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わたくしの予感は見事に当たりました。こういう時だけ良く当たります。
相手が相手です。わたくしは言葉に注意をしながら、今までのことを嘘偽りなくお伝えしました。嘘を吐けば不敬罪になりかねません。
全てを聞き終えると、王太子妃様はわたくしの話が真実か否か見極めるとおっしゃっいました。そうですよね、いくらわたくしが『全て真実です。』と言ったところで証拠がありません。でも、見極めるとは…どういうことでしょう。わたくし達が行っていたのは話し合いだというのに。
わたくしの疑問は直ぐに解消されました。ありがたくない解決方法の提示により。
王太子妃様はわたくしに一通の手紙を書くよう命じました。ヘンリカ様宛てに。内容は、二日後にいつもの会を催す、場所は騎士達が使用する会議室、というものです。最初は王宮内にあるサロンと場所を指定されたのですが、それでは騎士の妻達は皆恐縮してしまい何も話せなくなってしまうと漸く別の場所に変えてもらい行き着いたのが、件の会議室です。
王太子妃様付きの有能な侍女が、すぐに近衛騎士本部にある会議室の空き状況を調べ押さえて下さいました。しかも、その会議室には監視が出来るよう中からは分からない小窓があるそうです。わたくしのような者がそんなことを知ってしまって良かったのか別の疑問が残りますが、ここは王太子妃様の命に従ってのこと。良かったと思うしかありません。その監視小窓付きの会議室ならば、王太子妃様がおっしゃったように全て見極めることが出来るでしょう。勿論音も拾えるそうですから、王太子妃様に話している内容も全て知られるのでしょう。騎士団にある会議室です、わたくしが嘘を吐いていようがものならばそのまま引っ立てられてしまうという訳です。
嘘でなかったとしても内容が内容なので、その場で引っ立てられる心配もありますが…。
あら、わたくしはどちらでも薄氷を履むようなものではないでしょうか。
王太子妃様とのお茶会の内容も、二日後に行われるいつもの会のことも誰にも相談できずわたくしの時間は過ぎていきました。
そして迎えたお茶会。二日後の招集だったにも関わらず、多くの方が集まりました。
「だってラケルお姉様にお会いできるんですもの。」
「ご報告したいことが沢山ありますのよ。」
皆様楽しそうに話して下さいますが、全て王太子妃様に筒抜けだと思うとわたくし一人気が重くなります。
ですが、嘘は吐いていないことを証明する為にもいつもと同じようにしなくてはなりません。
その前に。
「今日は特別なお菓子とお茶を用意してもらったのよ。是非、楽しんでね。」
誰に用意して貰ったかは言えませんが、皆様まさか王太子妃様だとは思わないでしょう。
さあ、皆様、何も知らない皆様はいつも同様過ごして下さいな。
「では、課題の報告から行ってもらいましょうか。」
課題をどのように行ったかの報告、今後の課題などいつものように活発な話し合いが行われました。王太子妃様にはわたくしが嘘偽りなく全てを話したことが伝わったと思います。と同時にとんでもない言葉が飛び交っていることも伝わったでしょう。
「では、皆様、また次回お会いしましょう。」
会の締めくくりを皆様に伝えると、ルイース様が一歩わたくしに近づいてきました。
「ラケルお姉様、実はわたくし妊娠したようなのです。」
「まあ、おめでとう、ルイース。」
「旦那様のペニスが怖くて、いつも早く終わることを願っていたわたくしが妊娠するなんて…。」
「良かったわね。でも、これからが大変よ。子が胎から出てくるというのは、想像以上に大変なことなのよ。」
「あの、お姉様は四人もお産みになっているので出産に関する知識も授けていただけないでしょうか。」
「勿論よ。わたくしも医師である義弟のフレデリク様から色々教えてもらったのよ。栄養とか出産時に必要な筋力とか。何より、また旦那様と睦み合う為の出産後のあそこの締まりを鍛える方法もね。」
「まあ、お姉様から教えてもらえるならば色々上手くいきそう。」
「お姉様、わたくしもルイースと一緒に教えて貰ってもいいですか?」
「勿論よ。妊娠していなくても女性に必要な栄養や筋力には変わりないですもの。それにお互いにそういう知識を持ちあえば助け合えるわ。」
「はい!』
「それと皆様、重要なことなので忘れないでね。ルイースは愛し合った結果として妊娠したのよ。子作りの為に行為をすると思ってはダメ。いいわね。」
皆様、ご理解いただいているようでしっかり頷いて下さりました。子供が出来る出来ないばかりはコントロールできませんもの。重要なのは愛し合うこと、これを再認識していただかないと。
そしてわたくしは、全てが王太子妃様に筒抜けだったことを再認識しなくては。この後、個別に呼ばれているのですから。
相手が相手です。わたくしは言葉に注意をしながら、今までのことを嘘偽りなくお伝えしました。嘘を吐けば不敬罪になりかねません。
全てを聞き終えると、王太子妃様はわたくしの話が真実か否か見極めるとおっしゃっいました。そうですよね、いくらわたくしが『全て真実です。』と言ったところで証拠がありません。でも、見極めるとは…どういうことでしょう。わたくし達が行っていたのは話し合いだというのに。
わたくしの疑問は直ぐに解消されました。ありがたくない解決方法の提示により。
王太子妃様はわたくしに一通の手紙を書くよう命じました。ヘンリカ様宛てに。内容は、二日後にいつもの会を催す、場所は騎士達が使用する会議室、というものです。最初は王宮内にあるサロンと場所を指定されたのですが、それでは騎士の妻達は皆恐縮してしまい何も話せなくなってしまうと漸く別の場所に変えてもらい行き着いたのが、件の会議室です。
王太子妃様付きの有能な侍女が、すぐに近衛騎士本部にある会議室の空き状況を調べ押さえて下さいました。しかも、その会議室には監視が出来るよう中からは分からない小窓があるそうです。わたくしのような者がそんなことを知ってしまって良かったのか別の疑問が残りますが、ここは王太子妃様の命に従ってのこと。良かったと思うしかありません。その監視小窓付きの会議室ならば、王太子妃様がおっしゃったように全て見極めることが出来るでしょう。勿論音も拾えるそうですから、王太子妃様に話している内容も全て知られるのでしょう。騎士団にある会議室です、わたくしが嘘を吐いていようがものならばそのまま引っ立てられてしまうという訳です。
嘘でなかったとしても内容が内容なので、その場で引っ立てられる心配もありますが…。
あら、わたくしはどちらでも薄氷を履むようなものではないでしょうか。
王太子妃様とのお茶会の内容も、二日後に行われるいつもの会のことも誰にも相談できずわたくしの時間は過ぎていきました。
そして迎えたお茶会。二日後の招集だったにも関わらず、多くの方が集まりました。
「だってラケルお姉様にお会いできるんですもの。」
「ご報告したいことが沢山ありますのよ。」
皆様楽しそうに話して下さいますが、全て王太子妃様に筒抜けだと思うとわたくし一人気が重くなります。
ですが、嘘は吐いていないことを証明する為にもいつもと同じようにしなくてはなりません。
その前に。
「今日は特別なお菓子とお茶を用意してもらったのよ。是非、楽しんでね。」
誰に用意して貰ったかは言えませんが、皆様まさか王太子妃様だとは思わないでしょう。
さあ、皆様、何も知らない皆様はいつも同様過ごして下さいな。
「では、課題の報告から行ってもらいましょうか。」
課題をどのように行ったかの報告、今後の課題などいつものように活発な話し合いが行われました。王太子妃様にはわたくしが嘘偽りなく全てを話したことが伝わったと思います。と同時にとんでもない言葉が飛び交っていることも伝わったでしょう。
「では、皆様、また次回お会いしましょう。」
会の締めくくりを皆様に伝えると、ルイース様が一歩わたくしに近づいてきました。
「ラケルお姉様、実はわたくし妊娠したようなのです。」
「まあ、おめでとう、ルイース。」
「旦那様のペニスが怖くて、いつも早く終わることを願っていたわたくしが妊娠するなんて…。」
「良かったわね。でも、これからが大変よ。子が胎から出てくるというのは、想像以上に大変なことなのよ。」
「あの、お姉様は四人もお産みになっているので出産に関する知識も授けていただけないでしょうか。」
「勿論よ。わたくしも医師である義弟のフレデリク様から色々教えてもらったのよ。栄養とか出産時に必要な筋力とか。何より、また旦那様と睦み合う為の出産後のあそこの締まりを鍛える方法もね。」
「まあ、お姉様から教えてもらえるならば色々上手くいきそう。」
「お姉様、わたくしもルイースと一緒に教えて貰ってもいいですか?」
「勿論よ。妊娠していなくても女性に必要な栄養や筋力には変わりないですもの。それにお互いにそういう知識を持ちあえば助け合えるわ。」
「はい!』
「それと皆様、重要なことなので忘れないでね。ルイースは愛し合った結果として妊娠したのよ。子作りの為に行為をすると思ってはダメ。いいわね。」
皆様、ご理解いただいているようでしっかり頷いて下さりました。子供が出来る出来ないばかりはコントロールできませんもの。重要なのは愛し合うこと、これを再認識していただかないと。
そしてわたくしは、全てが王太子妃様に筒抜けだったことを再認識しなくては。この後、個別に呼ばれているのですから。
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