たいとそこいら中から集まって、ずっと待ってるんだ』
窓の外を指差し、ガイオンが言った。
ひょっとして、さっきからずっと騒がしいと思っていたのはそれだろうか?
窓の方へ視線を向けて、クリスは耳をそばだてた。
ガイオンが窓辺に歩み寄ると、天井まである大きな窓がすっと自動的に開いた。それと同時に、人々の大合唱が流れ込んできた。
「クーリース!クーリース!」
皆がクリスの名前を呼んでいる。響き渡る声からして、相当な数の人が集まっている様子だった。
地上では聞いたこともないような音色の楽器も演奏され、陽気な音楽が流れていた。
半円に広がったバルコニーに歩み出ると、ガイオンが振り返って手招きをした。ガイオンの姿を目にして、人々の興奮が更に高まった。
『いいじゃん。あいさつしてあげなよ』
戸惑うクリスの腕を組んで、クレアが引っ張った。引っ張られていくクリスの元へベベが飛んでいって、頭の上に載った。
クリスが救いを求めるように紗奈に視線を向けると、紗奈は苦笑しながら手を振った。
広場は、予想以上に大勢の人で埋め尽くされていた。水路や空にも数多くの船が集まり、その上からも沢山の人が大声で叫びながら手を振っている。
クリスが顔を出すと、あちこちから花火も上がった。
クレアと一緒にアクアを掲げ、クリスは照れくさそうに小さく手を振り返した。
────第二章 クリスタルエレメント 完────
第二章もお読みくださり、ありがとうございます!
次回より「第三章 悪魔の儀式」に突入します。
タイトル通りこれまでと少し趣が変わるかもしれませんが、新たな仲間も増えてさらなる冒険へと旅立ちます。
是非、引き続きお楽しみください♪
暗く狭い空間の中だった。閉じ込められたのかと思い焦って体を起こすと、それに合わせて覆っていたカバーが自動で開いた。
クリスが横になっていたのは、体力回復装置“マルゲリウム”の中だった。どうやらその中で寝かせられていたようだ。どれほど眠っていたのか分からないが、たしかにすっかり体力を回復している。
クリスは周囲を見回した。壁も床も天井もすべて白で統一され、大きな窓からは日が差し込み部屋の中はとても明るい。部屋には他にラプーモやポルタール、大きなベッドにソファもある。まるでラグジュアリーホテルのスイートルームのようだった。クリス以外に、部屋には誰もいない。
外がやけに騒がしい。外の様子を見ようとしてクリスがマルゲリウムから降りると、部屋のドアが開いた。そして海底人と思しき、すらりとした背の高い女性が入ってきた。
『ご気分はいかがですか?』
一礼してから、女性がクリスに微笑みかけた。
『あ、はい。気分はいいです』
状況が飲み込めずに戸惑いながらも、クリスは頭を下げた。
『あの、ここはどこですか?』
部屋の中を見回して、クリスは尋ねた。
『こちらはポセイドーンです』
微笑みを浮かべたまま女性は答えた。
『皆様がお待ちです。こちらへどうぞ』
出口を示すと、女性が先導して部屋を出た。クリスは黙って後に続いた。そしてエレベーターに乗って別の階へと案内された。
降り立った階には、幅が広く長い廊下が続いていた。
女性の後に従って廊下を突き進むと、突き当りに巨大で重厚な扉が構えていた。
先導していた女性が扉の前で脇へよけ、クリスに向かって深々と頭を下げた。すると、その重厚な扉が音もなく自動で開いた。
扉の向こうでは、椅子やソファに腰かける紗奈やクレアたちの姿があった。入ってきたクリスに気づくと、皆が駆け寄った。真っ先に飛んできたベベをクリスは抱きとめた。
「大丈夫?」
今にも泣き出しそうな表情で、心配そうに紗奈が声をかけた。
『マルゲリウムでこれだけ寝たから大丈夫でしょ』
隣ですまし顔のクレアが言った。クレアは顔や体の傷跡がすっかりなくなり、元気そうだった。
エランドラやラマル、マーティスにアルメイオンと、全員無事に揃っていた。一同を見回して、クリスは笑顔でうなずき返した。それから、はっと思い出したように尋ねた。
『アクアはどうなったの?』
すると、全員うしろを振り返った。皆の見つめる先には、ガイオンがいた。
玉座に腰かけたガイオンの手には、アクアが握られている。
それを目にしたクリスは、一抹の不安を覚えた。なぜガイオンがアクアを手にしているのか。奪われてしまったのだろうか?
