32 / 179
希美の教え
2
しおりを挟む
興奮が高まってきたのか、壮二は唇だけでは飽き足らず希美の頬や耳たぶ、首筋にも吸いついてきた。仔犬みたいに夢中で舐めてくるのが滑稽な気もするが、笑わない。
彼はこれで強引なつもりなのだろうし、要望に応えようと必死なのだ。独占するみたいにしがみついてくる。
「……希美さん……つ」
壮二はもう一度キスしてきた。さっきより上手くなっている。
「なかなかいいわよ。その調子」
「はいっ」
素直かつ爽やかな返事。目は輝いている。褒められて、さらにヤル気を出したようだ。
壮二の前のめりに、希美はちょっとした達成感を覚える。これが武子の言う仕込む楽しさかなと思った。少なくとも彼は、最初のように怖がってないし、恥じらいも克服している。
でも、まだまだこれからが本番だ。
(もしかして、壮二って……)
希美の胸に、新たな期待が生まれたのはしばらく後。彼という男は、どんぐりに埋もれた逸材だったらしい。
(呑み込みが早い。教育次第では、かなりの上級者になるかも)
夫としての条件を満たし、隠れマッチョで、その上床上手とくれば、最高のパートナーである。他の誰にも渡せない、希美だけのものだ。
壮二の首筋に顔を埋めた。汗で濡れているが、素肌からいい匂いがする。
「あなたの汗、嫌いじゃないわ」
「……僕も」
僕もあなたの汗が好きだと、荒い呼吸が語っていた。
大きな手が、希美の背中を撫でる。
何だか急激に、欲しくなってきた。
「……ねえ、壮二」
「は、はい?」
ふいに話しかけられて戸惑う彼に、希美は要求した。
「悪いけど、すぐに抱いてくれない?」
「えっ?」
壮二が身体ごと跳ね上がった。
「す、すぐに……ですか?」
「そう、一刻でも早く」
いきなりの要求に面食らったようだ。でも、この体勢で驚くほうがどうかしている。
「わっ、わ、分かりました。こここっ、こちらこそ、お願い……します」
彼はうわずりながらも、素直に頷いた。
彼はこれで強引なつもりなのだろうし、要望に応えようと必死なのだ。独占するみたいにしがみついてくる。
「……希美さん……つ」
壮二はもう一度キスしてきた。さっきより上手くなっている。
「なかなかいいわよ。その調子」
「はいっ」
素直かつ爽やかな返事。目は輝いている。褒められて、さらにヤル気を出したようだ。
壮二の前のめりに、希美はちょっとした達成感を覚える。これが武子の言う仕込む楽しさかなと思った。少なくとも彼は、最初のように怖がってないし、恥じらいも克服している。
でも、まだまだこれからが本番だ。
(もしかして、壮二って……)
希美の胸に、新たな期待が生まれたのはしばらく後。彼という男は、どんぐりに埋もれた逸材だったらしい。
(呑み込みが早い。教育次第では、かなりの上級者になるかも)
夫としての条件を満たし、隠れマッチョで、その上床上手とくれば、最高のパートナーである。他の誰にも渡せない、希美だけのものだ。
壮二の首筋に顔を埋めた。汗で濡れているが、素肌からいい匂いがする。
「あなたの汗、嫌いじゃないわ」
「……僕も」
僕もあなたの汗が好きだと、荒い呼吸が語っていた。
大きな手が、希美の背中を撫でる。
何だか急激に、欲しくなってきた。
「……ねえ、壮二」
「は、はい?」
ふいに話しかけられて戸惑う彼に、希美は要求した。
「悪いけど、すぐに抱いてくれない?」
「えっ?」
壮二が身体ごと跳ね上がった。
「す、すぐに……ですか?」
「そう、一刻でも早く」
いきなりの要求に面食らったようだ。でも、この体勢で驚くほうがどうかしている。
「わっ、わ、分かりました。こここっ、こちらこそ、お願い……します」
彼はうわずりながらも、素直に頷いた。
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
Promise Ring
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
浅井夕海、OL。
下請け会社の社長、多賀谷さんを社長室に案内する際、ふたりっきりのエレベーターで突然、うなじにキスされました。
若くして独立し、業績も上々。
しかも独身でイケメン、そんな多賀谷社長が地味で無表情な私なんか相手にするはずなくて。
なのに次きたとき、やっぱりふたりっきりのエレベーターで……。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる