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嫉妬
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翔也君のこと、どう思ってる?
どういう意味なのか、みのりさんが何故こんなにも迫ってくるのか、考えてみた。早乙女さんをひたむきに想うみのりさんが、どうしてこんなことを訊くのか。
どう思ってる?
まさか……
まさかだった。
僅かな表情の変化も見逃さないように、みのりさんは食い入るように私を見つめている。嘘も誤魔化しも許さない。正直な答えだけを、この人は待っているのだ。
たとえ “まさか” でも、誠実に答えなければ。
「みのりさん」
「うん」
テーブルの上に乗り出して、手指をぎゅっと組んでいる。彼女の想いの強さが、無意識にそうさせるのだろう。一分の余裕も無い恋心。
「良い先輩だと、思っています」
「……」
必死の瞳に、失望の色がさした。
言ってから、自分でも違うと感じた。正直は正直だが、誠実ではない。
彼女が聞きたいのはこんな無難な答えではないと分かっている。分かってはいるけれど、とても言い難いのだ。
だって私は、早乙女さんをそんなふうに見たことなんて、一度も無いのだから。
「良い先輩で、その……」
言い難くても、言うしかないだろう。心の底からの、真実の答えでなければ納得してもらえない。みのりさんは真剣なのだ。
「それだけで、あとは何とも思っていません」
「何とも?」
それはつまり、彼女がはっきりと聞きたいであろう言葉で言うならばこうなる。
「男の人だとか、異性として意識することなんて、全く無いです。全然、普通です」
微かに、安堵の空気が流れた。
みのりさんはテーブルの上で組んでいた指から力を抜くと、ふっと、短く息を吐いた。
信じて、安心してくれたのだろうか。全然普通なんて、おかしな言い方だったかもしれない。正直な表現のつもりだったけれど。
「ありがとう」
白っぽかった頬がじわじわと赤くなり、彼女は隠すように俯いた。
気まずそうに、もじもじして。
「ごめんなさい、佐奈ちゃん。私ったら……変なこと」
「お待たせ致しました。ミックスフルーツパフェをおふたつ、お持ちしました」
二人とも顔を上げた。
店員が知らぬ間にテーブルのそばにいて、カラフルなフルーツが色も形もバランスよく飾られ、アイスクリームがグラスにしっかり詰まったパフェを、私と彼女の前に、静かに置いた。
「ごゆっくりどうぞ」
店員の靴音が遠ざかると、私達は再び目を合わせた。みのりさんは穏やかな眼差しに戻っていた。
「ごめんね、佐奈ちゃん」
あらためて謝罪する声は小さく、気弱だった。
グラスの横に並べられたフルーツ用のフォークを取り、くるくると弄りながら、私は首を左右に振った。別に変なことを訊かれたわけじゃない。むしろ、彼女にとっては大切なことだ。
私にとっては、にわかには信じられないことだけれど――
「食べましょう、みのりさん。すごく美味しそうです」
努めて明るく言う私に、みのりさんは赤いままの頬でぎこちなく頷くと、パフェを可愛く飾る苺をフォークで刺し、口に含んだ。甘酸っぱい果汁が広がるのか、瞼を閉じて、じんとした表情になっている。
私もフォークを使い、斜めにスライスされたバナナを生クリームとチョコレートソースと一緒に、まずはひと口いただいた。体の奥から幸せの気持ちが湧いてくるような、優しい甘さだった。
「お……美味しいね、佐奈ちゃん!」
「はい、美味しいですっ」
力んだやり取りになったが、ほっぺたを押さえて微笑み合った。
美味しくて幸せ。
これでいい。
彼女は訊きたかったことを訊き、私はありのままを答えて、あとはパフェを味わえばいい。
それでもう済んだと思った。
思おうとしていた。
それからは口を利かず、笑いもせず、ただひたすらにお互いが大好きなパフェを黙々と食べた。幸せなのにぎこちなく、幸せなのに気まずくて。
済むはずはなかった。
そのことは彼女には一番大切で、終わらせるなんて出来るはずもない。
私にとって、にわかには信じがたいそのことで、彼女は悩み、ここまで来ているのだから。
お店を出てから、みのりさんはずっと黙っている。
どこか一点に集中している、触れたら切れてしまいそうに張り詰めた横顔に私も何も言えず、私も同じように押し黙り、歩いている。
考えをまとめているのかもしれない。突然のことに信じられないでいる私に、理解できるよう伝えるために。
でも、私は落ち着かなかった。そんなことを聞かされても、どうしようもなく困るばかりだと予測できるから。できればこのまま別れて、帰りたいと思う。
彼女さえ、許してくれるなら。
幸か不幸か迂闊にも渡し損ねている、白く柔らかな彼女の持ち物を、このまま無かったことにして帰りたい。
エレベーターでビルを下り、みのりさんの後ろについて行くと、駅のコンコース出口手前の開けたスペースに辿り着いた。ここは待ち合わせの定番スポットになっていて、いつも大勢の人が立ち止まり、合流する、賑やかな場所である。
待ち合わせの人々の目印になっている金色の大きな時計を見上げると、もうすぐ午後3時30分になろうとしている。
人の流れのじゃまにならない端のほうへ私の手を引くと、みのりさんは息をついた。
「すごい人だね。名古屋ってやっぱり、都会だね」
長い髪を手ぐしで後ろへ流した彼女の襟足に、汗が光っている。
「翔也君は、この街で暮らしてるんだね」
みのりさんや早乙女さんの地元は同じ愛知県でも緑の多い田園地帯だそうで、高校を出てからは皆地元を離れ、それぞれの進学先に移動し、ひとり暮らしをしていると言った。
名古屋に住んでいるのは早乙女さんと千田さんの二人だけだと、少し寂しそうに付け足した。
「佐奈ちゃん」
「はい」
「聞いてほしいの」
まじめで、すがるような彼女の眼差しから、私は逸らすことができなかった。どうしようもなく困るばかりだと予測できても、覚悟を決めるほかなく頷いている。
これが果たして誠実な態度なのかどうか、考える間もなく。
人並みの遠くを透かすように見やり、みのりさんはぽつぽつと、話し始めた。
「翔也君が相崎夏実さんと別れたって聞いたのは、梅雨に入ってすぐの頃。6月のはじめだった」
梅雨に入ってすぐ――
いつか、東野君が言っていたのをぼんやりと思い出す。夏休み前の、あの日。
『だってあいつ、彼女の話をしなくなったから。そうだな、ちょうど梅雨に入った頃から』
多くは語らなかったけれど、東野君には分かっていたのだ。後輩の変化に、その寂しさに、あの人は気付いていた。
「教えてくれたのは、千田君だった。翔也君と同じ早朝のバイトをしてるし、仲もいいから、彼にはすぐに話したんだと思う」
千田さんというのは眼鏡をかけた、きれいな顔立ちをした人だ。口数は少ないけれど、みのりさんと同じ癒やし系の、穏やかな印象だった。
「久しぶりに皆で集まって海に行こうかって、猿渡君に連絡したのも千田君だった。それで、舞子と美里が、チャンスだから頑張れって」
活発で陽気なみのりさんの親友二人が目に浮かんだ。おっとりとした彼女を囲み、明るく笑っていた。
みのりさんは、嬉しそうな顔になって言った。
「あの二人、私が翔也君にずっと片思いなの知ってるから。今でも、好きなことも」
高校時代のみのりさんが、不意に現れたようだった。少女のような、はにかんだ笑顔。
「意気地なしの私が生徒会役員に立候補できたのも、二人が後押ししてくれたから。翔也君の近くに行きなよって、積極的になりなよって、応援してくれた」
内気なみのりさんを彼女たちが応援しているのは、海から気付いていたし、それはきっともっと前からなのだろうと、彼女らの会話から察することができた。自分のことのように怒って、笑って、励まして。本当に親友同士なんだなって、羨ましく思った。
「だから私、頑張ろうと思って、海に、張り切って出かけたの。でも……」
みのりさんは言葉を途切れさすと、不意に眉を曇らせ、雑踏の足もとに目を落とした。
でも……
声にならず、唇だけが、もう一度呟いた。
「どうして相崎さんと別れたのか、誰も知らない。千田君も、翔也が何も言わないから分からないって言うし、彼女と同じB大に通う菅原君も、分からないって言うし、でも」
どきっとして、彼女を見た。
涙声に、聞こえたから。
「みのりさん?」
手の甲で顔をこすると、彼女は視線を上げ、水平にした。
「私は分かったの。あの海で、気がついてしまったの」
ゆっくりと、私を捉えた。
涙に濡れた、たとえようのない感情を宿した目で、私を捉まえた。
「翔也君が、山室佐奈という女の子を、好きだってことに」
どういう意味なのか、みのりさんが何故こんなにも迫ってくるのか、考えてみた。早乙女さんをひたむきに想うみのりさんが、どうしてこんなことを訊くのか。
どう思ってる?
まさか……
まさかだった。
僅かな表情の変化も見逃さないように、みのりさんは食い入るように私を見つめている。嘘も誤魔化しも許さない。正直な答えだけを、この人は待っているのだ。
たとえ “まさか” でも、誠実に答えなければ。
「みのりさん」
「うん」
テーブルの上に乗り出して、手指をぎゅっと組んでいる。彼女の想いの強さが、無意識にそうさせるのだろう。一分の余裕も無い恋心。
「良い先輩だと、思っています」
「……」
必死の瞳に、失望の色がさした。
言ってから、自分でも違うと感じた。正直は正直だが、誠実ではない。
彼女が聞きたいのはこんな無難な答えではないと分かっている。分かってはいるけれど、とても言い難いのだ。
だって私は、早乙女さんをそんなふうに見たことなんて、一度も無いのだから。
「良い先輩で、その……」
言い難くても、言うしかないだろう。心の底からの、真実の答えでなければ納得してもらえない。みのりさんは真剣なのだ。
「それだけで、あとは何とも思っていません」
「何とも?」
それはつまり、彼女がはっきりと聞きたいであろう言葉で言うならばこうなる。
「男の人だとか、異性として意識することなんて、全く無いです。全然、普通です」
微かに、安堵の空気が流れた。
みのりさんはテーブルの上で組んでいた指から力を抜くと、ふっと、短く息を吐いた。
信じて、安心してくれたのだろうか。全然普通なんて、おかしな言い方だったかもしれない。正直な表現のつもりだったけれど。
「ありがとう」
白っぽかった頬がじわじわと赤くなり、彼女は隠すように俯いた。
気まずそうに、もじもじして。
「ごめんなさい、佐奈ちゃん。私ったら……変なこと」
「お待たせ致しました。ミックスフルーツパフェをおふたつ、お持ちしました」
二人とも顔を上げた。
店員が知らぬ間にテーブルのそばにいて、カラフルなフルーツが色も形もバランスよく飾られ、アイスクリームがグラスにしっかり詰まったパフェを、私と彼女の前に、静かに置いた。
「ごゆっくりどうぞ」
店員の靴音が遠ざかると、私達は再び目を合わせた。みのりさんは穏やかな眼差しに戻っていた。
「ごめんね、佐奈ちゃん」
あらためて謝罪する声は小さく、気弱だった。
グラスの横に並べられたフルーツ用のフォークを取り、くるくると弄りながら、私は首を左右に振った。別に変なことを訊かれたわけじゃない。むしろ、彼女にとっては大切なことだ。
私にとっては、にわかには信じられないことだけれど――
「食べましょう、みのりさん。すごく美味しそうです」
努めて明るく言う私に、みのりさんは赤いままの頬でぎこちなく頷くと、パフェを可愛く飾る苺をフォークで刺し、口に含んだ。甘酸っぱい果汁が広がるのか、瞼を閉じて、じんとした表情になっている。
私もフォークを使い、斜めにスライスされたバナナを生クリームとチョコレートソースと一緒に、まずはひと口いただいた。体の奥から幸せの気持ちが湧いてくるような、優しい甘さだった。
「お……美味しいね、佐奈ちゃん!」
「はい、美味しいですっ」
力んだやり取りになったが、ほっぺたを押さえて微笑み合った。
美味しくて幸せ。
これでいい。
彼女は訊きたかったことを訊き、私はありのままを答えて、あとはパフェを味わえばいい。
それでもう済んだと思った。
思おうとしていた。
それからは口を利かず、笑いもせず、ただひたすらにお互いが大好きなパフェを黙々と食べた。幸せなのにぎこちなく、幸せなのに気まずくて。
済むはずはなかった。
そのことは彼女には一番大切で、終わらせるなんて出来るはずもない。
私にとって、にわかには信じがたいそのことで、彼女は悩み、ここまで来ているのだから。
お店を出てから、みのりさんはずっと黙っている。
どこか一点に集中している、触れたら切れてしまいそうに張り詰めた横顔に私も何も言えず、私も同じように押し黙り、歩いている。
考えをまとめているのかもしれない。突然のことに信じられないでいる私に、理解できるよう伝えるために。
でも、私は落ち着かなかった。そんなことを聞かされても、どうしようもなく困るばかりだと予測できるから。できればこのまま別れて、帰りたいと思う。
彼女さえ、許してくれるなら。
幸か不幸か迂闊にも渡し損ねている、白く柔らかな彼女の持ち物を、このまま無かったことにして帰りたい。
エレベーターでビルを下り、みのりさんの後ろについて行くと、駅のコンコース出口手前の開けたスペースに辿り着いた。ここは待ち合わせの定番スポットになっていて、いつも大勢の人が立ち止まり、合流する、賑やかな場所である。
待ち合わせの人々の目印になっている金色の大きな時計を見上げると、もうすぐ午後3時30分になろうとしている。
人の流れのじゃまにならない端のほうへ私の手を引くと、みのりさんは息をついた。
「すごい人だね。名古屋ってやっぱり、都会だね」
長い髪を手ぐしで後ろへ流した彼女の襟足に、汗が光っている。
「翔也君は、この街で暮らしてるんだね」
みのりさんや早乙女さんの地元は同じ愛知県でも緑の多い田園地帯だそうで、高校を出てからは皆地元を離れ、それぞれの進学先に移動し、ひとり暮らしをしていると言った。
名古屋に住んでいるのは早乙女さんと千田さんの二人だけだと、少し寂しそうに付け足した。
「佐奈ちゃん」
「はい」
「聞いてほしいの」
まじめで、すがるような彼女の眼差しから、私は逸らすことができなかった。どうしようもなく困るばかりだと予測できても、覚悟を決めるほかなく頷いている。
これが果たして誠実な態度なのかどうか、考える間もなく。
人並みの遠くを透かすように見やり、みのりさんはぽつぽつと、話し始めた。
「翔也君が相崎夏実さんと別れたって聞いたのは、梅雨に入ってすぐの頃。6月のはじめだった」
梅雨に入ってすぐ――
いつか、東野君が言っていたのをぼんやりと思い出す。夏休み前の、あの日。
『だってあいつ、彼女の話をしなくなったから。そうだな、ちょうど梅雨に入った頃から』
多くは語らなかったけれど、東野君には分かっていたのだ。後輩の変化に、その寂しさに、あの人は気付いていた。
「教えてくれたのは、千田君だった。翔也君と同じ早朝のバイトをしてるし、仲もいいから、彼にはすぐに話したんだと思う」
千田さんというのは眼鏡をかけた、きれいな顔立ちをした人だ。口数は少ないけれど、みのりさんと同じ癒やし系の、穏やかな印象だった。
「久しぶりに皆で集まって海に行こうかって、猿渡君に連絡したのも千田君だった。それで、舞子と美里が、チャンスだから頑張れって」
活発で陽気なみのりさんの親友二人が目に浮かんだ。おっとりとした彼女を囲み、明るく笑っていた。
みのりさんは、嬉しそうな顔になって言った。
「あの二人、私が翔也君にずっと片思いなの知ってるから。今でも、好きなことも」
高校時代のみのりさんが、不意に現れたようだった。少女のような、はにかんだ笑顔。
「意気地なしの私が生徒会役員に立候補できたのも、二人が後押ししてくれたから。翔也君の近くに行きなよって、積極的になりなよって、応援してくれた」
内気なみのりさんを彼女たちが応援しているのは、海から気付いていたし、それはきっともっと前からなのだろうと、彼女らの会話から察することができた。自分のことのように怒って、笑って、励まして。本当に親友同士なんだなって、羨ましく思った。
「だから私、頑張ろうと思って、海に、張り切って出かけたの。でも……」
みのりさんは言葉を途切れさすと、不意に眉を曇らせ、雑踏の足もとに目を落とした。
でも……
声にならず、唇だけが、もう一度呟いた。
「どうして相崎さんと別れたのか、誰も知らない。千田君も、翔也が何も言わないから分からないって言うし、彼女と同じB大に通う菅原君も、分からないって言うし、でも」
どきっとして、彼女を見た。
涙声に、聞こえたから。
「みのりさん?」
手の甲で顔をこすると、彼女は視線を上げ、水平にした。
「私は分かったの。あの海で、気がついてしまったの」
ゆっくりと、私を捉えた。
涙に濡れた、たとえようのない感情を宿した目で、私を捉まえた。
「翔也君が、山室佐奈という女の子を、好きだってことに」
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