そんなクリスの思いを悟ったように、ガイオンが立ち上がった。
『クリス。ご苦労だった』
クリスの元へ歩み寄ると、ガイオンが言った。それから片膝をつき、アクアを差し出した。
『君の勇敢さには恐れ入ったよ』
抱いていたベベを放して差し出されたアクアを両手で受け取ってから、クリスは怪訝な表情で隣に立つクレアの方を振り向いた。
クレアは肩をすくめた。
『ごめんなさい。すべてわたしがいけないの』
アルメイオンが一歩進み出て謝った。そして一部始終を説明した。
アルメイオンの話によると、グレンにそそのかされてアルメイオンはずっと選ばれし者をグレンに引き合わせる手引きをしてきたそうだ。
ボラルク同様アルメイオンはグレンの思想に惹かれ、グレンを支持してきた。しかし、いつからかグレンは闇の勢力に取り込まれていたというわけだ。
知らなかったとはいえ、間接的にも闇の勢力の手助けをしていたことをアルメイオンは恥じた。
『父が闇の勢力に引き込まれている可能性があるから用心した方がいいと言われ、それを信じて自分の父親まで疑っていたのだから救いようがないわよね』
アルメイオンは肩を落として、再度謝った。
そしてクリスを引き合わせたところ、クリスが真の選ばれし者であることをグレンは悟った。
そのため用済みとなったアルメイオンは、オケアノース王宮の地下牢獄へ囚われてしまった。
ところが運よく王宮を訪れたエランドラがアルメイオンの助けを求める声をキャッチすることができたために、無事救出された。
『本当に皆さまのおかげです』と言って、アルメイオンは恐縮するように頭を下げた。
『こいつのせいで、色々迷惑をかけてすまなかったな』
アルメイオンの頭に手を載せ、ガイオンが謝った。クリスは笑顔で首を振った。
とにかく無事にミッションを達成できたと思うと、自然と笑みがこぼれた。
それから改めて全員の顔を見回して、もうひとつ気づいたことがあった。
『そういえば、ローワンさんは?』
『ああ。あの人なら地底都市に強制送還されて、銀河連邦からの判決待ちだよ』
うつむくマーティスを尻目に、クレアが答えた。
『どういうこと?』
『あの人はね、グレンと一緒に闇の勢力に加担していたんだよ。それで海賊を使ってクリスを襲わせたってわけ』
まるで最初からすべてを知っていたかのような口ぶりで、クレアが話した。
『それで、当初は一からすべて海賊の仕業と見せかけてアクアを奪ってしまおうとしていたのだけれど、その計画が失敗してしまった。だからアルメイオンをクリスのもとに向かわせ、グレン自ら動いたというわけ。
そしてマーティスがローワンのことを中央部に報告し中央部で調べたところ、グレンの一連の計画に関与していたことが認められてそれで強制送還されるに至ったということだよ』
話を聞き終え、クリスは『そっか』とうなずいた。クレアのうしろでマーティスは申し訳なさそうにうつむいたままだったが、知らなかったわけだから仕方のないことだ。
『何にしてもクリスのピューラがアクアドラゴンとアースドラゴンの加護を受けていて、銃に撃たれても海底に落ちても死ななかったのは本当に幸運だったよね』と、クレアが声を弾ませた。
『でもやっぱりそれが“選ばれし者”としての運命だったというわけだよね。まぁそれもあって、グレンもクリスが真の選ばれし者だという確信を得たみたいだけどね』
そう言って、クレアは肩をすくめた。
その場にいる全員が、功績を讃えるようにクリスを見つめた。
『でも、いずれにしてもみんなが無事でよかったよ』
クリスは照れ隠しするようにそう言って視線を外すと、アクアを撫でた。
『それと、これを』
そう言ってエランドラが差し出したのは、ルーベラピスのついた短剣だった。グレンが海底洞窟の地面に突き刺したまま、置きっぱなしにしてきてしまったのだった。
『取って来てくれたの?』
エランドラは笑顔でうなずき返した。クリスは礼を言って受け取ると、それを腰に差した。
『そしたら、これからセテオスに戻るんだよね?』
クリスが顔を上げると、皆が笑顔でうなずいた。
『その前にこっちの民にも顔を見せてやってくれんか。英雄をひと目見たいとそこいら中から集まって、ずっと待ってるんだ』
窓の外を指差し、ガイオンが言った。
ひょっとして、さっきからずっと騒がしいと思っていたのはそれだろうか?
