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林王の領域
249話 過去偏 魔物の報告書
しおりを挟む「…セバス殿、もう大丈夫ですか?」
ハルスは、部屋に入ってきたセバスを見ながら、心配そうに質問した
「ん?何がですか?」
セバスは、ハルスの質問の意図が分からず、不思議そうに首を傾げた
「…いえ、てっきり私は、セバス殿は部屋に籠っているものと思っていたので…」
ハルスは、セバスの様子を見て、セバスがゴルの死にショックを受けて、部屋の中に籠っていると考えていた自身の考えが間違えていた事に気付き、少し心苦しそうにしながら、自身が思っていた事を正直に話した
「ああ、成る程…ルーティア様にも言いましたが、私が部屋に籠っていたのは、ゴル様を殺した怪物を倒す方法を考える為ですよ」
ハルスの話を聞いたセバスは、ハルスが大丈夫なのか聞いた理由に納得し、ハルスを安心させる為に部屋に籠っていた理由を話した
「っ、流石ですね」
セバスの話を聞いたハルスは、セバスのハーデスの家臣としての在り方に驚き、感心した様子でセバスを見た
「いえ、それよりも…ゴル様の腕を見ましたか?」
ハルスに感心した様子で見られたセバスは、少し照れ臭そうにした後、真剣な表情で質問した
「…ええ、見ました」
セバスに質問されたハルスは、変形したゴルの腕を思い出し、深刻そうな表情を浮かべた
「っ、良かった、気付いていましたか」
セバスは、ハルスの表情を見て、自身がゴルの腕を見て気付いた事にハルスも気付いた事を知り、安心した様子でハルスを見た
「ええ、あの怪物には、生き物を別の生き物に変える力があるみたいですね」ゴトッ
ハルスは、深刻な表情を浮かべたまま、机の下からセバスが倒した魔法を使う茶色い熊の腕と、普通の熊の腕が入った箱を取り出した
「っ、成る程、調べたのですね?」
セバスは、ハルスが取り出した物を見て、自身が部屋に籠っていた間に、エルフ達が普通の熊と魔法を使う熊の違いを調べていた事に気付き、興味深そうに質問した
「ええ、これが報告書です」
ハルスは、セバスが何を見たがっているか気付き、机の棚から、纏められた報告書を取り出し、セバスに手渡した
「ありがとうございます、読ませていただきます」
報告書を受け取ったセバスは、感謝を伝えた後、受け取った報告書を読み始めた
セバスが読み始めた報告書には、普通の熊と魔法を使う熊の2体を解剖し、同じな部分と違う部分が事細かく書かれていた
魔法を使う熊は、肉体構造は従来の熊とほぼ同じだったが、臓器の一つ一つが従来の熊より強く、なかでも心臓は従来の熊の五倍のスピードで動き、それを可能としたのが、従来の熊より十倍近い固い骨と、従来の熊より五倍近いしなやかさと、十倍近い筋肉密度だと書かれていた
「成る程…ですが、魔法については書かれていないのですね?」
報告書を読み終えたセバスは、納得した様子でハルスの机に報告書を置いた後、報告書を読んだ時に気になった事を質問した
「それが、魔素を吸収した形跡は見付かったみたいなんですが、魔素を魔力に変えた形跡が見付からなかったみたいで、報告書には何も書かれていないのですよ」
ハルスは、セバスの質問に、魔法を使う熊の解体をした医師から聞いた通りにセバスに答えた
「そうですか…分かりました、ゾル様にもそのように報告しておきます」
ハルスの答えを聞いたセバスは、少し残念そうにしながら、聞いた通りに冥王に話す事を伝えた
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