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英司、チャンスをうかがう (御木本英司)
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御木本英司はずっと自宅にいた。保釈中の身である。すでに瀧本あづさに対する拉致容疑と強制わいせつ罪で起訴されることが決まっていた。
親の目が光っているので家を出ることはできない。すでに一週間以上も悶々とした日々を送っているのだ。特に英司にとって女の体を抱けないことはかなりのストレスとなっていた。最後に抱いたのは守屋めぐみだ。彼女とは結局二回しか会っていない。一度目は松原のマンションで、二度目は自分の部屋だった。
英司はめぐみの体を思い描いた。あれほど喜ばせてやったのに、自分が逮捕されるや全く連絡が取れない状態になった。携帯も繋がらない。おそらく携帯ごと替えたに違いなかった。
あづさとは結局最後まで行き着くことがなかったので比較にならないが、めぐみはここ一年では最高の女だったような気がする。
めぐみは思ったほど遊んではいなかった。堂々としているが拙いところが多く見られ、それを隠して背伸びするところが、初々しく可愛くもあった。一度目と二度目ではかなり成長が見られ、彼女の筋の良さがよくわかる。まさに発展途上のみずみずしさが窺われた。そして最後の時には自分に対して、もう離れられないとまで言い切ったのだ。
連絡を絶ったとはいえ、今出かけていってめぐみの前に姿を現せば、きっと彼女は自分の足元に跪くだろうと英司は確信していた。
それにしてもあの事件は何だったのかと、いまだに英司は理解できないでいた。弁護士の話によると、西章則に精神鑑定をする話が出ているという。西が主犯らしいという話で決まりかけていたのに、ここへ来て雲行きが怪しくなっていた。そうなると、実際に罪を問われるのは自分だけになる可能性もあるというのだ。
英司はあづさを思い浮かべた。彼女に対する強制わいせつだとか強姦未遂だとかいった疑いが、英司にとってはとても理解できない。それは今まであづさに対してしてきたことではないか。現にあの時もあづさははじめこそ嫌がってはいたが、すぐに濡れ始め、英司を受け入れる態勢になろうとしていた。あのまま邪魔が入らなければ自分はようやくあづさと最後まで行くことができたのだと英司は思った。あれがどうして犯罪になるのだ。
拉致? いやあれは西の車があって初めて出来ることだ。自分は西のすすめにしたがって、西のフォローによってあづさと会い話をしようとしただけだ。どうして罪になる。
前沢の証言。彼は、英司が眠らされた後、車の中にいる西に殴りかかり、結局車を塀にぶつける原因を作った。彼があづさを救ったことになっているが、彼こそストーカーであり、あづさを追いつづけたのだ。彼の行為は暴行などの罪に問われないのか?
英司には納得できないことばかりだった。
めぐみに会いたい。あづさに会いたい。英司は彼女らの裸を思い浮かべて自涜をするしかなかった。なんと情けない日々だろう。こうなったらその辺の行きずりの女でもいいとさえ英司は思ったのだ。
英司はひたすらチャンスを待った。日中にここを抜け出すチャンスがあれば、松原がどうにかしてくれる。松原はあづさに会わせる場を設定すると約束してくれたのだ。あづさに会って自分の無実を訴えたかった。自分はあづさを求めただけだ。決して暴力を振るったりする意思はなかったのだと。
英司はおとなしく部屋に籠もってじっとしていた。ようやく両親も息子の様子に警戒を解き始めていた。そして英司に外出のチャンスが訪れた。
親の目が光っているので家を出ることはできない。すでに一週間以上も悶々とした日々を送っているのだ。特に英司にとって女の体を抱けないことはかなりのストレスとなっていた。最後に抱いたのは守屋めぐみだ。彼女とは結局二回しか会っていない。一度目は松原のマンションで、二度目は自分の部屋だった。
英司はめぐみの体を思い描いた。あれほど喜ばせてやったのに、自分が逮捕されるや全く連絡が取れない状態になった。携帯も繋がらない。おそらく携帯ごと替えたに違いなかった。
あづさとは結局最後まで行き着くことがなかったので比較にならないが、めぐみはここ一年では最高の女だったような気がする。
めぐみは思ったほど遊んではいなかった。堂々としているが拙いところが多く見られ、それを隠して背伸びするところが、初々しく可愛くもあった。一度目と二度目ではかなり成長が見られ、彼女の筋の良さがよくわかる。まさに発展途上のみずみずしさが窺われた。そして最後の時には自分に対して、もう離れられないとまで言い切ったのだ。
連絡を絶ったとはいえ、今出かけていってめぐみの前に姿を現せば、きっと彼女は自分の足元に跪くだろうと英司は確信していた。
それにしてもあの事件は何だったのかと、いまだに英司は理解できないでいた。弁護士の話によると、西章則に精神鑑定をする話が出ているという。西が主犯らしいという話で決まりかけていたのに、ここへ来て雲行きが怪しくなっていた。そうなると、実際に罪を問われるのは自分だけになる可能性もあるというのだ。
英司はあづさを思い浮かべた。彼女に対する強制わいせつだとか強姦未遂だとかいった疑いが、英司にとってはとても理解できない。それは今まであづさに対してしてきたことではないか。現にあの時もあづさははじめこそ嫌がってはいたが、すぐに濡れ始め、英司を受け入れる態勢になろうとしていた。あのまま邪魔が入らなければ自分はようやくあづさと最後まで行くことができたのだと英司は思った。あれがどうして犯罪になるのだ。
拉致? いやあれは西の車があって初めて出来ることだ。自分は西のすすめにしたがって、西のフォローによってあづさと会い話をしようとしただけだ。どうして罪になる。
前沢の証言。彼は、英司が眠らされた後、車の中にいる西に殴りかかり、結局車を塀にぶつける原因を作った。彼があづさを救ったことになっているが、彼こそストーカーであり、あづさを追いつづけたのだ。彼の行為は暴行などの罪に問われないのか?
英司には納得できないことばかりだった。
めぐみに会いたい。あづさに会いたい。英司は彼女らの裸を思い浮かべて自涜をするしかなかった。なんと情けない日々だろう。こうなったらその辺の行きずりの女でもいいとさえ英司は思ったのだ。
英司はひたすらチャンスを待った。日中にここを抜け出すチャンスがあれば、松原がどうにかしてくれる。松原はあづさに会わせる場を設定すると約束してくれたのだ。あづさに会って自分の無実を訴えたかった。自分はあづさを求めただけだ。決して暴力を振るったりする意思はなかったのだと。
英司はおとなしく部屋に籠もってじっとしていた。ようやく両親も息子の様子に警戒を解き始めていた。そして英司に外出のチャンスが訪れた。
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