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恋の花々
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居間でテレビを見ている叔母に東野君と遊びに行ってきますと告げると、膝に抱いた城太郎の丸い背中を撫でながら、「あら、可愛いじゃない」と、にんまり笑った。
今日の東海地方
予報は晴れ
汗ばむ陽気になるでしょう
アナウンサーの声を背に、私は照れながら玄関へ向かった。
5月3日 憲法記念日。今日は東野君との、初デート。
どんな服装にしようかと迷ったが、今日は半袖でもよさそうなので、彼がプレゼントしてくれたポロシャツを、思い切って選んだ。
薄手の上着を羽織り、ボトムはパンツにした。全体的に、スポーティーな感じ。もう少し甘めの恰好がいいかなと思ったが、叔母のひと言で安心した。
スニーカーを履いて、外に出る。
見上げると、予報どおりの青空が広がっている。
「きっと素敵な一日になるね」
予感と期待でときめく胸を押さえ、初めての一歩を踏み出した。
初デートにまで辿り着いた二人だが、大学では相変わらずで……というか、私だけが相変わらずだった。東野君を見かけても声をかけずに見送り、物陰に隠れる。どうしても彼に頼り切ってしまいそうで、近寄ることができないでいる。
そのことについて彼は何も言わないし、気付いていない。元気に過ごしてると、思ってくれているのだろう。
確かに、最近は安定した毎日だ。
サッカー部の緑遼子さんと言葉を交わしてから、竦んでいた足が動き出し、前向きになった気がする。段々と、この生活が馴染んだものになっていくと、すぐじゃなくても何とかなると、そう思えるようになった。
あと、大学の広いキャンパスに慣れたのかもしれない。肩の力が抜けて、授業もリラックスして受けることができてきた。
ただ、そんな風にリズムに乗りかけたところで、ゴールデンウィークに入ってしまったけれど。
「振り出しに戻っちゃうかな」
なんて弱気になるが、それならまたやり直すしかない。いや、やり直せばいい。
まだまだ先は、長いのだから。
待ち合わせ場所である東野珈琲店のカウンター席に座り、あれこれ考えている私に、君江さんが封筒を差し出した。
「これは?」
「気分転換になるわよ」
中を開いてみると、水族館の入場チケットが二枚入っている。これは、君江さんからのプレゼントなのだ。
「あっ、ありがとうございます」
新しい生活の疲れが出る頃だからと、気遣ってくれたのだ。
それに、一枚は私に、もう一枚は東野君のぶんだと言われて、嬉しいような、恥ずかしいような、照れくさいような。
でもやっぱり、かなり嬉しい。
「N港の水族館か。いいねえ~」
隣に座る、常連のおじさんが覗き込んだ。
「でかいプールでイルカショーをやってるぞ」
「そうなんですか」
君江さんは頷いて、そうそうと身を乗り出す。
「シャチもパフォーマンスの練習してるみたいだから、時間が合えば見られるかもよ」
かなり大きな水族館のようで、近くには遊園地もあるらしい。港の博物館や、係留された船を見学したりできるそうだ。
「楽しそうですね」
「何が?」
後ろから手が伸び、チケットを取り上げた。
「あっ、あれ」
振り向くと、いつの間にか東野君が立っていた。
彼は両親のもとを離れ、近くのアパートに住んでいる。いつもは裏口から入り、カウンター内に出て来るのだが、今日は表側から入ったようだ。
「N港か」
「お客様にいただいたのよ~。期限無しだから、いつでも使えるでしょ」
君江さんは淹れたてのコーヒーとモーニングをセットすると、フロアへ運んでいった。
「なるほど。では、ありがたく」
そう言うと、押しいただくようにしてから胸ポケットに仕舞った。私はぽかんとするが、あまりにも自然な仕草なので、そのまま見過ごしてしまった。
「渉君、今日はデートだってねえ」
モーニングを終えたおじさんが、からかう口調で話しかける。私はどきっとしたが、東野君はすんなりと返した。
「そうだよ。ようやく、俺にもお相手が出来たのでね」
照れもせず、かえって自慢げな態度なので、おじさんも参ったなと笑っている。
「あのちっちゃかった渉君がねえ。月日が経つのは早いもんだ」
しみじみと言うと、コーヒーチケットを一枚カウンターに置いた。
「ごちそうさん。気をつけて行ってこいよ」
「ありがとう、おじさん」
おじさんは手を振ると、テーブル席の何人かと言葉を交わしてから店を出て行った。どうやら、ご近所の常連さんが集まっているようだ。
私達も店を出ると、駅へと歩いた。今日は電車を利用して、海まで行くのだ。
「家庭的なんだね」
道すがら、東野珈琲店の印象を語った。叔母のお供で何度か通っているが、そのたびに感じることだ。ご近所の社交場という趣もある。
「うん、長いことやってるからね。みんな顔見知りになっちゃうよ」
「さっきのおじさんも」
いかつい顔だが笑うとやさしい、作業服を着た50年配の人だった。東野君を小さい時から知っている様子なので、きっとそうなのだろう。
「ああ、俺が子供の頃……っていうか、生まれる前からの常連さん。そんな人がここ界隈には大勢いてね、悪い事はできないよ」
苦笑しながらも、朗らかに話している。
今のおじさんとのやりとりにも温かいものがあったなあと、私もほんわかした気分になる。
急行電車に乗り、途中で各駅停車に乗り換える。
1時間もしないとのことで、到着駅のホームからは海が見えるそうだ。内陸県である長野出身の自分としては、今からもうわくわくである。
「山も好きだけど、海にも憧れてるの」
「あっ、そうか」
東野君は手を打った。
「だから、海って言ったのか」
初デートの行き先をリクエストした理由に納得がいったようだ。
「うん。広くて、ゆったりとして、心が開放されるみたいで」
二人掛けの座席に並び、他愛のない話をした。だけど内心は、情けないほどそわそわしている。肩が触れ合う距離の近さを、意識してしまう。平静を装いながらも、東野君の何気ない言葉や微笑に、吸い込まれそうになってしまう。
キャンパスを案内してもらって以来、直接会うことはなかった。久し振りの、ホンモノの東野君だから緊張感も半端なくて……
「楽しみにしてた」
唐突に言われ、私は少しびっくりして、俯き加減でいた顔を上げる。
東野君は、至近距離からじっと見詰めていた。
「あ……の」
「佐奈に会えるのを、楽しみにしてた」
東野君は、真面目になっている。微笑をおさめ、黒い瞳には私だけを映している。
「大学で、かくれんぼしてるだろ」
「えっ」
見詰められたままの質問に、心臓ばくばくさせながら、どういう意味だろうと考えた。
かくれんぼしてるだろ
かくれんぼ――
あっ
「ばれてるよ」
「ごめんなさい!」
反射的に、謝っていた。
気付いていたのだ。キャンパスでこの人を見かけるたびに、隠れていたこと。つまり、わざと会わないようにしていたことを。
(どうしよう……気を悪くしたのかな)
「いいよ、佐奈」
東野君は、おどおどする私に目元を緩める。心の奥まで見透かすようなきれいな瞳に、私はおどおどびくびくどきどき、もうわけがわからず見つめ返すのみ。
「わかってる。俺に甘えたくないんだろ」
いつもどおりの優しい声と眼差しに、私はどきどきを通り超えて苦しくなってくる。
「頑張ってること、知ってるよ。いつも、ガチガチになって歩いてるのも」
「ほんと、に?」
知らなかった。そんなこと、思いも寄らなくて。
「香川さんから聞いた通りだなって、感心してたんだ」
「叔母から?」
一体何をどんな風に。それに、感心って……
焦るばかりの私に彼はクスッと笑うと、教えてくれた。
「普段は元気でマイペースだけど、新しい環境にはめっぽう弱くて心配だって。あと、それを誰にも言わず、自分で何とかしようとするのが困りものだと」
さすが叔母である。
でも、そんなことを彼に話していたなんてと、ちょっぴり恨めしい気分だった。何もかもばれていたのだと思い、今更赤面する。
「佐奈なりに頑張ってるって感心して、見守るだけにしたけど、やっぱり会えないのは物足りない。だから、今日は待ち遠しかった」
「東野君」
人目がなければ、きっと手を握っていた。それどころか、抱きつきたいくらいだった。涙が出そうに、嬉しくて。
アナウンスが、乗換駅への到着を告げる。
二人は立ち上がる。これから、デートが始まるのだ。
「一日、めいっぱい楽しむぞ」
「はいっ」
大好きな東野君。もう一度、あなたを好きになりました。
今日の東海地方
予報は晴れ
汗ばむ陽気になるでしょう
アナウンサーの声を背に、私は照れながら玄関へ向かった。
5月3日 憲法記念日。今日は東野君との、初デート。
どんな服装にしようかと迷ったが、今日は半袖でもよさそうなので、彼がプレゼントしてくれたポロシャツを、思い切って選んだ。
薄手の上着を羽織り、ボトムはパンツにした。全体的に、スポーティーな感じ。もう少し甘めの恰好がいいかなと思ったが、叔母のひと言で安心した。
スニーカーを履いて、外に出る。
見上げると、予報どおりの青空が広がっている。
「きっと素敵な一日になるね」
予感と期待でときめく胸を押さえ、初めての一歩を踏み出した。
初デートにまで辿り着いた二人だが、大学では相変わらずで……というか、私だけが相変わらずだった。東野君を見かけても声をかけずに見送り、物陰に隠れる。どうしても彼に頼り切ってしまいそうで、近寄ることができないでいる。
そのことについて彼は何も言わないし、気付いていない。元気に過ごしてると、思ってくれているのだろう。
確かに、最近は安定した毎日だ。
サッカー部の緑遼子さんと言葉を交わしてから、竦んでいた足が動き出し、前向きになった気がする。段々と、この生活が馴染んだものになっていくと、すぐじゃなくても何とかなると、そう思えるようになった。
あと、大学の広いキャンパスに慣れたのかもしれない。肩の力が抜けて、授業もリラックスして受けることができてきた。
ただ、そんな風にリズムに乗りかけたところで、ゴールデンウィークに入ってしまったけれど。
「振り出しに戻っちゃうかな」
なんて弱気になるが、それならまたやり直すしかない。いや、やり直せばいい。
まだまだ先は、長いのだから。
待ち合わせ場所である東野珈琲店のカウンター席に座り、あれこれ考えている私に、君江さんが封筒を差し出した。
「これは?」
「気分転換になるわよ」
中を開いてみると、水族館の入場チケットが二枚入っている。これは、君江さんからのプレゼントなのだ。
「あっ、ありがとうございます」
新しい生活の疲れが出る頃だからと、気遣ってくれたのだ。
それに、一枚は私に、もう一枚は東野君のぶんだと言われて、嬉しいような、恥ずかしいような、照れくさいような。
でもやっぱり、かなり嬉しい。
「N港の水族館か。いいねえ~」
隣に座る、常連のおじさんが覗き込んだ。
「でかいプールでイルカショーをやってるぞ」
「そうなんですか」
君江さんは頷いて、そうそうと身を乗り出す。
「シャチもパフォーマンスの練習してるみたいだから、時間が合えば見られるかもよ」
かなり大きな水族館のようで、近くには遊園地もあるらしい。港の博物館や、係留された船を見学したりできるそうだ。
「楽しそうですね」
「何が?」
後ろから手が伸び、チケットを取り上げた。
「あっ、あれ」
振り向くと、いつの間にか東野君が立っていた。
彼は両親のもとを離れ、近くのアパートに住んでいる。いつもは裏口から入り、カウンター内に出て来るのだが、今日は表側から入ったようだ。
「N港か」
「お客様にいただいたのよ~。期限無しだから、いつでも使えるでしょ」
君江さんは淹れたてのコーヒーとモーニングをセットすると、フロアへ運んでいった。
「なるほど。では、ありがたく」
そう言うと、押しいただくようにしてから胸ポケットに仕舞った。私はぽかんとするが、あまりにも自然な仕草なので、そのまま見過ごしてしまった。
「渉君、今日はデートだってねえ」
モーニングを終えたおじさんが、からかう口調で話しかける。私はどきっとしたが、東野君はすんなりと返した。
「そうだよ。ようやく、俺にもお相手が出来たのでね」
照れもせず、かえって自慢げな態度なので、おじさんも参ったなと笑っている。
「あのちっちゃかった渉君がねえ。月日が経つのは早いもんだ」
しみじみと言うと、コーヒーチケットを一枚カウンターに置いた。
「ごちそうさん。気をつけて行ってこいよ」
「ありがとう、おじさん」
おじさんは手を振ると、テーブル席の何人かと言葉を交わしてから店を出て行った。どうやら、ご近所の常連さんが集まっているようだ。
私達も店を出ると、駅へと歩いた。今日は電車を利用して、海まで行くのだ。
「家庭的なんだね」
道すがら、東野珈琲店の印象を語った。叔母のお供で何度か通っているが、そのたびに感じることだ。ご近所の社交場という趣もある。
「うん、長いことやってるからね。みんな顔見知りになっちゃうよ」
「さっきのおじさんも」
いかつい顔だが笑うとやさしい、作業服を着た50年配の人だった。東野君を小さい時から知っている様子なので、きっとそうなのだろう。
「ああ、俺が子供の頃……っていうか、生まれる前からの常連さん。そんな人がここ界隈には大勢いてね、悪い事はできないよ」
苦笑しながらも、朗らかに話している。
今のおじさんとのやりとりにも温かいものがあったなあと、私もほんわかした気分になる。
急行電車に乗り、途中で各駅停車に乗り換える。
1時間もしないとのことで、到着駅のホームからは海が見えるそうだ。内陸県である長野出身の自分としては、今からもうわくわくである。
「山も好きだけど、海にも憧れてるの」
「あっ、そうか」
東野君は手を打った。
「だから、海って言ったのか」
初デートの行き先をリクエストした理由に納得がいったようだ。
「うん。広くて、ゆったりとして、心が開放されるみたいで」
二人掛けの座席に並び、他愛のない話をした。だけど内心は、情けないほどそわそわしている。肩が触れ合う距離の近さを、意識してしまう。平静を装いながらも、東野君の何気ない言葉や微笑に、吸い込まれそうになってしまう。
キャンパスを案内してもらって以来、直接会うことはなかった。久し振りの、ホンモノの東野君だから緊張感も半端なくて……
「楽しみにしてた」
唐突に言われ、私は少しびっくりして、俯き加減でいた顔を上げる。
東野君は、至近距離からじっと見詰めていた。
「あ……の」
「佐奈に会えるのを、楽しみにしてた」
東野君は、真面目になっている。微笑をおさめ、黒い瞳には私だけを映している。
「大学で、かくれんぼしてるだろ」
「えっ」
見詰められたままの質問に、心臓ばくばくさせながら、どういう意味だろうと考えた。
かくれんぼしてるだろ
かくれんぼ――
あっ
「ばれてるよ」
「ごめんなさい!」
反射的に、謝っていた。
気付いていたのだ。キャンパスでこの人を見かけるたびに、隠れていたこと。つまり、わざと会わないようにしていたことを。
(どうしよう……気を悪くしたのかな)
「いいよ、佐奈」
東野君は、おどおどする私に目元を緩める。心の奥まで見透かすようなきれいな瞳に、私はおどおどびくびくどきどき、もうわけがわからず見つめ返すのみ。
「わかってる。俺に甘えたくないんだろ」
いつもどおりの優しい声と眼差しに、私はどきどきを通り超えて苦しくなってくる。
「頑張ってること、知ってるよ。いつも、ガチガチになって歩いてるのも」
「ほんと、に?」
知らなかった。そんなこと、思いも寄らなくて。
「香川さんから聞いた通りだなって、感心してたんだ」
「叔母から?」
一体何をどんな風に。それに、感心って……
焦るばかりの私に彼はクスッと笑うと、教えてくれた。
「普段は元気でマイペースだけど、新しい環境にはめっぽう弱くて心配だって。あと、それを誰にも言わず、自分で何とかしようとするのが困りものだと」
さすが叔母である。
でも、そんなことを彼に話していたなんてと、ちょっぴり恨めしい気分だった。何もかもばれていたのだと思い、今更赤面する。
「佐奈なりに頑張ってるって感心して、見守るだけにしたけど、やっぱり会えないのは物足りない。だから、今日は待ち遠しかった」
「東野君」
人目がなければ、きっと手を握っていた。それどころか、抱きつきたいくらいだった。涙が出そうに、嬉しくて。
アナウンスが、乗換駅への到着を告げる。
二人は立ち上がる。これから、デートが始まるのだ。
「一日、めいっぱい楽しむぞ」
「はいっ」
大好きな東野君。もう一度、あなたを好きになりました。
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