窓の方へ視線を向けて、クリスは耳をそばだてた。
ガイオンが窓辺に歩み寄ると、天井まである大きな窓がすっと自動的に開いた。それと同時に、人々の大合唱が流れ込んできた。
「クーリース!クーリース!」
皆がクリスの名前を呼んでいる。響き渡る声からして、相当な数の人が集まっている様子だった。
地上では聞いたこともないような音色の楽器も演奏され、陽気な音楽が流れていた。
半円に広がったバルコニーに歩み出ると、ガイオンが振り返って手招きをした。ガイオンの姿を目にして、人々の興奮が更に高まった。
『いいじゃん。あいさつしてあげなよ』
戸惑うクリスの腕を組んで、クレアが引っ張った。引っ張られていくクリスの元へベベが飛んでいって、頭の上に載った。
クリスが救いを求めるように紗奈に視線を向けると、紗奈は苦笑しながら手を振った。
広場は、予想以上に大勢の人で埋め尽くされていた。水路や空にも数多くの船が集まり、その上からも沢山の人が大声で叫びながら手を振っている。
クリスが顔を出すと、あちこちから花火も上がった。
クレアと一緒にアクアを掲げ、クリスは照れくさそうに小さく手を振り返した。
────第二章 クリスタルエレメント 完────
第二章もお読みくださり、ありがとうございます!
次回より「第三章 悪魔の儀式」に突入します。
タイトル通りこれまでと少し趣が変わるかもしれませんが、新たな仲間も増えてさらなる冒険へと旅立ちます。
是非、引き続きお楽しみください♪
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
家族と移住した先で隠しキャラ拾いました
狭山ひびき@バカふり160万部突破
恋愛
「はい、ちゅーもーっく! 本日わたしは、とうとう王太子殿下から婚約破棄をされました! これがその証拠です!」
ヴィルヘルミーネ・フェルゼンシュタインは、そう言って家族に王太子から届いた手紙を見せた。
「「「やっぱりかー」」」
すぐさま合いの手を入れる家族は、前世から家族である。
日本で死んで、この世界――前世でヴィルヘルミーネがはまっていた乙女ゲームの世界に転生したのだ。
しかも、ヴィルヘルミーネは悪役令嬢、そして家族は当然悪役令嬢の家族として。
ゆえに、王太子から婚約破棄を突きつけられることもわかっていた。
前世の記憶を取り戻した一年前から準備に準備を重ね、婚約破棄後の身の振り方を決めていたヴィルヘルミーネたちは慌てず、こう宣言した。
「船に乗ってシュティリエ国へ逃亡するぞー!」「「「おー!」」」
前世も今も、実に能天気な家族たちは、こうして断罪される前にそそくさと海を挟んだ隣国シュティリエ国へ逃亡したのである。
そして、シュティリエ国へ逃亡し、新しい生活をはじめた矢先、ヴィルヘルミーネは庭先で真っ黒い兎を見つけて保護をする。
まさかこの兎が、乙女ゲームのラスボスであるとは気づかづに――
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる