28 / 41
揺れる心
2
しおりを挟む
その後、私は経理課オフィスに戻って仕事を続けた。胸のもやもやなど、一生懸命仕事をすれば消えてしまうだろう――と、高をくくっていたのだが、なかなか気分は晴れなかった。
「北見さん、金田専務から電話だよ。内線2番」
「えっ……専務?」
時計を見れば午後5時10分前。私はもしやと思った。
「お電話代わりました。北見です」
『おお、北見君。忙しいところ悪いが、一つ頼まれてくれないか』
「少しお待ちください」
きょろきょろと周囲を見回す。誰も近くにいないのを確かめ、電話に戻る。
「すみません、どうぞお話しください」
『君も知っていると思うが、5時から嶺倉水産と例の契約について話し合うことになってる。場所は5番会議室だ。それで、もうじき先方が来社されるんで、君に案内役を頼もうと思ってな』
やっぱり……そんなことだろうと予感していた。
「お客様のご案内は、受付係の役目では?」
『何を言っとるんだ。嶺倉部長がお越しなんだぞ。北見君がいいに決まっている!』
契約の話をよりスムーズに進めるため、相手のご機嫌を取るために私を使うのだ。利用できるものは利用する、専務のそつのない仕事ぶりに、いたく感心する。
『もしもし、聞いとるのかね』
「分かりました。早速、受付に向かいます」
『よろしく頼んだぞ、じゃあな』
まったく、契約のためとはいえ、もう少し配慮してほしい。嶺倉さんとの関係を、誰かに勘付かれたらどうするのか。
(まあ、ばれないと思うけど。嶺倉さんはビジネスモードで来るだろうし)
二人が見合いし、結婚を前提に付き合っていることは、会社の人達に内緒だと彼に伝えてある。
むしろ、私のほうがぼろを出さないか心配だ。
何があっても動揺することのないよう、気を引きしめた。
「はじめまして。財務部経理課の北見と申します。会議室までご案内させていただきます」
お辞儀をして顔を上げると、嶺倉さんとまっすぐに目が合った。髪をきちんと整え、紺のスーツを纏う彼は、完璧なビジネスモードである。
「はじめまして、北見さん。よろしくお願いします」
爽やかな笑みを浮かべる彼に、受付係の女性達が、うっとりと見惚れている。
私もつい見惚れそうになり、それとなく目を逸らした。
「では、こちらへどうぞ」
嶺倉さんと彼の部下をエレベーターホールまで案内する。
今のところ、ぼろは出していない。嶺倉さんもちゃんと合わせてくれている。この調子で、『他人』を演じ切るのだ。
「ん?」
エレベーターの前まで来て、ふと感じるものがあった。
まさかと思うが、気のせいではない。さっきから視線を感じている――女性社員がやたらと通りかかり、嶺倉さんのことをじっと見つめていくのだ。
(ちょっと、嘘でしょ?)
噂の王子を一目見ようと、多くの女性社員が一階に集まっていた。
この会社のマナーはどうなっているの!?
しかし、ウイステリアに長いこと勤めている私だが、こんな現象は初めてのこと。嶺倉さんは、普段は保たれている社内風紀を乱してしまうほど、魅惑的な男性なのである。
納得すると同時に、私はそわそわして落ち着かない気持ちだった。
エレベーターの扉が開くと、嶺倉さん達と一緒に素早く乗り込み、すぐに『閉』のボタンを押す。覗き込んでくる女性達の羨ましげな……否、恨めしげな顔をシャットアウトした。
「申しわけありません。うちの社員が失礼いたしました」
上昇を始めたエレベーターの中で、お客様に対する社員の無礼を詫びた。
「え、何かありましたか?」
嶺倉さんは不思議そうに私を見下ろす。
(何かって……女性社員があなたのことを、無遠慮に眺めていたのですが?)
