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林王の領域
247話 過去編 怪物の力
しおりを挟むゴルの腕が発見されたと聞き、部屋を飛び出したセバスは、途中城の廊下に居た騎士に話しを聞き、ゴルの腕が運ばれた部屋の前まで移動した
「失礼させていただきます!」
部屋の前まで移動したセバスは、ノックをしずに、勢い良く扉を開けた
「「「「っ!セバス様!」」」」
部屋の中で、ゴルの腕を調べていた騎士達と軍医は、いきなり入って来たセバスに驚き、慌ててゴルの腕に布をかけた
「…見せなさい」
ゴルの腕を隠すのを見ていたセバスは、怒った様子で、騎士達を睨み付けた
「「「っ」」」
「…セバス様、見ない方がいいです…ここは私達が…」
騎士達は、怒っているセバスの迫力にビビり、後ろに下がったが、軍医はセバスからゴルの腕を隠すように動き、セバスを部屋から出そうとセバスに近付き始めた
「退きなさい!!」
「ぐっ」
セバスは、ゴルの腕の事を隠そうとする事に怒り、近付いて来た軍医を殴り飛ばし、ゴルの腕にかけられた布を剥がした
「何ですか?これは?」
ゴルの腕を見たセバスは、全体に生えた蛇のような鱗と、鳥の足のように変形した指を見て、本当にゴルの腕かどうか見分けがつかず、騎士達と軍医を見ながら質問した
「「「「・・・・・・・・」」」」
騎士達と軍医は、セバスになんと伝えればいいか分からず、無言でセバスから目を逸らした
「答えなさい!これの何処が!ゴル様の腕なのです!?」
セバスは、目を逸らした騎士達と軍医が、何かを隠していると思い、変形したゴルの腕を持ち上げ、騎士達と軍医に突き付けながら怒鳴り付けた
「(おい!お前が説明しろよ!)」
「(はぁ?やだよ!)」
「(言い出したお前が言え!)」
「(嫌に決まってるだろ!もし上手く説明出来なかったら、降格ですまんのだぞ!)」
「(ならどうするんだよ!)」
変形した腕を突き付けられた騎士達は、誰がセバスに説明するかを、小声で擦り付け合っていた
「(…はぁ~、仕方ありません、私がセバス様に説明します)」
「「「(っ!いいのか!?)」」」
騎士達の擦り付け合いを見ていた軍医は、諦めた様子で騎士達の前に出た
「(はい、これも軍医の務めと思えば)」
「「「(感謝する!)」」」
騎士達は、嫌な役目を引き受けてくれた軍医に感謝をしながら、セバスから逃げる様に、少し後ろに下がった
「(あっ!逃げた!…まったく!)…セバス様、冷静になって下さい…冷静なセバス様なら、その腕に残った僅かな魔力を、感知する事が出来るでしょう」
軍医は、逃げる様に下がった騎士達を呆れた様子で見た後、怒った様子のセバスの前まで行き、セバスを落ち着かせる為に、慎重に言葉を選びながら、変形したゴルの腕を掴んだ
「・・・・っ、この魔力!」
軍医の話しを聞いたセバスは、目を閉じから、軍医が掴んでいる変形した腕に集中し、腕の中に微かに残っているゴルの魔力を感知し、驚きの表情を浮かべた
「あり得ない…何故ゴル様の腕が…この様な御姿に…」
セバスは、信じられない物を見る目で、変形したゴルの腕を見ながら、蛇のような鱗に変わった皮膚を撫でた
「…傷口から察するに、この腕は、ゴル様自身が切り落としたと考えます」
軍医は、掴んでいるゴルの腕を、セバスが傷口を見えやすい様に動かし、自身が調べた結果を報告した
「このは…【振動魔手】の切り口…しかし何故自ら自身の腕を…っ!まさか!あの怪物には!!不味い!今直ぐハルス様の下へ行きます!」
セバスは、軍医が見せた切り口を見て、ゴルの腕が【振動魔手】によって切られた事に気付き、そこから何故ゴルが腕を切り落とす必要があったのかを考え、ゴルを殺した怪物には、生き物を変質させる力がある事に気付き、慌ててハルスにその事を伝える為に、部屋を飛び出して行った
「「「「…何が分かったんだ?」」」」
騎士達と軍医は、セバスが何に気付き慌てているのか分からず、ただセバスが飛び出して行った扉を見ていることしか出来なかった
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