異世界転生漫遊記

しょう

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林王の領域

264話 過去徧 ゾルの怒り

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「ふん!レオがその程度の怪我で、どうにか成るわけ無いだろ…ん?誰だ?」

グリモアに怒鳴り付けられた冥王は、少し拗ねた様子で答えていたが、医務室のドアの外から自分達を見るルーティアの視線に気付き、不思議そうに首を傾げた

「えっと…」

冥王に見られたルーティアは、何と言えば良いのか分からず、言葉を詰まらせた

「ああ!!…陛下、彼方の方は、エルフの王女で有られる、ルーティア様です」

セバスは、ルーティアの様子を見て、冥王にルーティアを連れてきている事を報告していない事に気付き、少し慌てた様子で、ルーティアを紹介した

「はぁ?エルフの王女?…何故此所に?」

冥王は、ルーティアがハーデス王国に居る理由が分からず、少し怒った様子でセバスに質問した

「…ルーティア様の、強くなりたいという強い気持ちに、心を打たれた私が連れてきました」

冥王に質問されたセバスは、真剣な表情で冥王を見ながら答えた

「っ········」

冥王は、勝手に他国の王女を連れて来たセバスの無責任さに苛立ち、全身から魔力を垂れ流しながらセバスを睨み付けた

「「「っ!」」」

セバスとルーティア、グリモアの3人は、冥王の魔力を感知し、怯えた表情を浮かべた

「…セバス、今がどういう状況か、分かって言ってるんだろうな?」

冥王は垂れ流した魔力を押さえ込みながら、出来るだけ冷静に質問した

「…はい、分かっております」

セバスは、少し申し訳なさそうにしながらも、真剣な表情で冥王を見ながら答えた

「っ!ならば何故!?」

「ゾル坊!余りセバスを責めるな!」

セバスの答えを聞いた冥王が、セバスに食って掛かろうとすると、それを見ていたグリモアが、慌てて冥王に抱きついて止めた

「止めるなグリモア!お前も分かってるだろ!?これから、どれだけ大変な事をしないといけない事ぐらい!?」

冥王は、自身を止めたグリモアを振りほどきながら、怒った様子で、セバスを睨み付けた

「分かっておる!!しかし!ルーティア様の思いも分かるんじゃ!!」

グリモアは、冥王を止める力を強めながら、ルーティアの覚悟を思い出し、大声で叫んだ

「っ!…グリモア…はぁ~…ふん!…好きにしろ!」

グリモアの声を聞いた冥王は、少し冷静に戻り、グリモアの顔を見た後、呆れた様子で溜め息を吐き、グリモアの拘束を無理矢理破り、怒った様子で医務室を出て行こうとし始めた

「ゾル坊!」「陛下!」

グリモアとセバスは、医務室を出て行こうとする冥王を止めようとしたが、冥王は2人を無視して、ルーティアを睨んだ後、そのまま医務室を出て行った

「「「········」」」

冥王が部屋を出て行った後、ルーティアとセバスとグリモアは、何を言えば分からず、気まずい沈黙が暫く続いた
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