もしかして、気付いていないのだろうか。
(そっか。嶺倉さんは王子様だもんね)
女性に注目されるなど、彼にとっては日常茶飯事で、いちいち気に留めることではない。
さすがイケメン御曹司である。
SNSの写真を頭によぎらせ、ひそかにため息をつく。私と結婚しても、見知らぬ女性達によってあんな写真がアップされるのだろうか。
嶺倉さんはあらゆる面でハイスペックな男性だと、あらためて認識した。
今夜私は、この人とデートする。何だか夢みたいな話だと思う。
会議室に着くと、金田専務はじめライセンス契約の担当者が待ちかねていた。
専務は喜色満面で嶺倉さんを出迎え、丁重に席に案内する。そして、ドアを閉めようとする私を呼び止め、近付いて来た。
「北見君、ご苦労さん。どうだ、君も同席するかね」
「は? いえいえ、とんでもございません。私は経理の人間ですので」
慌てて断ると、専務はムッとした。
「何を言っとるんだ。君はこの取引の重要な鍵を握っておるのだぞ。嶺倉さんの機嫌を損ねたらどうする」
この人は、会議を接待と勘違いしている。見合いの仲立ちをしてくれたのは感謝しているが、ここまでくると公私混同だ。
「申しわけございません。仕事が残っておりますので」
「あのなあ、北見君」
専務と小声で話す私を、嶺倉さんが面白そうに見ている。
彼は、何もかも分かっているのだ。
「失礼いたします」
専務が睨んでくるが、無視して会議室をあとにする。契約の手柄を自慢するなら、専務自身の実力で話を進めればいい。
とにかく私は、嶺倉さんとの関係を社内で隠しておきたかった。
午後7時前。
私はついさっき仕事を終わらせ、更衣室で着替えている。
嶺倉さんも会議が終わったようで、先ほどメールが届いた。ここまでは予定どおりだけれど……
水曜日は残業する人が少なく、更衣室にいるのは私一人だった。髪をほどき、ワンピースの肩にふわりと垂らす。ヒールの靴に履き替えてからスマートフォンをもう一度見直し、嶺倉さんのメールに首を傾げた。
《 会議終了 タクシーを呼んだ ロータリーで待ってるよ 》
(ロータリーって、ウイステリアの正面玄関前? そんな目立つ場所で待ち合わせたら、他の社員に見られてしまう)
間違いかと思って確認のメールを送るが、やはりロータリーだという。
(どういうことだろ)
スマートフォンをバッグに仕舞おうとした時、電話の音が鳴った。壁に設置された、社内連絡用の電話である。
「はい、2階更衣室です」
『そちらに経理課の北見さんはいらっしゃいますか』
「北見は私ですが」
電話は経理課の社員だった。
『あ、やっぱりまだいらっしゃったんですね。先ほど北見さんに電話がかかってきて、相手の方に帰宅したと伝えてしまったんですが』
「そうなの。急ぎの用件だった?」
『いえ、仕事先ではなく、個人の方でした。お名前と電話番号を預かっています』
私はバッグから手帳を取り出し、メモの用意をした。
「お願いします」
『お名前は、海藤蓮さん。電話番号は……』
「えっ?」
相手の名前を聞き、思わず小さく叫んだ。
「北見さん、金田専務から電話だよ。内線2番」
「えっ……専務?」
時計を見れば午後5時10分前。私はもしやと思った。
「お電話代わりました。北見です」
『おお、北見君。忙しいところ悪いが、一つ頼まれてくれないか』
「少しお待ちください」
きょろきょろと周囲を見回す。誰も近くにいないのを確かめ、電話に戻る。
「すみません、どうぞお話しください」
『君も知っていると思うが、5時から嶺倉水産と例の契約について話し合うことになってる。場所は5番会議室だ。それで、もうじき先方が来社されるんで、君に案内役を頼もうと思ってな』
やっぱり……そんなことだろうと予感していた。
「お客様のご案内は、受付係の役目では?」
『何を言っとるんだ。嶺倉部長がお越しなんだぞ。北見君がいいに決まっている!』
契約の話をよりスムーズに進めるため、相手のご機嫌を取るために私を使うのだ。利用できるものは利用する、専務のそつのない仕事ぶりに、いたく感心する。
『もしもし、聞いとるのかね』
「分かりました。早速、受付に向かいます」
『よろしく頼んだぞ、じゃあな』
まったく、契約のためとはいえ、もう少し配慮してほしい。嶺倉さんとの関係を、誰かに勘付かれたらどうするのか。
(まあ、ばれないと思うけど。嶺倉さんはビジネスモードで来るだろうし)
二人が見合いし、結婚を前提に付き合っていることは、会社の人達に内緒だと彼に伝えてある。
むしろ、私のほうがぼろを出さないか心配だ。
何があっても動揺することのないよう、気を引きしめた。
「はじめまして。財務部経理課の北見と申します。会議室までご案内させていただきます」
お辞儀をして顔を上げると、嶺倉さんとまっすぐに目が合った。髪をきちんと整え、紺のスーツを纏う彼は、完璧なビジネスモードである。
「はじめまして、北見さん。よろしくお願いします」
爽やかな笑みを浮かべる彼に、受付係の女性達が、うっとりと見惚れている。
私もつい見惚れそうになり、それとなく目を逸らした。
「では、こちらへどうぞ」
嶺倉さんと彼の部下をエレベーターホールまで案内する。
今のところ、ぼろは出していない。嶺倉さんもちゃんと合わせてくれている。この調子で、『他人』を演じ切るのだ。
「ん?」
エレベーターの前まで来て、ふと感じるものがあった。
まさかと思うが、気のせいではない。さっきから視線を感じている――女性社員がやたらと通りかかり、嶺倉さんのことをじっと見つめていくのだ。
(ちょっと、嘘でしょ?)
