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王宮では8
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昨日同様、昼食はサンドイッチ。
しかし、昨日とは減り方が明らかに違った。アルフレッドも側近二人も書類仕事を片付ける手は動いているのだが、サンドイッチへは手があまり伸びなかった。
「先に言っておく、俺とテレンスを切り捨てるのを躊躇うな」
「…」
「アルが王太子であり続ける為には、院長や教師へそれ相当の罰を告げなくてはならない。さもなければ、アルと彼等に癒着があったと取られかねない。と同時に、俺達も学生だったとはいえ、彼等をミスリードさせることに加担したようなものだ。何が言いたいかは分かっているよな?」
「ああ。俺が選ぶ進退によって、お前達に掛かる迷惑の具合が変わってくる」
「それは気にするな。俺達はアルが王になる為に努力し続けていたのを知っている。それなのに、足を引っ張ってしまった。解決策を考えるのが最後の仕事になるかもしれないが、手は抜かないから安心しろ」
ジョイスが何を言わんとしているのかは、聞かなくても分かる。アルフレッドに王太子で居続けるよう言っているのだ。側近二人もまた現状を招いたとして任を解いたとしても。
それだけではない。残り三日と半日、これから聞かされる内容如何では任を解くだけでは済まない可能性もある。
間違ったことに対しては己の側近とて切り捨てる非情さをみせなければ、アルフレッドは感情に左右されやすいと見做される。それを避ける為に、ジョイスは自分へ対する扱いにも手を抜かず考えると言っているのだ。
全てはアルフレッドが招いたことだというのに。
学院でのスカーレットの言葉が蘇る。
『殿下のお立場で誰かに肩入れすることは危険を招きます』
『ふん、自分が厚遇されないからと。シシリアが言っていた、おまえのその表情のない顔で注意を受けるのは恐ろしいとな』
スカーレットの表情が変わらないのは、王子妃教育の賜物だ。そして未来の王妃になるスカーレットの言葉が表情と相まって重くなるのも教育の成果。一国の王妃の言葉が風に吹かれ飛んでいくような薄っぺらいものならば問題だ。
スカーレットより長くその手の教育を受けたアルフレッド。表情を隠すことなど造作ない。ただ人間として、本音を見せたい時の為に早くから側近候補が付き、婚約者を選んだ。信頼して笑い合えるように。
迂闊に王宮に出入りしている貴族に嬉しそうな表情を見せれば、彼らはその対象を即座に割り出してしまう。そしてそれが物でなく人でも、取り入る為に献上する。
そう、アルフレッドが心を見せることはスカーレットが言ったように危険なのだ。こんなことにならないよう折角スカーレットが諫めてくれたというのに、あの時アルフレッドは何と言い返しただろうか。
『おまえのような人の心を持たない冷酷な女は今後俺にも、シシリアにも近づくな』、確かそんなようなこと。
スカーレットは先々を心配し、ああ言ってくれていたのに。人の心を持つからこそ、心配して自ら嫌な役回りを演じてくれたと今なら分かる。
「ジョイスの言う通りだ。どんな内容でも俺達は受け入れる。二日目の午前中でこの状況なんだ、先は予想がつくさ」
「どうして、俺はあの時スカーレットにあんなに冷たい言葉を言い放ったんだろうか。子供の頃から共に学んできたスカーレットに。そんな俺が二人にどんな言葉を言わなければいけないのか、思い悩むだなんて…。おかし過ぎて、笑えてくる」
午後の議題は街道の整備に関して。アルフレッドと二人の側近は気を引き締めた。もう、軽い議題などないことは十分に理解している。南部へ展開する予定だった北部と同じ街道整備方法が見直される理由も、原因も、思い当たる節しかなかったのだ。
しかし、昨日とは減り方が明らかに違った。アルフレッドも側近二人も書類仕事を片付ける手は動いているのだが、サンドイッチへは手があまり伸びなかった。
「先に言っておく、俺とテレンスを切り捨てるのを躊躇うな」
「…」
「アルが王太子であり続ける為には、院長や教師へそれ相当の罰を告げなくてはならない。さもなければ、アルと彼等に癒着があったと取られかねない。と同時に、俺達も学生だったとはいえ、彼等をミスリードさせることに加担したようなものだ。何が言いたいかは分かっているよな?」
「ああ。俺が選ぶ進退によって、お前達に掛かる迷惑の具合が変わってくる」
「それは気にするな。俺達はアルが王になる為に努力し続けていたのを知っている。それなのに、足を引っ張ってしまった。解決策を考えるのが最後の仕事になるかもしれないが、手は抜かないから安心しろ」
ジョイスが何を言わんとしているのかは、聞かなくても分かる。アルフレッドに王太子で居続けるよう言っているのだ。側近二人もまた現状を招いたとして任を解いたとしても。
それだけではない。残り三日と半日、これから聞かされる内容如何では任を解くだけでは済まない可能性もある。
間違ったことに対しては己の側近とて切り捨てる非情さをみせなければ、アルフレッドは感情に左右されやすいと見做される。それを避ける為に、ジョイスは自分へ対する扱いにも手を抜かず考えると言っているのだ。
全てはアルフレッドが招いたことだというのに。
学院でのスカーレットの言葉が蘇る。
『殿下のお立場で誰かに肩入れすることは危険を招きます』
『ふん、自分が厚遇されないからと。シシリアが言っていた、おまえのその表情のない顔で注意を受けるのは恐ろしいとな』
スカーレットの表情が変わらないのは、王子妃教育の賜物だ。そして未来の王妃になるスカーレットの言葉が表情と相まって重くなるのも教育の成果。一国の王妃の言葉が風に吹かれ飛んでいくような薄っぺらいものならば問題だ。
スカーレットより長くその手の教育を受けたアルフレッド。表情を隠すことなど造作ない。ただ人間として、本音を見せたい時の為に早くから側近候補が付き、婚約者を選んだ。信頼して笑い合えるように。
迂闊に王宮に出入りしている貴族に嬉しそうな表情を見せれば、彼らはその対象を即座に割り出してしまう。そしてそれが物でなく人でも、取り入る為に献上する。
そう、アルフレッドが心を見せることはスカーレットが言ったように危険なのだ。こんなことにならないよう折角スカーレットが諫めてくれたというのに、あの時アルフレッドは何と言い返しただろうか。
『おまえのような人の心を持たない冷酷な女は今後俺にも、シシリアにも近づくな』、確かそんなようなこと。
スカーレットは先々を心配し、ああ言ってくれていたのに。人の心を持つからこそ、心配して自ら嫌な役回りを演じてくれたと今なら分かる。
「ジョイスの言う通りだ。どんな内容でも俺達は受け入れる。二日目の午前中でこの状況なんだ、先は予想がつくさ」
「どうして、俺はあの時スカーレットにあんなに冷たい言葉を言い放ったんだろうか。子供の頃から共に学んできたスカーレットに。そんな俺が二人にどんな言葉を言わなければいけないのか、思い悩むだなんて…。おかし過ぎて、笑えてくる」
午後の議題は街道の整備に関して。アルフレッドと二人の側近は気を引き締めた。もう、軽い議題などないことは十分に理解している。南部へ展開する予定だった北部と同じ街道整備方法が見直される理由も、原因も、思い当たる節しかなかったのだ。
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恋愛にたどり着くまでが長くて…。それなりに登場人物がいますので、『誰なの?相手は』と思いながら読んでいただければ幸いです。
それと、エール、ありがとうございます。励ませていただきます!
ついでに、アルファポリスさんの『しおり』という制度は上手く出来ていますね。わたしが見る画面では、しおりが挟んであるのが見えるんです!新しい話を投稿して、しおりがそこへ進んでくれていると次へのモチベーションになります!しおりを挟んで下さって、ありがとうございます。
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ついでに、アルファポリスさんの『しおり』という制度は上手く出来ていますね。わたしが見る画面では、しおりが挟んであるのが見えるんです!新しい話を投稿して、しおりがそこへ進んでくれていると次へのモチベーションになります!しおりを挟んで下さって、ありがとうございます。
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