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前途多難……。11
しおりを挟む努力をする人が、それでも届かなくて、それが当たり前に出来る努力をしない人に、劣等感や嫉妬心を抱くのは心底当たり前で、だからこそ、頑張れば頑張るほど、抑えられない感情は大きくなっていく。
「シンシア」
「クレア、貴方は思わないんですか?欠損のある魔法玉でも、貴方はクラスで一番頭がいい、この学園にいるためだったら命だってかける。貴方は、私と同じ様な、苦しい気持ちにはわりませんか?」
「……」
言われて考える。でも、私はそれ以前にいろいろとシンシアとは違っていて、同じ気持ちと言うのは、きっと理解はできても同調は出来ない。
でもそうだ、前世の記憶を含めれば、確かにそう感じた事は沢山あった。部活動、勉強、趣味、なんでもどこまで努力しても、才能のある人間は上にずっといて、それである日、気がつくんだ。
自分は、才能のある人間には敵わないんだって、ぽつりと気がつく。
そうすると、人生は少しだけ楽になって、自分と比べることを辞められる。
同じ土俵に立って戦うということをしなくなる。
「……私は、きっとシンシアほど苦しくないよ。ある日ね、はっきりわかっちゃったんだ、敵わないんだってだから、妬んだり、彼らと比べて焦ったりしない」
「……なら、私もそうなればいいんですか?」
「どうだろ?でもさ、頑張っているシンシアを、苦しんでるからこそ同じ場所で皆と戦おうとしているシンシアを、私は…………すごく、かっこいいと思う!」
そうだ、それでも、私と違って諦めなかった人間たちがどんどん色んな、何者かになっていく。それを私は笑顔で見送った。すごいなぁと思いながら。
だから、諦めずに、戦い続ける彼女もきっと超えていける。そんな姿は、どんなだってかっこいいものだ。
「シンシア!……今でもシンシアはすごい、私は心底真面目に頑張るシンシアと同じチームで嬉しいって今思った」
「っ……ッ、ぅ」
押し殺すようにシンシアは泣いて、私の肩に手を置いた。その手に手を重ねる。私より身長が高い彼女を見上げて、そんなに焦らなくても大丈夫だと笑いかけた。
伝わっているといい、彼女の頑張りは、きっとちゃんと認められる日がくると私が本気で信じていると。彼女が劣等感と嫉妬心をぬぐえる日まで、私がシンシアを応援する人になろう。
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