噂の王子を一目見ようと、多くの女性社員が一階に集まっていた。
この会社のマナーはどうなっているの!?
しかし、ウイステリアに長いこと勤めている私だが、こんな現象は初めてのこと。嶺倉さんは、普段は保たれている社内風紀を乱してしまうほど、魅惑的な男性なのである。
納得すると同時に、私はそわそわして落ち着かない気持ちだった。
エレベーターの扉が開くと、嶺倉さん達と一緒に素早く乗り込み、すぐに『閉』のボタンを押す。覗き込んでくる女性達の羨ましげな……否、恨めしげな顔をシャットアウトした。
「申しわけありません。うちの社員が失礼いたしました」
上昇を始めたエレベーターの中で、お客様に対する社員の無礼を詫びた。
「え、何かありましたか?」
嶺倉さんは不思議そうに私を見下ろす。
(何かって……女性社員があなたのことを、無遠慮に眺めていたのですが?)
もしかして、気付いていないのだろうか。
(そっか。嶺倉さんは王子様だもんね)
女性に注目されるなど、彼にとっては日常茶飯事で、いちいち気に留めることではない。
さすがイケメン御曹司である。
SNSの写真を頭によぎらせ、ひそかにため息をつく。私と結婚しても、見知らぬ女性達によってあんな写真がアップされるのだろうか。
嶺倉さんはあらゆる面でハイスペックな男性だと、あらためて認識した。
今夜私は、この人とデートする。何だか夢みたいな話だと思う。
会議室に着くと、金田専務はじめライセンス契約の担当者が待ちかねていた。
専務は喜色満面で嶺倉さんを出迎え、丁重に席に案内する。そして、ドアを閉めようとする私を呼び止め、近付いて来た。
「北見君、ご苦労さん。どうだ、君も同席するかね」
「は? いえいえ、とんでもございません。私は経理の人間ですので」
慌てて断ると、専務はムッとした。
「何を言っとるんだ。君はこの取引の重要な鍵を握っておるのだぞ。嶺倉さんの機嫌を損ねたらどうする」
この人は、会議を接待と勘違いしている。見合いの仲立ちをしてくれたのは感謝しているが、ここまでくると公私混同だ。
「申しわけございません。仕事が残っておりますので」
「あのなあ、北見君」
専務と小声で話す私を、嶺倉さんが面白そうに見ている。
彼は、何もかも分かっているのだ。
「失礼いたします」
専務が睨んでくるが、無視して会議室をあとにする。契約の手柄を自慢するなら、専務自身の実力で話を進めればいい。
とにかく私は、嶺倉さんとの関係を社内で隠しておきたかった。
午後7時前。
私はついさっき仕事を終わらせ、更衣室で着替えている。
嶺倉さんも会議が終わったようで、先ほどメールが届いた。ここまでは予定どおりだけれど……
水曜日は残業する人が少なく、更衣室にいるのは私一人だった。髪をほどき、ワンピースの肩にふわりと垂らす。ヒールの靴に履き替えてからスマートフォンをもう一度見直し、嶺倉さんのメールに首を傾げた。
《 会議終了 タクシーを呼んだ ロータリーで待ってるよ 》
(ロータリーって、ウイステリアの正面玄関前? そんな目立つ場所で待ち合わせたら、他の社員に見られてしまう)
間違いかと思って確認のメールを送るが、やはりロータリーだという。
(どういうことだろ)
スマートフォンをバッグに仕舞おうとした時、電話の音が鳴った。壁に設置された、社内連絡用の電話である。
「はい、2階更衣室です」
『そちらに経理課の北見さんはいらっしゃいますか』
「北見は私ですが」
電話は経理課の社員だった。
『あ、やっぱりまだいらっしゃったんですね。先ほど北見さんに電話がかかってきて、相手の方に帰宅したと伝えてしまったんですが』
「そうなの。急ぎの用件だった?」
『いえ、仕事先ではなく、個人の方でした。お名前と電話番号を預かっています』
私はバッグから手帳を取り出し、メモの用意をした。
「お願いします」
『お名前は、海藤蓮さん。電話番号は……』
「えっ?」
相手の名前を聞き、思わず小さく叫んだ。
0
お気に入りに追加
332
あなたにおすすめの小説
優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~
けいこ
恋愛
人生に疲れ、自暴自棄になり、私はいろんなことから逃げていた。
してはいけないことをしてしまった自分を恥ながらも、この関係を断ち切れないままでいた。
そんな私に、ひょんなことから同居生活を始めた個性的なイケメン男子達が、それぞれに甘く優しく、大人の女の恋心をくすぐるような言葉をかけてくる…
ピアノが得意で大企業の御曹司、山崎祥太君、24歳。
有名大学に通い医師を目指してる、神田文都君、23歳。
美大生で画家志望の、望月颯君、21歳。
真っ直ぐで素直なみんなとの関わりの中で、ひどく冷め切った心が、ゆっくり溶けていくのがわかった。
家族、同居の女子達ともいろいろあって、大きく揺れ動く気持ちに戸惑いを隠せない。
こんな私でもやり直せるの?
幸せを願っても…いいの?
動き出す私の未来には、いったい何が待ち受けているの?
俺様幼馴染の溺愛包囲網
吉岡ミホ
恋愛
枚岡結衣子 (ひらおか ゆいこ)
25歳 養護教諭
世話焼きで断れない性格
無自覚癒やし系
長女
×
藤田亮平 (ふじた りょうへい)
25歳 研修医
俺様で人たらしで潔癖症
トラウマ持ち
末っ子
「お前、俺専用な!」
「結衣子、俺に食われろ」
「お前が俺のものだって、感じたい」
私たちって家が隣同士の幼馴染で…………セフレ⁇
この先、2人はどうなる?
俺様亮平と癒し系結衣子の、ほっこり・じんわり、心温まるラブコメディをお楽しみください!
※『ほっこりじんわり大賞』エントリー作品です。
ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編
タニマリ
恋愛
野獣のような男と付き合い始めてから早5年。そんな彼からプロポーズをされ同棲生活を始めた。
私の仕事が忙しくて結婚式と入籍は保留になっていたのだが……
予定にはなかった大問題が起こってしまった。
本作品はシリーズの第二弾の作品ですが、この作品だけでもお読み頂けます。
15分あれば読めると思います。
この作品の続編あります♪
『ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編』
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす
和泉杏咲
恋愛
私は、もうすぐ結婚をする。
職場で知り合った上司とのスピード婚。
ワケアリなので結婚式はナシ。
けれど、指輪だけは買おうと2人で決めた。
物が手に入りさえすれば、どこでもよかったのに。
どうして私達は、あの店に入ってしまったのだろう。
その店の名前は「Bella stella(ベラ ステラ)」
春の空色の壁の小さなお店にいたのは、私がずっと忘れられない人だった。
「君が、そんな結婚をするなんて、俺がこのまま許せると思う?」
お願い。
今、そんなことを言わないで。
決心が鈍ってしまうから。
私の人生は、あの人に捧げると決めてしまったのだから。
⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒* ゚*。*⌒*。*゚
東雲美空(28) 会社員 × 如月理玖(28) 有名ジュエリー作家
⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒* ゚*。*⌒*。*゚
冷徹御曹司と極上の一夜に溺れたら愛を孕みました
せいとも
恋愛
旧題:運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜
神楽坂グループ傘下『田崎ホールディングス』の創業50周年パーティーが開催された。
舞台で挨拶するのは、専務の田崎悠太だ。
専務の秘書で彼女の月島さくらは、会場で挨拶を聞いていた。
そこで、今の瞬間まで彼氏だと思っていた悠太の口から、別の女性との婚約が発表された。
さくらは、訳が分からずショックを受け会場を後にする。
その様子を見ていたのが、神楽坂グループの御曹司で、社長の怜だった。
海外出張から一時帰国して、パーティーに出席していたのだ。
会場から出たさくらを追いかけ、忘れさせてやると一夜の関係をもつ。
一生をさくらと共にしようと考えていた怜と、怜とは一夜の関係だと割り切り前に進むさくらとの、長い長いすれ違いが始まる。
再会の日は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる