264 / 275
林王の領域
256話 過去編 近衛騎士団
しおりを挟むルーティアの荷物を整理が終わった後、セバス達一行は、ハルスやエルフ達に盛大に見送られ、エルフの里を後にした
セバス達一行は、エルフの里からある程度離れると、一気に移動スピードを上げ、ハーデス王国に向かい始めた
ルーティアは、馬車の窓から見る、初めての景色に感動しながら、これからいくらハーデス王国に思い話馳せた
セバス達一行は、途中何度も夜営をしながら、一週間掛け、ハーデス王国の領土まで移動した
「ルーティア様、ここより先は、ハーデス王国の領土になります…国内には、少ないですが、ハーデス王国の転覆を狙う輩も居ます…私達が出来る限り御守りしますが、いざとなった時は、躊躇無く相手を殺すか、素早くお逃げ下さい」
ハーデス王国の領土に入った事を確認したセバスは、初めてエルフの領土から出たルーティアに、外の危険性を教える為に、真剣な表情で忠告した
「…分かりました…その時が来ない事を願いますが、いざとなったら、忠告通りに行動します」
ルーティアは、出来れば一緒に戦いたいと思っていたが、エルフの王族である自分に、何か起きた時の事を考え、セバスの忠告通りに動く事を伝えた
「申し訳ありませんが、お願いします」
セバスは、修行の来たルーティアに、エルフの王族として動いてもらう事に、心苦しさを感じながら、エルフの王族として動いてくれる事に感謝を伝えた
「っ!セバス様!前方に集団が見えます!」
セバス達一行が、王都に向けて移動していると、馬に乗った騎士の1人が、向かっている先に多人数の集団が居ることに気付き、大声でセバスに報告した
「っ!…何処ですか!?」
報告を受けたセバスは、慌てて馬車から身を乗り出し、報告してきた騎士が見ている方向を凝視した
「…あれは…ハーデス王国の騎士ですね…それも近衛騎士…(つまり、ゴル様の件がゾル様に伝わったのですね)」
セバスは、大人数の集団が掲げる旗を確認して、ハーデス王国の近衛騎士団である事に気付た
「今すぐ旗を掲げなさい!」
セバスは近くの馬に乗る騎士を見ながら、ハーデス王国の軍旗を掲げるよう命令した
「はっ!」
命令された騎士は、直ぐに軍旗を取り出し、近衛騎士団に見えるよう掲げた
「止まれ!セバス!降りてこい!」
騎士が軍旗を掲げると、近衛騎士団の中から1人の騎士がセバス達一行の下に向かってきて、大声でセバスを呼び出した
「(…やはりトゥデイでしたか…)…貴方が来たという事は、かなり不味い状況だという事ですね」
騎士の声を聞いたセバスは、直ぐにトゥデイだと気付き、ゆっくり馬車から降りながら、トゥデイに声を掛けた
※トゥデイ フユウ
冥王とセバスの幼馴染みであり
将来は、冥王が住む城の地下で、魔獣達が眠りに就いている場所の門番をしている
ハーデス王国では、近衛騎士団長の座に就いている
「ああ!ハーデス家の皆様は、お前にかなり怒ってらっしゃる!ゾル様が押さえてくれてはいるが!ゴル様を守れなかった責任は、必ず取らされるだろう!」
トゥデイは、馬車から降りてきたセバスを見ながら、王城で起きている事を、全てセバスに説明した
「成る程…つまりその程度しか情報は届いていないのですね」
セバスは、トゥデイの説明を聞き、ゴルを殺した怪物の事を、王都に居る者達が把握していない事に気付いた
「どういう意味だ!?っ!まさか!こちらが把握してない事実があるのか?」
トゥデイは、セバスの言葉を聞き、自分達に報告されていない事がある事に気付き、慌てた様子で質問した
「ええ、ありますよ…その事については、私がゾル様に報告します」
セバスは、ここで全てを説明した後に、もし自分の身に何か起きた時の事を考え、遠回しに説明を拒否した
「っ!お前!」
トゥデイは、セバスの考えに気付き、怒気を帯びた声で怒鳴りながら、セバスを睨み付けた
「トゥデイ…今回の件は、それ程までに深刻なのだ…報告に誰かを挟む事は絶対にしない!」
セバスは、間違った報告が冥王にされた時の事を考え、絶対に自分が報告すると、覚悟を決めた表情で伝えた
「っ…はぁ、仕方ない…分かった!なら今すぐ出発するぞ、ハーデス家の方々が、暴走しない内にな」
トゥデイは、セバスが絶対に引かない事に気付き、呆れた表情でセバスを見た後、自身の馬を操り、王都に向けて出発した
「分かってますよ…馬車を出しなさい!」
セバスは馬車に乗り込み、馬車を出発させるよう命令した
86
お気に入りに追加
1,262
あなたにおすすめの小説
現実だと思っていたら、異世界だった件
ながれ
ファンタジー
スメラギ ヤスト 17歳 ♂
はどこにでもいる普通の高校生だった。
いつものように学校に通い、学食を食べた後に居眠りしていると、
不意に全然知らない場所で目覚めることになった。
そこで知ったのは、自分が今まで生活していた現実が、
実は現実じゃなかったという新事実!
しかし目覚めた現実世界では人間が今にも滅びそうな状況だった。
スキル「魔物作成」を使いこなし、宿敵クレインに立ち向かう。
細々としかし力強く生きている人々と、ちょっと変わった倫理観。
思春期の少年は戸惑いながらも成長していく。
チート狩り
京谷 榊
ファンタジー
世界、宇宙そのほとんどが解明されていないこの世の中で。魔術、魔法、特殊能力、人外種族、異世界その全てが詰まった広大な宇宙に、ある信念を持った謎だらけの主人公が仲間を連れて行き着く先とは…。
それは、この宇宙にある全ての謎が解き明かされるアドベンチャー物語。
社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
異世界ライフの楽しみ方
呑兵衛和尚
ファンタジー
それはよくあるファンタジー小説みたいな出来事だった。
ラノベ好きの調理師である俺【水無瀬真央《ミナセ・マオ》】と、同じく友人の接骨医にしてボディビルダーの【三三矢善《サミヤ・ゼン》】は、この信じられない現実に戸惑っていた。
俺たち二人は、創造神とかいう神様に選ばれて異世界に転生することになってしまったのだが、神様が言うには、本当なら選ばれて転生するのは俺か善のどちらか一人だけだったらしい。
ちょっとした神様の手違いで、俺たち二人が同時に異世界に転生してしまった。
しかもだ、一人で転生するところが二人になったので、加護は半分ずつってどういうことだよ!!
神様との交渉の結果、それほど強くないチートスキルを俺たちは授かった。
ネットゲームで使っていた自分のキャラクターのデータを神様が読み取り、それを異世界でも使えるようにしてくれたらしい。
『オンラインゲームのアバターに変化する能力』
『どんな敵でも、そこそこなんとか勝てる能力』
アバター変更後のスキルとかも使えるので、それなりには異世界でも通用しそうではある。
ということで、俺達は神様から与えられた【魂の修練】というものを終わらせなくてはならない。
終わったら元の世界、元の時間に帰れるということだが。
それだけを告げて神様はスッと消えてしまった。
「神様、【魂の修練】って一体何?」
そう聞きたかったが、俺達の転生は開始された。
しかも一緒に落ちた相棒は、まったく別の場所に落ちてしまったらしい。
おいおい、これからどうなるんだ俺達。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる