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背中越しに感じる乳の威力 (アカイ30)

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 俺は脊髄反射的に答えたが、あまりにも食い気味でなかったかと思い背筋が伸びた。特殊なマッサージだったらどうしよう! 期待いや心配しながら俺は聞いた。

「いっいや、そっその、マッサージってなんです? どんなので?」
 なんて馬鹿な聞き方! これでは逆にいやらしい方ですか? と聞いているのと同じだと、俺はパニックになりかけるもカオルは酒を飲みながら答えた。

「軽い肩もみぐらいですね。腰とか足も痛ければそれも」
「はい、よろしくおねがいします」
 よかった、いやだから違うってと俺はまた混乱しながら尋ねた。

「あの、なんでしてくれるのですか?」
「聞く順番がおかしくないですか?」
「おかしいですけど、いや、その、して欲しいなという思いが強くて」
「強すぎですってもう」
 会話が全部ドツボに入っているのにカオルさんは笑っており引かれてなくてよかった、と俺は思った。

「ほらアカイさんって重い荷物を背負っているじゃないですか。姪ちゃんの代わりに」
「メイちゃん?」
 口に出した瞬間に俺は理解した。シノブのことを言っているんだ、しまった! 

「あっシノブのことね、ハハッメイちゃんメイちゃんサツキはいませんが。うん、メイがどうしたの?」
「ふふっなんです焦って。身体の弱い姪に代わって荷物を全部背負うとか大変だなって」
「全然軽いですよ」
 実際はかなり重いのであるが俺は男として当然軽いと言った。女が重いという荷物を軽い軽いと余裕でもつという快感。男の一番好きなものだ。己の力を誇示できるうえに女からの尊敬を得られるとは嬉しい限り。だから無理するわけだが、まぁこういうのが極まると男の過労死とか自殺に繋がるんだろうなと俺は思うんだよね。

「あっではあまり身体が疲れては」
「いやあそこそこに、まぁすこしは疲れていますね」
 あぶねぇって俺は途中で気が付いて内心でホッとした。身体が痛くないとか言ったらマッサージをされなくなるだろうが、この見栄張り馬鹿野郎が。床に額をつけてお願いする立場だぞ、お前は! 自分の立場わかってんの? このおっさんが! それともなにか? 俺に優しくして労わってくれとか言えるんか? 言えねーだろ? だったら黙って素直にご好意を受け止めな。

「そうですよね。じゃあちょっと失礼します」
 カオルが後ろに回ると手より先に胸先が背中に刺さり貫かれた。柔らかな衝撃が背中を通過し内臓に加わったために快楽物質がぶちまかれ体液を沸騰させる。だが俺は、耐えた。致命的な奇襲に、堪えた。これは偶然なだけであり必然ではない。故意ではなく事故。よって反応するな、と俺は自分の股間に血が集まり固くなっている現象に対して命じた。

 これは、そういうことじゃないから。凛々しくあれ俺、表情を引き締めろ。そうだ俺はたとえ背中におっぱいが当たってもふにゃけない男なのだ。時と場所を弁えているのだ。いまはそういう時でないのにおっぱいの気持ち良さに負けて理性を失ったりはしない。俺はそういう男なのだ。身を固めていると遅れて手が肩にあたった。

「固いですね」
 声が掛けられると股間が反応した。
「はい、固いです」
 肩だから、それは肩だからなと俺は思い込もうとするとカオルの指先が肩へとめり込んだ。
「あふぅっ!」
 軽くいきかける声が反射的に口から漏れた
「気持ちいいですか?」
「はひっ」
 もはや抗いがたく甲高い声で答えると、背中のカオルは笑いその息が頭にかかる。これぞ桃源郷に吹く柔らかな風そのもの。桃の葉が揺れ実も揺らぎ乳もふるふる。

「よかった。でもこの程度で効果があるってかなり凝っていますね。姪のわがままに付き合うだなんて偉いですが大変ですねぇ」
 わがまま? わがままってなんだと快感のなか無言でいるとカオルが続けた。

「さっき姪ちゃんから聞きましたよ。お兄さんから無理矢理結婚を命じられたから家出をしたって。まぁよくある話ですけどね」
 なるほどそこまで話したのかと俺は考える。ならば話を合わせなければならない。

「うん、そういうことなんだ」
「本当にアカイさんって良い人ですよね。優しくて強くて男らしくて」
 もっともっと褒めてくれと俺が気持ち良くなっていると、心なしかではなく確実に背中にカオルの胸が更なる接触してきているのを感じていた。脳が痺れるぐらいに、感じている。

「それほどでもないよ」
「私もそういう感じに嫁がされたので姪ちゃんの気持ちが分かります」
「許せないことですよね」
 許せないと俺は再び体が熱くなった。こんな柔らかなものが他の男のものだったとは許しがたすぎる。

「でも、家出はよくはありませんよ」
「えっ?」
 カオルの冷たい声と同時に背中から胸が離れていく。いっいやだ! と俺は心の中で叫ぶ。離れたくない! 乳離れなんてしたくはない。

「私が言うのもなんですが、危険ですよ。いくらアカイさんが強くてもなにが起こるか分かりませんし」
「そっそうだけど、その」
 呼吸が苦しいと俺はどうしてか思った。
「そこそこの期間を旅しているようですから、そろそろ帰られてはどうでしょう?」
 提案がされるも俺は声が出ない。酸欠のようになにも、考えられない。

「私はすぐに結婚は駄目だけど長旅も駄目という考えですね。一度ぐらいしっかり話し合ってはいかがと。アカイさんは本音のところどうです?」
 家には帰らせたくはない……このまま俺と旅を続けて。

「どうです、アカイ、さん」
 カオルは言うと同時に背中に身体を押し付けてきた。また再びの柔らかなものの激突によって、俺は水面から顔を出したように声を言葉を息を吐いた。

「俺も同意する」
「まぁ嬉しい!」
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