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二人は仲良し?
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「例えば、『ノルテフーズ』とともに、『混入』『不良』などのタグを数分おきに検索します。すると、クレームに相当する投稿が早い段階で見つかり、拡散の前に対応できますよね」
「ああ、あれだろ。SNSとか、つぶやきがどうのこうのというやつだ。ウチも宣伝部がやってるぞ」
「そうです、そうです」
具体的な例を聞けて、利希はよく理解できた様子。
「消費者は気軽に、美味いとか不味いとか、我が社の商品について噂してるわけだな」
「はい。商品アンケートより正直な意見が聞けるとか。ただ、嘘やでたらめも混在するため監視が必要なのです」
「ふん、まるで情報のるつぼだ」
「真偽を問わず、ネット情報は恐ろしい勢いで拡散されます。対応を間違えると、商品そのものより企業イメージに影響しますからね」
「山火事みたいなもんだな」
「まさに、大炎上ですよ」
膝を寄せ合い熱心に語り合う姿は、社長と社員というより、もっと近しい関係に見える。
「で、他の対策はどうなってる。マニュアルはできてるんだろうな」
「はい。管理課の皆さんが、ネット情勢に合わせて対策を日々更新中とのこと」
「ほう、さすがノルテの社員だ。今度、そのネット管理課を覗いてみるとしよう」
希美は驚いてしまう。ネットなどさっぱり分からんとふて腐れた社長が、積極的に動き始めるとは……
壮二はまるで、魔法使いのよう。
「しかし、会社の評判を直接知るというのは面白い。なあなあ、南村。どうやってやるのかちょっと教えてくれ」
利希はスマートフォンを手に取り、壮二と一緒に画面を覗き込む。希美の存在を忘れたかのように、二人の世界を形成している。
(私だけ仲間外れみたいで、ちょっと面白くないわね。でも……よく分かったわ)
利希にしてみれば、資料をただ読めと言われても用語が分からず、意味不明だろう。頭ごなしにやる気がないと決め付けたことを、希美は反省した。
「なるほど、ノルテの評判はおおむね良好だな。ほうほう、これは面白い」
「でも社長、ネットは使いようですから、気を付けくださいね。個人でも、心ない書き込みに傷つくことがありますから」
「ふうん。まあ俺の場合、悪口なんざ平気だけどな。わっははは」
アプリを少し使えただけで、この喜びよう。父はスマホを使いたかったのだと希美は知った。スマホをいじってたのも、なんとかしたかったのだろう。
社長は社長で、努力しようとした。壮二がいなければ、そんなこと気付きもしなかった。
「社長、そろそろM社にお出かけの時間です。スマホは一旦置いていただき、ご準備をお願いします」
希美が促すと、利希は残念そうに息をついた。
「いいところなのに、仕方ないな……そうだ、南村。次の日曜日、家に来い。今度はパソコンの使い方を教えてくれ」
「えっ、ご自宅にですか?」
突然の命令に壮二は戸惑うが、嬉しそうに承知した。希美は希美で、勝手なことばかり言う父親に呆れながらも、ほくそ笑んだ。
(お父様と仲良くするのはいいことよ。この調子で、仕事もプライベートも充実させましょう)
目で合図を送ると、壮二がにこりと微笑んだ。
「ああ、あれだろ。SNSとか、つぶやきがどうのこうのというやつだ。ウチも宣伝部がやってるぞ」
「そうです、そうです」
具体的な例を聞けて、利希はよく理解できた様子。
「消費者は気軽に、美味いとか不味いとか、我が社の商品について噂してるわけだな」
「はい。商品アンケートより正直な意見が聞けるとか。ただ、嘘やでたらめも混在するため監視が必要なのです」
「ふん、まるで情報のるつぼだ」
「真偽を問わず、ネット情報は恐ろしい勢いで拡散されます。対応を間違えると、商品そのものより企業イメージに影響しますからね」
「山火事みたいなもんだな」
「まさに、大炎上ですよ」
膝を寄せ合い熱心に語り合う姿は、社長と社員というより、もっと近しい関係に見える。
「で、他の対策はどうなってる。マニュアルはできてるんだろうな」
「はい。管理課の皆さんが、ネット情勢に合わせて対策を日々更新中とのこと」
「ほう、さすがノルテの社員だ。今度、そのネット管理課を覗いてみるとしよう」
希美は驚いてしまう。ネットなどさっぱり分からんとふて腐れた社長が、積極的に動き始めるとは……
壮二はまるで、魔法使いのよう。
「しかし、会社の評判を直接知るというのは面白い。なあなあ、南村。どうやってやるのかちょっと教えてくれ」
利希はスマートフォンを手に取り、壮二と一緒に画面を覗き込む。希美の存在を忘れたかのように、二人の世界を形成している。
(私だけ仲間外れみたいで、ちょっと面白くないわね。でも……よく分かったわ)
利希にしてみれば、資料をただ読めと言われても用語が分からず、意味不明だろう。頭ごなしにやる気がないと決め付けたことを、希美は反省した。
「なるほど、ノルテの評判はおおむね良好だな。ほうほう、これは面白い」
「でも社長、ネットは使いようですから、気を付けくださいね。個人でも、心ない書き込みに傷つくことがありますから」
「ふうん。まあ俺の場合、悪口なんざ平気だけどな。わっははは」
アプリを少し使えただけで、この喜びよう。父はスマホを使いたかったのだと希美は知った。スマホをいじってたのも、なんとかしたかったのだろう。
社長は社長で、努力しようとした。壮二がいなければ、そんなこと気付きもしなかった。
「社長、そろそろM社にお出かけの時間です。スマホは一旦置いていただき、ご準備をお願いします」
希美が促すと、利希は残念そうに息をついた。
「いいところなのに、仕方ないな……そうだ、南村。次の日曜日、家に来い。今度はパソコンの使い方を教えてくれ」
「えっ、ご自宅にですか?」
突然の命令に壮二は戸惑うが、嬉しそうに承知した。希美は希美で、勝手なことばかり言う父親に呆れながらも、ほくそ笑んだ。
(お父様と仲良くするのはいいことよ。この調子で、仕事もプライベートも充実させましょう)
目で合図を送ると、壮二がにこりと微笑んだ。
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