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三柱の世界
言葉を忘れてしまった結果*
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やたらエロくなる
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昼食の後、チャラ男の聖騎士カテルさんが馬を走らせてくれて、無事、ナハなんとか帝国の首都ブレなんとか言う帝都へとたどり着いた。
国名と首都名は本当に覚えてない。長すぎなんだ。かんべんしてくれい。
「皇居宮殿に行かないんですか?」
「すぐにはね。ここで全員、着替えてからだよ」
と、連れて来られたのは白大理石の神殿だった。
アザレアさんの背に乗って空から見たとき、一番に目立ってた建物である。
外から見ても立派だったが、中もすごい。柱の太さ、彫刻の数、アーチ型の梁、天井の壁画など、どれをとっても圧巻だ。
白大理石というだけで高級感溢れるのに、総大理石なら高級リゾートの高級ホテルのようで気分はセレブである。
道行く人々も高級そうな服を着ているし…儲けてんなあ神殿。寄進帰りっぽい頭のハゲた商人らしき人を眺めながら密かにほくそ笑んでしまった。
「ここから選ぶのでしょうか?」
「はい。お嬢様にお似合いのドレスを見繕わせていただきます」
女官ぽい人たちがずらーり並んで、丁寧にお辞儀されてしまった。
ここから…何十着とあるドレスの中から、たった一着のドレスを選ぶというのか…。ミザリーさんとこでもアザレアさんに着せ替え人形にされたけれど、これはあの時以上の難易度だ。
ドレスの他にもアクセサリーや靴、化粧に髪結いにとすべてなすがままにされてしまった。試着だけでも一時間かかったよ。矯正下着は辞退した。そんな苦しいものつけれるわけがない。
「せめて一番ライトなものをお付けください。これでしたら苦しくなることは御座いません」
断ったのにねじ込まれるこの恐怖。押しの強い女官さんには逆らえず矯正下着装着。こ、これは…凶器か?骨組みのワイヤーで人を刺せそうな気がする。
髪はブラッシングどころか鋏で毛先まで整えてもらった。めっちゃ巻いてもらってゴージャスになったと思いきや、全部結い上げるとはどういうことだ。
おかげで頭はソフトクリームだよ。ここまで盛るなんて友人の結婚式でもやったことないわ。キラッキラに飾り付けてもらった上で金色パウダーまで振られる。私はデコレーションケーキか。
アクセサリーをと首元につけてもらったネックレスが重い。
そっとお値段を尋ねたら金貨十枚はくだらないってさ。
しかもこれ先代の皇妃様のものだってさ。恐れ多いぶるぶる。
「お、お待たせ、しまし、た…」
出来上がって男性陣が待つ部屋の方へ行く。
高いヒール履きなれなくて歩みはドン亀だ。
「わお。綺麗になったじゃーん。超キラキラしてるね!」
カテルさんよ、それは私が華美にデコレーションされてるからだ。
ノーメイクだった地味女が飾り付けられただけのことだから言わないでおくれ。
ゆっくり、そっと、一歩一歩気をつけて歩く。そうしないと足首がグキッとなってコケそうだからだ。
そんな私の様子が危なっかしかったのだろう。
ルークスさんが寄ってきて手をとり腰を支えてくれる。
「あ、どうもです」
「歩き慣れないのだろう。私と一緒に行こう。離れないように」
「はい。お願いします」
やっぱり私の挙動は危なっかしいらしい。
腰に腕が回って体もぴったり寄せて、私を支えてくれるルークスさん。
コケたら抱き抱えてくれそうな位置だよね。頼もしいです。
そのままルークスさんにエスコートされて馬車に乗り込んだ。
この馬車がまた煌びやかだった。お迎えに来た馬車と全然違う。
馬も違う。どっちも白いよ。白い馬車に白馬だよ。よく見たらルークスさんの服も白いよ。いつもの軍服に装飾してより派手にしたお洒落な服ですね。
カテルさんの服は観察し忘れた。カテルさんは再び御者をしてくれるみたい。
「ハツネ殿…」
「………はい」
馬車に乗って…てか内装めっちゃ豪華。赤いビロード張りの座席シートに白いファーがクッションになってる。紅白揃いぶみでめでたい。
しばし窓の外をみようと首を伸ばしていたんだが、なぜか窓は私の頭の上あたりにあるんだよね。これは安全対策かな。
ルークスさんが異様にじっと見詰めてきて名前を呼ぶので、とりあえず返事をした。隣に座るルークスさんは、乗り込んだ時から私の腰を掴んで離さない。
膝もゼロ距離である。
「なんていうか…あまり賛辞の言葉が出てこない」
ん?
「君が着飾って来たら褒めようとは思っていたんだ。けど実際見たら…言葉を忘れてしまった」
おお?
「それで…言葉よりも、こっちですか」
胸を揉むな!
「若干…大きいなと思って」
「盛ってありますからねえ」
「谷間があるなと思って」
「下着で矯正してますからねえ」
「…顔を埋めてもいいだろうか」
「変態っっ!」
離れろとばかりにルークスさんを押すが、それ以上の力でルークスさんが寄ってくる。
「悔しいな」
「なにがですか」
「その唇も、綺麗な首筋も、胸の谷間も、とても魅力的なのに」
「舐めたらあかんですよ!化粧はげる!」
「…だよなあ。それが悔しい」
本当に悔しがってる顔すんな。肩脱臼した時よりも痛そうな顔すんな。
「そのドレス姿だって思いっきり乱してやりたいのに」
「あかんですよ!これから謁見なんですから!」
「…だよなあ。ムラムラしてきた」
「自重してください!」
熱っぽくみつめない。なぜか白手袋を歯に噛んでするすると外さない。
そして私のドレスを捲らない。ドレスの中に手をつっこまない。
「やあ…っ」
「ここ剃ったのか」
「バレたし!」
ルークスさんの手は私の大事なところを何度も撫でてる。
実はそこ、お手入れ済みである。ドレスを試着する前にお風呂へどうぞと言われて、入った先で待ってたのは毛剃り、垢擦り、オイルケアのエステコースだった。
下毛は不潔だから剃らなきゃ駄目なんだってさ。こっちじゃマナーなんだってさ。知らんわそんなマナー!と突っ撥ねることも出来ずに剃られました。つるんつるんです。
「この国は変です!」
「毛マニアじゃない限り剃るのが常識だからなあ」
「の割にあんた私の陰毛褒めてましたやん!」
「珍しくてつい。だからだろうか、触りすぎたかもしれんな」
くあああ!あのテクは物珍しさからだったのか?!恐るべし剃る国の人!
堂々と披露してしまったあの夜が脳内に甦る。私こそ変態だ。
消えろあの日のメモリー!恥ずかしさで悶える。顔が真っ赤になって自分でも分かるくらい頭沸騰してる。
「照れてる君が可愛い。恥じらう君が愛おしい」
「もおっ、さわんない、でえ…っ」
毛の無くなった恥丘を無遠慮に撫でられて体がビクつく。
圧着する補正下着の隙間から、よくそんなとこに手ぇつっこめたなと感心するわ。
「柔らかくて…温かい…」
「やあぁ…っ、ふっ、ん」
敏感な肉芽を摘まれた。そのままクリクリと動かされて、擦られて、私の背筋をぞくぞくさせた。
「あう…はうぅ…」
「ハツネ殿の蕩けた顔…やばい…口付けたい」
「だ、めえぇ…もお、やめ、ふあっ」
何度も何度も擦り込まれて腰が跳ねてしまう。ビクビク震えて快感が止まらない。
こんなとこでイかされ…?
「あああっ、やらあーー…!」
内股をギュッと引き締め私は全身を震わせる。
ルークスさんの腕を掴んで抑えつけながら私は登り詰めた。
「こんな、とこで…ひどいい…」
「これでも今直ぐ君を滅茶苦茶にしたい欲求を抑えてるんだ」
「ふうぅ…へんたーい…うー」
余韻でまだビクついてるのにルークスさんの手は下着の中から出てってくれない。
指をくちゅくちゅさせて悪戯ばかりする。結局、馬車が宮殿に到着するまでずっと弄られてた。おかげでパンツぐちょぐちょだよ!
私は真っ赤な顔してぷるぷるしながら馬車を降りた。
ただでさえヒール高すぎて足はバンビ状態なのに、イった余韻で内腿とか痙攣してるんだけど隣の男は白手袋はめ直してしれっとしてるよ!
「ルークス、いじめたくなる気持ちも分からんでもないけど謁見前にそれは…鬼畜だな」
ほらあ!カテルさんにゃバレバレやん!更なる恥の上塗りで泣きそうになるわ!
「ハツネ殿…」
なんだ鬼畜騎士。
こんなことしといて他の人にまでバレてお前も恥ずかしいだろが謝れバカ。
「泣きそうになってる君が可愛すぎて困る」
困らんでえええええ
「そういうことしか頭にないの?!」
「残念ながら今はドレスの中がどうなってるのか覗きたいということしか考えてない」
「正直者!だけどこれから謁見ですよ!」
「ああ、まあ、適当に話すればいい」
「女帝に対する態度じゃないですよねそれ」
「ハツネ殿なら対等に話せると、信用してるだけだ」
買い被らんでくれ。受験や面接で鋼の強心臓と呼ばれた私であるが、さすがに国のトップと話をするなんて機会はもったことがない。
コケないようにするのが精一杯だ。謁見前の控え室でルークスさんとそんな会話しながら、私は脳内でマナーの復習をしていた。
声が掛かるのを待つこと。基本はそれ。挨拶の仕方、足の運び方、会話の進め方。それぞれにマナーがある。
やり慣れてないんだから何度も脳内復習しないと忘れそうである。
とちったら、ずっと隣にいるこの男の所為にしてしまおう。そうしよう。と結論づけて、私は女帝カサブランカ様と初めて対面した。
謁見した場所は皇居宮殿の玉座がある間とでもいえばいいだろうか。
なんにせよ、ここまで来るのに監視の目は多いし、地図がないと一人じゃ歩けないほど複雑に入り組んだ順序でたどり着いたし、安全対策なんだろうけど今自分がどこにいるかなんてさっぱり分からないようにされてる。
不安だらけでたどり着いた場所。一歩入れば国の重鎮たちが遠巻きに私たちを観察している気配がする。柱の影でコソコソヒソヒソご苦労様です。
女帝の御成りを告げられ私は腰を落とし頭を垂れた。
隣にルークスさんはいるし、後ろに聖騎士のカテルさんもついてくれている。
特に不安はない。
「面を上げ」
女帝カサブランカの声が響く。安堵した。私はこの声を知っている。
ルークスさんがお姉ちゃんと連絡を取っていた時に聞いた。そのお姉ちゃんの声である。あの天女のような美声は女帝カサブランカのものだったのだ。
私はゆっくりと頭を上げて、その姿を拝謁した。
「遠きところをよく参られました。異世界の方」
壇上の玉座に座る女帝の顔は、左右のカーテンに阻まれてよく見えないが、なんとなくにっこりと微笑まれたに違いないと思うので、私も微笑を浮かべ相対させていただく。
「この度はお招き頂き有難う存じます」
ミザリーさんと練習した挨拶を述べて、改めて礼をした。
「異世界の方は礼儀を重んじると伺ってます。あなたも、神子様と同じ国からいらしたのかしら」
これは直ぐに答えていいものなのか迷ったのだけど、ちょっと待っても誰も何も言わないから、普通に答えることにした。
「はい。そうだと思います。まだ神子様にお会いしていないので詳しくは知り得ませんが、私と同じ髪や瞳であるなら、同じ郷里だと存じ上げます」
「ええそうね。同じ髪色、瞳の色も同じ。何より、その雰囲気が似ていますね」
と、ここで何やら鈴の音が。チリンチリンと鳴って一同がそちらに注目する。
鳴らしたのは女帝のお付きの人。まだ少年のようにも見えるその人が、口上を述べる。
「此度は二点。ひとつは聖霊戦争における戦後協定への違背容疑。もうひとつは双陽神ご降臨に際する些事について。異世界人、稲森初音に弁明の余地を与えるものとする」
ひとつは容疑がかかってんのね私。寝耳に水です。
完全にもうひとつのことは巻き込まれただけなんですけど、え、弁明すんの?大袈裟じゃね?当事者の神様に尋問してくれよと思わないでもない。
「ハツネさん。理不尽かもしれないけれど、あなたの申し開きを記述で残さなければならないの。色々と質問するけど答えてくださいね」
決定事項なのね。女帝の中ではもうシナリオできてるけど、一通りやらないといけないということか。
「承知致しました。なるべく正直に答えるつもりですが、私の発言に虚偽が混ざった場合はどう致しましょうか」
「虚偽もそのまま公文書化されます。あなたの意見をあまねく聴かせてちょうだい。あと…守護騎士ルークス・ブリュグレイ・オルデクス」
女帝に呼ばれてルークスさんが面を上げた。
「お前にも答えてもらうわ。ハツネさんと違って虚偽は認めない。いいわね」
「は。畏まりました」
いよいよ謁見の目的を果たす時がきた。
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昼食の後、チャラ男の聖騎士カテルさんが馬を走らせてくれて、無事、ナハなんとか帝国の首都ブレなんとか言う帝都へとたどり着いた。
国名と首都名は本当に覚えてない。長すぎなんだ。かんべんしてくれい。
「皇居宮殿に行かないんですか?」
「すぐにはね。ここで全員、着替えてからだよ」
と、連れて来られたのは白大理石の神殿だった。
アザレアさんの背に乗って空から見たとき、一番に目立ってた建物である。
外から見ても立派だったが、中もすごい。柱の太さ、彫刻の数、アーチ型の梁、天井の壁画など、どれをとっても圧巻だ。
白大理石というだけで高級感溢れるのに、総大理石なら高級リゾートの高級ホテルのようで気分はセレブである。
道行く人々も高級そうな服を着ているし…儲けてんなあ神殿。寄進帰りっぽい頭のハゲた商人らしき人を眺めながら密かにほくそ笑んでしまった。
「ここから選ぶのでしょうか?」
「はい。お嬢様にお似合いのドレスを見繕わせていただきます」
女官ぽい人たちがずらーり並んで、丁寧にお辞儀されてしまった。
ここから…何十着とあるドレスの中から、たった一着のドレスを選ぶというのか…。ミザリーさんとこでもアザレアさんに着せ替え人形にされたけれど、これはあの時以上の難易度だ。
ドレスの他にもアクセサリーや靴、化粧に髪結いにとすべてなすがままにされてしまった。試着だけでも一時間かかったよ。矯正下着は辞退した。そんな苦しいものつけれるわけがない。
「せめて一番ライトなものをお付けください。これでしたら苦しくなることは御座いません」
断ったのにねじ込まれるこの恐怖。押しの強い女官さんには逆らえず矯正下着装着。こ、これは…凶器か?骨組みのワイヤーで人を刺せそうな気がする。
髪はブラッシングどころか鋏で毛先まで整えてもらった。めっちゃ巻いてもらってゴージャスになったと思いきや、全部結い上げるとはどういうことだ。
おかげで頭はソフトクリームだよ。ここまで盛るなんて友人の結婚式でもやったことないわ。キラッキラに飾り付けてもらった上で金色パウダーまで振られる。私はデコレーションケーキか。
アクセサリーをと首元につけてもらったネックレスが重い。
そっとお値段を尋ねたら金貨十枚はくだらないってさ。
しかもこれ先代の皇妃様のものだってさ。恐れ多いぶるぶる。
「お、お待たせ、しまし、た…」
出来上がって男性陣が待つ部屋の方へ行く。
高いヒール履きなれなくて歩みはドン亀だ。
「わお。綺麗になったじゃーん。超キラキラしてるね!」
カテルさんよ、それは私が華美にデコレーションされてるからだ。
ノーメイクだった地味女が飾り付けられただけのことだから言わないでおくれ。
ゆっくり、そっと、一歩一歩気をつけて歩く。そうしないと足首がグキッとなってコケそうだからだ。
そんな私の様子が危なっかしかったのだろう。
ルークスさんが寄ってきて手をとり腰を支えてくれる。
「あ、どうもです」
「歩き慣れないのだろう。私と一緒に行こう。離れないように」
「はい。お願いします」
やっぱり私の挙動は危なっかしいらしい。
腰に腕が回って体もぴったり寄せて、私を支えてくれるルークスさん。
コケたら抱き抱えてくれそうな位置だよね。頼もしいです。
そのままルークスさんにエスコートされて馬車に乗り込んだ。
この馬車がまた煌びやかだった。お迎えに来た馬車と全然違う。
馬も違う。どっちも白いよ。白い馬車に白馬だよ。よく見たらルークスさんの服も白いよ。いつもの軍服に装飾してより派手にしたお洒落な服ですね。
カテルさんの服は観察し忘れた。カテルさんは再び御者をしてくれるみたい。
「ハツネ殿…」
「………はい」
馬車に乗って…てか内装めっちゃ豪華。赤いビロード張りの座席シートに白いファーがクッションになってる。紅白揃いぶみでめでたい。
しばし窓の外をみようと首を伸ばしていたんだが、なぜか窓は私の頭の上あたりにあるんだよね。これは安全対策かな。
ルークスさんが異様にじっと見詰めてきて名前を呼ぶので、とりあえず返事をした。隣に座るルークスさんは、乗り込んだ時から私の腰を掴んで離さない。
膝もゼロ距離である。
「なんていうか…あまり賛辞の言葉が出てこない」
ん?
「君が着飾って来たら褒めようとは思っていたんだ。けど実際見たら…言葉を忘れてしまった」
おお?
「それで…言葉よりも、こっちですか」
胸を揉むな!
「若干…大きいなと思って」
「盛ってありますからねえ」
「谷間があるなと思って」
「下着で矯正してますからねえ」
「…顔を埋めてもいいだろうか」
「変態っっ!」
離れろとばかりにルークスさんを押すが、それ以上の力でルークスさんが寄ってくる。
「悔しいな」
「なにがですか」
「その唇も、綺麗な首筋も、胸の谷間も、とても魅力的なのに」
「舐めたらあかんですよ!化粧はげる!」
「…だよなあ。それが悔しい」
本当に悔しがってる顔すんな。肩脱臼した時よりも痛そうな顔すんな。
「そのドレス姿だって思いっきり乱してやりたいのに」
「あかんですよ!これから謁見なんですから!」
「…だよなあ。ムラムラしてきた」
「自重してください!」
熱っぽくみつめない。なぜか白手袋を歯に噛んでするすると外さない。
そして私のドレスを捲らない。ドレスの中に手をつっこまない。
「やあ…っ」
「ここ剃ったのか」
「バレたし!」
ルークスさんの手は私の大事なところを何度も撫でてる。
実はそこ、お手入れ済みである。ドレスを試着する前にお風呂へどうぞと言われて、入った先で待ってたのは毛剃り、垢擦り、オイルケアのエステコースだった。
下毛は不潔だから剃らなきゃ駄目なんだってさ。こっちじゃマナーなんだってさ。知らんわそんなマナー!と突っ撥ねることも出来ずに剃られました。つるんつるんです。
「この国は変です!」
「毛マニアじゃない限り剃るのが常識だからなあ」
「の割にあんた私の陰毛褒めてましたやん!」
「珍しくてつい。だからだろうか、触りすぎたかもしれんな」
くあああ!あのテクは物珍しさからだったのか?!恐るべし剃る国の人!
堂々と披露してしまったあの夜が脳内に甦る。私こそ変態だ。
消えろあの日のメモリー!恥ずかしさで悶える。顔が真っ赤になって自分でも分かるくらい頭沸騰してる。
「照れてる君が可愛い。恥じらう君が愛おしい」
「もおっ、さわんない、でえ…っ」
毛の無くなった恥丘を無遠慮に撫でられて体がビクつく。
圧着する補正下着の隙間から、よくそんなとこに手ぇつっこめたなと感心するわ。
「柔らかくて…温かい…」
「やあぁ…っ、ふっ、ん」
敏感な肉芽を摘まれた。そのままクリクリと動かされて、擦られて、私の背筋をぞくぞくさせた。
「あう…はうぅ…」
「ハツネ殿の蕩けた顔…やばい…口付けたい」
「だ、めえぇ…もお、やめ、ふあっ」
何度も何度も擦り込まれて腰が跳ねてしまう。ビクビク震えて快感が止まらない。
こんなとこでイかされ…?
「あああっ、やらあーー…!」
内股をギュッと引き締め私は全身を震わせる。
ルークスさんの腕を掴んで抑えつけながら私は登り詰めた。
「こんな、とこで…ひどいい…」
「これでも今直ぐ君を滅茶苦茶にしたい欲求を抑えてるんだ」
「ふうぅ…へんたーい…うー」
余韻でまだビクついてるのにルークスさんの手は下着の中から出てってくれない。
指をくちゅくちゅさせて悪戯ばかりする。結局、馬車が宮殿に到着するまでずっと弄られてた。おかげでパンツぐちょぐちょだよ!
私は真っ赤な顔してぷるぷるしながら馬車を降りた。
ただでさえヒール高すぎて足はバンビ状態なのに、イった余韻で内腿とか痙攣してるんだけど隣の男は白手袋はめ直してしれっとしてるよ!
「ルークス、いじめたくなる気持ちも分からんでもないけど謁見前にそれは…鬼畜だな」
ほらあ!カテルさんにゃバレバレやん!更なる恥の上塗りで泣きそうになるわ!
「ハツネ殿…」
なんだ鬼畜騎士。
こんなことしといて他の人にまでバレてお前も恥ずかしいだろが謝れバカ。
「泣きそうになってる君が可愛すぎて困る」
困らんでえええええ
「そういうことしか頭にないの?!」
「残念ながら今はドレスの中がどうなってるのか覗きたいということしか考えてない」
「正直者!だけどこれから謁見ですよ!」
「ああ、まあ、適当に話すればいい」
「女帝に対する態度じゃないですよねそれ」
「ハツネ殿なら対等に話せると、信用してるだけだ」
買い被らんでくれ。受験や面接で鋼の強心臓と呼ばれた私であるが、さすがに国のトップと話をするなんて機会はもったことがない。
コケないようにするのが精一杯だ。謁見前の控え室でルークスさんとそんな会話しながら、私は脳内でマナーの復習をしていた。
声が掛かるのを待つこと。基本はそれ。挨拶の仕方、足の運び方、会話の進め方。それぞれにマナーがある。
やり慣れてないんだから何度も脳内復習しないと忘れそうである。
とちったら、ずっと隣にいるこの男の所為にしてしまおう。そうしよう。と結論づけて、私は女帝カサブランカ様と初めて対面した。
謁見した場所は皇居宮殿の玉座がある間とでもいえばいいだろうか。
なんにせよ、ここまで来るのに監視の目は多いし、地図がないと一人じゃ歩けないほど複雑に入り組んだ順序でたどり着いたし、安全対策なんだろうけど今自分がどこにいるかなんてさっぱり分からないようにされてる。
不安だらけでたどり着いた場所。一歩入れば国の重鎮たちが遠巻きに私たちを観察している気配がする。柱の影でコソコソヒソヒソご苦労様です。
女帝の御成りを告げられ私は腰を落とし頭を垂れた。
隣にルークスさんはいるし、後ろに聖騎士のカテルさんもついてくれている。
特に不安はない。
「面を上げ」
女帝カサブランカの声が響く。安堵した。私はこの声を知っている。
ルークスさんがお姉ちゃんと連絡を取っていた時に聞いた。そのお姉ちゃんの声である。あの天女のような美声は女帝カサブランカのものだったのだ。
私はゆっくりと頭を上げて、その姿を拝謁した。
「遠きところをよく参られました。異世界の方」
壇上の玉座に座る女帝の顔は、左右のカーテンに阻まれてよく見えないが、なんとなくにっこりと微笑まれたに違いないと思うので、私も微笑を浮かべ相対させていただく。
「この度はお招き頂き有難う存じます」
ミザリーさんと練習した挨拶を述べて、改めて礼をした。
「異世界の方は礼儀を重んじると伺ってます。あなたも、神子様と同じ国からいらしたのかしら」
これは直ぐに答えていいものなのか迷ったのだけど、ちょっと待っても誰も何も言わないから、普通に答えることにした。
「はい。そうだと思います。まだ神子様にお会いしていないので詳しくは知り得ませんが、私と同じ髪や瞳であるなら、同じ郷里だと存じ上げます」
「ええそうね。同じ髪色、瞳の色も同じ。何より、その雰囲気が似ていますね」
と、ここで何やら鈴の音が。チリンチリンと鳴って一同がそちらに注目する。
鳴らしたのは女帝のお付きの人。まだ少年のようにも見えるその人が、口上を述べる。
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「承知致しました。なるべく正直に答えるつもりですが、私の発言に虚偽が混ざった場合はどう致しましょうか」
「虚偽もそのまま公文書化されます。あなたの意見をあまねく聴かせてちょうだい。あと…守護騎士ルークス・ブリュグレイ・オルデクス」
女帝に呼ばれてルークスさんが面を上げた。
「お前にも答えてもらうわ。ハツネさんと違って虚偽は認めない。いいわね」
「は。畏まりました」
いよいよ謁見の目的を果たす時がきた。
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