特別な冬

裕雨(ゆう)

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特別な冬

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 とある月曜日の寒い朝のことだった。私は高校についたばかりの時、自転車を駐輪場に止め、悴んだ手で自転車の施錠をした。校舎に続く道にある落ち葉を軽く蹴りながら進んだ。グラウンド沿いを歩いていると、元気の良い野球部の声が聞こえてくる。ほんの数ヶ月前なら、私はグラウンドで練習する彼に手を降っていただろう。
 靴箱までたどりついた時、私はざっとクラスの靴箱を見渡した。思った通りにまだ殆ど来ていなかった。
 教室にたどり着く為には五階分に及ぶ長い階段を上る必要があった。教室へ向かうという行為が私を憂鬱にさせた。今更引き返すなんてことは無理だ。しかし、階段を上り始めると、どうしても後ろに引っ張られる。自分に負けまいと、一歩一歩を強く踏み出した。すると後ろから軽やかな足音がやってきた。私はこの人が自分より歩くのが早いと見ると、ささっと左側に寄った。すると少しスピードをあげたようで、私の横を軽快な調子で通り過ぎって行った。その子は私のクラスメイトだった。彼女のその軽々しさは、減っ込んだ鞄を見れば一目瞭然だった。それに比べ私の鞄はというと、無理矢理に詰め込んだ参考書のせいで膨れ上がっている。きっとこの鞄のせいで私は教室に向かうことを拒まれているのだろうと思った。今すぐにでも投げ出して彼女のように身軽な姿になりたかった。そうこう考えていると足音が聞こえなくなった。彼女はきっともうゴールしてしまったのだろう。
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