265 / 286
林王の領域
257話 過去編 セバスの報告
しおりを挟むセバス達一行は、合流した近衛騎士団に見張られながら、ハーデス王国王都に帰還した
セバス達一行が王都に入ると、王都の住民達の暗い表情が目に止まり、ゴルの死が発表されている事に気付いた
セバス達一行は、暗い表情の住民達の横を通り過ぎ、セバスの報告を待つ、冥王が居る城に帰還した
「セバス様!謁見の間にて!ゾル様がお待ちです!」
セバス達一行が、城に着くと、直ぐに文官が城の中から現れ、セバスに、冥王が待っている事を伝えた
「分かりました…では、ルーティア様を部屋に案内してください、エルフの王族の方です、無礼が無いように」
セバスは、ルーティアの方を見ながら、冥王の事を伝えに来た文官に、ルーティアの事を頼んだ
「っ!はい!分かりました!」
文官は、セバスの話を聞き、急いでルーティアの下に向かい始めた
「…よし!」
セバスは、ルーティアの下に向かった文官を見送った後、覚悟を決めた様子で、城の中に入っていった
「お待ちしてましたセバス様…皆様、首を長くして待っておりました」
セバスが謁見の間の前に着くと、謁見の間の門番がセバスに声を掛け、ドア開けながら、冥王達が待っていた事を伝えた
「(皆様?っ!まさか!)」
セバスは、門番の言葉に疑問を抱き、一瞬にして、謁見の間の中に誰が居るか気付き、額から冷や汗を流した
「ぐぅっ」
門番がドアを開けると、謁見の間の中から膨大な魔力が溢れだし、セバスは、魔力によって吹き飛ばされないよう、前屈みになりながら、苦しそうに謁見の間の中に進み始めた
謁見の間の中では、王座に冥王が座り、部屋の中央の通り道を開けた状態で、100人を越える黒髪と赤い眼を持つ人々が、全身から魔力を溢れさせながら、セバスを睨み付けた
「(まさか…ここまで揃うとは…)」
セバスは、謁見の間に居る全員を見渡しながら、謁見の間の中央を歩き始めた
「セバス…何故祖父は死んだ?…理由によっては、お前を刑に処す必要が出てくる」
セバスがある程度進むと、王座に座る冥王が、拳を力強く握りしめながら質問した
「…ゴル様は、エルフの里の問題の元凶と対峙し、奮闘虚しく敗れました」
セバスは、謁見の間の中央で片膝を立ててしゃがみ、床を見ながら答えた
「「「「「「「「っ!」」」」」」」」
セバスの答えを聞いた全員が驚き、信じられないという表情でセバスを凝視した
「…元凶だと?それはどれ程の強さだった?」
冥王は、セバスの答えに驚きながらも、ゴルを殺した怪物の強さについて質問した
「明確な強さは分かりませんが…ゴル様が【奥義 振動体】と【振動魔手】を使って相手に傷を負わせた事と、【奥義 振動体】を使った状態にも関わらず、相手が放った攻撃に、何も出来ぬまま一撃で敗れました」
セバスは、天高く飛ぶ怪物が放った攻撃を思い出しながら、分かっている事実だけを話した
「何だと!?一撃だと!」
「あり得ぬ!あのゴル爺様が!たった一撃などで敗れるはずもない!」
「「そうだ!絶対あり得ぬ!!」」
「それも!【奥義 振動体】を使った状態でだと!嘘を付くのもたいがいにせよ!!」
「っ、静まれ!!」
セバスの話を聞き、冥王以外の全員が、セバスの話を否定していると、冥王が王座から立ち上がり、大声を出して全員を静かにさせた
「「「「「「「「「「·····················」」」」」」」」」」
「はぁ…セバス、一つ聞く…祖父を殺した奴と、俺が戦えば、どっちが勝つ?」
冥王は、全員が静かになったのを確認してから、王座に座り直し、セバスを見ながら質問した
「…一対一なら、確実にゾル様が負けます…それ処か、ここに居る全員で挑んでも、勝率は良くて5割、下手をすれば1割しかありません」
セバスは、言いづらそうにしながら、正直に自身の考えを話した
「「「「「「「「なっ!」」」」」」」」
セバスの話を聞いた謁見の間の全員が驚いた後、負けると言われた事に腹を立て、一斉にセバスに魔力をぶつけた
「ぐっ…っ、事実です!あの怪物は!一撃でこの王都を消す力を!持っているのです!」
魔力をぶつけられたセバスは、苦しそうに膝を付いたが、足を震わせながら立ち上がり、大声で事実を語った
「…そうか、お前ともあろう者が、そこまで言うのだ…俺は信じよう」
冥王は、セバスの並々ならぬ意思を感じ取り、他の者達にセバスを責めさせない為に、信じると声に出して話した
「ありがとうございます…それと、こちらがハルス様からの手紙と、エルフの森についてから、ゴル様が亡くなるまでの報告書です…」
セバスは、冥王の心遣いに感謝を伝えた後、懐からハルスの手紙とゴルを殺した怪物についての報告書を取り出し、安心した様子で気絶した
「セバス!…気絶しただけか…門番!直ぐに医務室に!」
冥王は、慌てて気絶したセバス駆け寄り、ぶつけられた魔力から解放された緩みで気絶した事に気付き、門番に医務室に連れていくよう命令した
「はっ!」
門番は、気絶したセバスを抱えあげ、急いで医務室に向かった
110
お気に入りに追加
1,351
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる