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霧中
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翌日の土曜日。
私は早めに出勤し、営業担当者に頼まれていた仕事をすぐに終わらせた。
営業所ビルの外階段を下りながら腕時計を確かめる。秀一さんと約束した時間まで3時間の余裕があった。
「どうしようかな……」
そういえば水彩絵の具が何色か不足している。竹宮堂に行こうと思い立った。
海景画の件で竹宮さんに気まずい思いをさせたことも気になっている。
「うん、行ってみよう」
バッグを肩に掛け直し、アーケード街へと向かった。
竹宮堂に一歩入ると、奥さんがレジから声をかけた。
「あら、星野さんじゃない!」
「こんにちは」
奥さんは元気に出迎えてくれた。私は挨拶をしてから、ご主人を探して周囲を見回す。
「どうしたの?」
「いえ。あの、昨夜はすみませんでした。実は、画廊のほうにおじゃまして」
「えっ、そうなの?」
「はい。島先生と二人で」
「まあ! 島君と?」
奥さんは声を上げ、レジを回り込んだ。
「聞いたわよ~、商店街でのもっぱらの噂」
私の肩をぺしぺしとたたき、意味ありげな目つきで下から覗き込む。
「え……?」
「島君と、結婚を前提に付き合ってるんだって?」
「うっ」
そうだった。母が商店街で、秀一さんの身上調査をしたのだった。お盆前のことだから、噂が広がっていても不思議ではない。
「カトレアのサツキさんが噂してたのよ。ようやく島先生に春が来たって」
「そ、そうなんですか」
カトレアとは、母の行きつけの洋品店であり、サツキさんは店の奥さん。秀一さんを息子みたいに可愛がっているという女性である。
「サツキさん、喜んでたわ~。お相手は、昔からのお得意さんの娘さんなのよって」
それは嬉しいことだ。サツキさんに喜んでもらえて、ありがたい気持ちになる。
だけど、母の行為自体は、やはり恥ずかしかった。
「すみません。商店街の皆さんには母がいろいろとご迷惑をおかけしました」
「何言ってるのよ。いいお母様じゃないの。行動的で、娘思いで」
奥さんは私の背中をぼんぼんと叩く。
「私も嬉しいわ~。何しろ島君の初恋だものね」
独り言のように続いた言葉に、私はハッとする。
「初恋、ですか?」
「そうよ、主人が言ってたわ。星野さんはあいつの初恋の人だって」
私は曖昧に首を傾げる。秀一さんは四十歳にもなる男性なのに、私が初恋の人というのは違和感があった。
「本当みたいよ。あの島君が、人生40年目にして初めて心から好きになった人だって、あなたのことを話してたもの。あはは、こっちが照れちゃうわね」
「ええっ?」
確かに秀一さんは、私への気持ちを持て余している感じだ。だけどその反面、女性を扱い慣れた言動も多々見受けられる。
(それに、秀一さんはベッドでも……)
変なほうへ考えが及び、思わず頬を押さえる。奥さんに気取られないよう、無理やり話を変えた。
「えっと、水彩絵の具をいくつか欲しいのですが」
「ああ、ゴメンゴメン。買い物に来てくれたのよね」
奥さんは話を切り上げ、絵の具の棚に案内してくれた。
「イエローオーカーにバーミリオン……以上かな?」
「はい。これくらいで大丈夫です」
「毎度ありがとうございます」
奥さんは私に商品を手渡し、バッグにしまうのを見届ける。
そして、あらたまったように言った。
「ねえ、星野さん。島君ってね、何ていうの……不器用で、少年のような部分が残ってる。だけど、あなたなら大丈夫だと私は思うのよ」
奥さんの声は真面目だ。眼鏡の奥の丸い目も真剣だった。
「彼のこと信じてあげて」
「え……」
「大丈夫よ」
――あなたなら大丈夫。
そういえば、達川さんも同じように言ってくれた。
(大丈夫、大丈夫)
私は心で繰り返す。秀一さんをよく知る人々に太鼓判を押してもらえたようで嬉しい。
奥さんは店の外まで見送ってくれた。
「ところで、昨夜の画廊でのことって……」
「あ、はい」
私は少し緊張して向き合う。
「今、ピンときたの。昨夜、主人が遅く帰った時、変な顔をしてたから」
「変な顔?」
「ええ。怒ってるような、気の抜けたような、おかしな顔。あれはね、誰かとやり合った後よ」
やり合った後――喧嘩と言うことだろうか。
つまり、秀一さんと。
私は返事ができず、奥さんの次の言葉を待つ。
「私には何も言わなかったけど……もしかして、バレたのかしら」
ばつが悪そうに首をすくめる奥さんに、今度は私がピンとくる。
海景画のことだ。あの絵について、奥さんも知っているのだと。
「そう、みたいです」
私が頷くと、奥さんは深いため息をつく。
「信じられない……隠しごとはできないものね」
あの海景画を、画廊から雨宮さんのホテルに移したのを奥さんも承知していた。なぜ秀一さんに知らせずそのようなことをしたのか、事情も知っているのだろう。
私は、そのわけを訊いてみたいと思う。でも、うまく言葉が出ない。私が立ち入っていいのかどうか、分からなかった。
それに秀一さんが、いずれ詳しく話すとメールをくれた。今、知る必要は無いのだ。
「そっか。ばれちゃったものは仕方ないね。島君も頑固だから」
「頑固?」
よく分からず見つめ返す私に、奥さんは首を横に振る。
「ううん。とにかくあなたは、彼のことを信じてあげて」
「奥さん……?」
「まるごと包んであげて。あなたなら、きっとできる」
竹宮堂に立ち寄ってからも時間が余った。
私は奥さんの言葉を思い返しながら街を歩き、商店街を一回りして駅に戻った頃、喉の渇きを覚えた。
「何か飲みたいな」
駅前のカフェに寄ろうか、それとも適当な喫茶店に入って時間を潰そうか。
あれこれ思案するうち、『クロッキー』を思い出した。ここからさほど遠くない場所にある。
「そうだ。そうしよう!」
涼しくて快適で、ゆったりと寛げる空間。
クロッキーはいつもと同じように、心地良い雰囲気で私を迎えてくれた。
いつものようにと言っても、私がここを訪れるのはまだ三度目である。それでも落ち着くと感じるのは、秀一さんのお気に入りの店だから。
いや、それだけではない。
「こんにちは。ようこそクロッキーへ」
にこやかな笑顔を見せるマスターと奥さん。それはさり気ない心遣い。一人で訪れても、家に帰ったような、ほっとした気持ちになれる。
クロッキーは素敵なお店なのだ。
「今日は美大の学生さんが、二階でサークル活動をしているの。だから、あの席に案内できないけど」
奥さんがすまなそうに言う。ちょっぴり残念だけど、クロッキーでお茶を飲めるならどの席でも構わない。私は一階の空いている席に座った。
「こちらは本日のサービスになっております」
テーブルに小皿が置かれた。ヘーゼルナッツ、くるみ、アーモンドと、ナッツクッキーが3種類。どれも可愛くて、とても美味しそうだ。
「わあ、嬉しいです」
「島先生も好きなのよ。クッキーとか、タルトとか」
「えっ、そうなんですか」
初めて知る情報だ。秀一さんはお酒に強いから、辛党だと思い込んでいた。
「何でも、留学中に食べたお菓子があまりにも美味しくて、それから甘党になったとか」
「留学中に……」
先生についてもっと聞きたいと思いつつ、ハウスブレンドを注文した。
その時――
「こんにちは」
奥さんの背後から、声が聞こえた。
「あらっ、まあ、いらっしゃいませ。ええっと……」
奥さんはなぜか私の顔を驚いたように見直す。奥さんの背後から現れたのは、一人の老婦人だった。
「ご一緒してもいいかしら」
私に向けられた問いかけだと気付き、慌てて「はい」と返事する。
だけど、空席は他にもあるのに、なぜ……
「うふふ。ありがとう」
戸惑う私に老婦人が微笑みかけ、椅子にゆっくりと腰を下ろす。
よく見ると、少し驚くほど大柄な体をしている。
品のある目鼻立ち。とても明るい笑顔。
彼女の顔や姿に、私は見覚えがあった。
私は早めに出勤し、営業担当者に頼まれていた仕事をすぐに終わらせた。
営業所ビルの外階段を下りながら腕時計を確かめる。秀一さんと約束した時間まで3時間の余裕があった。
「どうしようかな……」
そういえば水彩絵の具が何色か不足している。竹宮堂に行こうと思い立った。
海景画の件で竹宮さんに気まずい思いをさせたことも気になっている。
「うん、行ってみよう」
バッグを肩に掛け直し、アーケード街へと向かった。
竹宮堂に一歩入ると、奥さんがレジから声をかけた。
「あら、星野さんじゃない!」
「こんにちは」
奥さんは元気に出迎えてくれた。私は挨拶をしてから、ご主人を探して周囲を見回す。
「どうしたの?」
「いえ。あの、昨夜はすみませんでした。実は、画廊のほうにおじゃまして」
「えっ、そうなの?」
「はい。島先生と二人で」
「まあ! 島君と?」
奥さんは声を上げ、レジを回り込んだ。
「聞いたわよ~、商店街でのもっぱらの噂」
私の肩をぺしぺしとたたき、意味ありげな目つきで下から覗き込む。
「え……?」
「島君と、結婚を前提に付き合ってるんだって?」
「うっ」
そうだった。母が商店街で、秀一さんの身上調査をしたのだった。お盆前のことだから、噂が広がっていても不思議ではない。
「カトレアのサツキさんが噂してたのよ。ようやく島先生に春が来たって」
「そ、そうなんですか」
カトレアとは、母の行きつけの洋品店であり、サツキさんは店の奥さん。秀一さんを息子みたいに可愛がっているという女性である。
「サツキさん、喜んでたわ~。お相手は、昔からのお得意さんの娘さんなのよって」
それは嬉しいことだ。サツキさんに喜んでもらえて、ありがたい気持ちになる。
だけど、母の行為自体は、やはり恥ずかしかった。
「すみません。商店街の皆さんには母がいろいろとご迷惑をおかけしました」
「何言ってるのよ。いいお母様じゃないの。行動的で、娘思いで」
奥さんは私の背中をぼんぼんと叩く。
「私も嬉しいわ~。何しろ島君の初恋だものね」
独り言のように続いた言葉に、私はハッとする。
「初恋、ですか?」
「そうよ、主人が言ってたわ。星野さんはあいつの初恋の人だって」
私は曖昧に首を傾げる。秀一さんは四十歳にもなる男性なのに、私が初恋の人というのは違和感があった。
「本当みたいよ。あの島君が、人生40年目にして初めて心から好きになった人だって、あなたのことを話してたもの。あはは、こっちが照れちゃうわね」
「ええっ?」
確かに秀一さんは、私への気持ちを持て余している感じだ。だけどその反面、女性を扱い慣れた言動も多々見受けられる。
(それに、秀一さんはベッドでも……)
変なほうへ考えが及び、思わず頬を押さえる。奥さんに気取られないよう、無理やり話を変えた。
「えっと、水彩絵の具をいくつか欲しいのですが」
「ああ、ゴメンゴメン。買い物に来てくれたのよね」
奥さんは話を切り上げ、絵の具の棚に案内してくれた。
「イエローオーカーにバーミリオン……以上かな?」
「はい。これくらいで大丈夫です」
「毎度ありがとうございます」
奥さんは私に商品を手渡し、バッグにしまうのを見届ける。
そして、あらたまったように言った。
「ねえ、星野さん。島君ってね、何ていうの……不器用で、少年のような部分が残ってる。だけど、あなたなら大丈夫だと私は思うのよ」
奥さんの声は真面目だ。眼鏡の奥の丸い目も真剣だった。
「彼のこと信じてあげて」
「え……」
「大丈夫よ」
――あなたなら大丈夫。
そういえば、達川さんも同じように言ってくれた。
(大丈夫、大丈夫)
私は心で繰り返す。秀一さんをよく知る人々に太鼓判を押してもらえたようで嬉しい。
奥さんは店の外まで見送ってくれた。
「ところで、昨夜の画廊でのことって……」
「あ、はい」
私は少し緊張して向き合う。
「今、ピンときたの。昨夜、主人が遅く帰った時、変な顔をしてたから」
「変な顔?」
「ええ。怒ってるような、気の抜けたような、おかしな顔。あれはね、誰かとやり合った後よ」
やり合った後――喧嘩と言うことだろうか。
つまり、秀一さんと。
私は返事ができず、奥さんの次の言葉を待つ。
「私には何も言わなかったけど……もしかして、バレたのかしら」
ばつが悪そうに首をすくめる奥さんに、今度は私がピンとくる。
海景画のことだ。あの絵について、奥さんも知っているのだと。
「そう、みたいです」
私が頷くと、奥さんは深いため息をつく。
「信じられない……隠しごとはできないものね」
あの海景画を、画廊から雨宮さんのホテルに移したのを奥さんも承知していた。なぜ秀一さんに知らせずそのようなことをしたのか、事情も知っているのだろう。
私は、そのわけを訊いてみたいと思う。でも、うまく言葉が出ない。私が立ち入っていいのかどうか、分からなかった。
それに秀一さんが、いずれ詳しく話すとメールをくれた。今、知る必要は無いのだ。
「そっか。ばれちゃったものは仕方ないね。島君も頑固だから」
「頑固?」
よく分からず見つめ返す私に、奥さんは首を横に振る。
「ううん。とにかくあなたは、彼のことを信じてあげて」
「奥さん……?」
「まるごと包んであげて。あなたなら、きっとできる」
竹宮堂に立ち寄ってからも時間が余った。
私は奥さんの言葉を思い返しながら街を歩き、商店街を一回りして駅に戻った頃、喉の渇きを覚えた。
「何か飲みたいな」
駅前のカフェに寄ろうか、それとも適当な喫茶店に入って時間を潰そうか。
あれこれ思案するうち、『クロッキー』を思い出した。ここからさほど遠くない場所にある。
「そうだ。そうしよう!」
涼しくて快適で、ゆったりと寛げる空間。
クロッキーはいつもと同じように、心地良い雰囲気で私を迎えてくれた。
いつものようにと言っても、私がここを訪れるのはまだ三度目である。それでも落ち着くと感じるのは、秀一さんのお気に入りの店だから。
いや、それだけではない。
「こんにちは。ようこそクロッキーへ」
にこやかな笑顔を見せるマスターと奥さん。それはさり気ない心遣い。一人で訪れても、家に帰ったような、ほっとした気持ちになれる。
クロッキーは素敵なお店なのだ。
「今日は美大の学生さんが、二階でサークル活動をしているの。だから、あの席に案内できないけど」
奥さんがすまなそうに言う。ちょっぴり残念だけど、クロッキーでお茶を飲めるならどの席でも構わない。私は一階の空いている席に座った。
「こちらは本日のサービスになっております」
テーブルに小皿が置かれた。ヘーゼルナッツ、くるみ、アーモンドと、ナッツクッキーが3種類。どれも可愛くて、とても美味しそうだ。
「わあ、嬉しいです」
「島先生も好きなのよ。クッキーとか、タルトとか」
「えっ、そうなんですか」
初めて知る情報だ。秀一さんはお酒に強いから、辛党だと思い込んでいた。
「何でも、留学中に食べたお菓子があまりにも美味しくて、それから甘党になったとか」
「留学中に……」
先生についてもっと聞きたいと思いつつ、ハウスブレンドを注文した。
その時――
「こんにちは」
奥さんの背後から、声が聞こえた。
「あらっ、まあ、いらっしゃいませ。ええっと……」
奥さんはなぜか私の顔を驚いたように見直す。奥さんの背後から現れたのは、一人の老婦人だった。
「ご一緒してもいいかしら」
私に向けられた問いかけだと気付き、慌てて「はい」と返事する。
だけど、空席は他にもあるのに、なぜ……
「うふふ。ありがとう」
戸惑う私に老婦人が微笑みかけ、椅子にゆっくりと腰を下ろす。
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