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男たち2 (西章則)

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 御木本英司に二日ほど送れて西章則にしあきのりも自宅へ戻った。はじめこそ御木本の協力者として振る舞い、自分は従犯だという顔を貫こうとしたが、ナイフや覆面などいろいろと物件が現れてついに観念せざるを得なかった。しかし幸か不幸か、瀧本あづさに対する拉致暴行未遂のみの追及にとどまった。
 章則が盗撮をしていたらしいことに警察が気づくことはなかった。
 自宅に戻った章則は、やはりデジタル一眼レフがなくなっていることに気づいた。あれを警察に見つけられると何かと面倒だと思っていたが、警察もカメラを証拠物として確保していないようだ。
 あの中には御木本があづさを襲おうとしているシーンが写っているばかりでなく、彼が誰か知らない女と抱擁したりキスしたりするシーンも写っていた。前沢裕太に渡した画像のオリジナルの部分だった。
 あづさが警察に対して、彼女が呼び出された方法を語らなかったことは章則にもわかった。彼女のトイレ画像を送りつけて呼び出したわけだが、さすがにあづさは恥ずかしくてそれを言うことができなかったのだろう。もし証言されていたら、章則は別の容疑で取り調べられることになった。
 今自宅のパソコンにはこれまで撮影した画像がすべて残っていた。消えたのはあの一眼レフだけだ。壁に激突してどこかへ飛んでいったのか? 裕太が後部座席に乗り込む際に外へ落ちたのかもしれない。あるいはあづさ自身が回収していった可能性もあった。
 そうだ、そうに違いない。あづさが自分のシーンが写っているカメラを回収していったのだ。これは怪我の功名というものだろう。
 アルバイトはクビになってしまった。恥ずかしくて街を歩けないと親も嘆いている。しかし事件の報道は知りきれトンボになっているのだ。それはインターネットで報道とそれに対する書き込みを見ても明らかだった。
 はじめに御木本英司の「別れた女子高生を拉致」と報道された部分が残ったために、あとからわかった章則主犯説は報道されずに終わっている。
 世の中は常に事件に溢れていた。人が死んでいない事件の報道はつぎつぎと上書きされていくのだ。今でも周囲は章則が協力者だったと認識しているありさまだった。親でさえ、警察に「あなたのお子さんが仕組んだようです」と説明されても、よく理解できない様子だった。
 自分はまだついている、と章則は思った。何事も前向きに考えるのが自分のいいところだと章則は自賛した。
 手元にはこれまでに撮影した盗撮画像や、あづさ、留美佳、璃瀬の画像がある。これらを投稿サイトにアップするのは簡単だが、そういうことをしても喜ぶのは視聴者だけだろう。ではこれらを如何につかうか、それを考えることで章則は楽しんだ。
 まずは泊留美佳とまりるみか。あいつなら頭が弱そうだから良いおもちゃになるに違いない。
 章則は留美佳を主人公とするストーリーを思い描いた。
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