250 / 275
林王の領域
242話 過去編 ゴルフォンハーデスの最期
しおりを挟む「…ごほっごほっごほっ…っ!なんじゃこれは!?」
深い闇を纏った生き物が暴走させた魔力から、【鎧魔装】を使って身を守ったゴルは、砂塵を吸いこんでしまい、暫く咳き込んでいたが、辺り一面が更地に成っているのを見て、驚きの表情を浮かべた
「グッォォォォォォ!!!」
「っ!なんじゃ!?」
ゴルが驚きながら周りを見渡していると、遠くから獣の叫び声が鳴り響き、ゴルは慌てて声がする方を見た
ゴルが見た方向には、天高く飛ぶ龍の様な怪物が空を覆い尽くしていた
「あんな怪物、有り得ぬじゃろ…ごふっ…」
怪物を見たゴルは、怪物から発せられる膨大な魔力を感じ取り、絶望した様で口から血を吐きながら、膝を崩れ落ちる様に地面に付けた
「…あれには、儂1人では絶対に勝てん…ハーデス家が全員揃って漸く勝てるかどうかじゃ…」
ゴルは絶望した様子のまま、天高く飛ぶ怪物を見上げた
「グッォォォォォォ!!!」
天高く飛ぶ怪物は、自身の喉元に膨大な魔力を集め始めた
「…フッハッハッハッ…儂もここまでか…」
ゴルは、天高く飛ぶ怪物が何を仕様としているか気付き、自身の最期が分かり、乾いた笑みを浮かべた
「グッォォォォォォ!!!」
膨大な魔力を集め終えた天高く飛ぶ怪物は、口から黒い光の光線を、ゴル目掛けて放った
「…すまんなゾル…一族の事は、頼んだぞ…」
黒い光の光線を受けたゴルは、冥王に全てを託して、世界から消滅した
ゴルを消滅させた黒い光の光線は、そのまま大地を抉り、ゴルが居た一帯を炎と溶けた大地に変えた
「グッォォォォォォ!!!」
ゴルが消滅したのを確認した天高く飛ぶ怪物は、勝利の雄叫びを上げながら、その場を離れる為に空を移動し始めた
ゴルが消滅する少し前、エルフの里では、エルフ達が遠くに見える天高く飛ぶ怪物を目撃し、天高く飛ぶ怪物が発する魔力に恐怖し、慌てふためいていた
「ご無事なのですかゴル様…」
エルフ達が慌てふためいている中、セバスは天高く飛ぶ怪物を見ながら、自分達を逃がす為に残ったゴルの身を案じていた
「っ!あれは!」
「セバス殿!駄目です!」
「っ、離して下さい!私は行かなくては!」
「今から行っても間に合いません!ですから!ここは我慢して下さい!」
「っ~(ゴル様!お逃げください!!)」
天高く飛ぶ怪物が膨大なを集め始めたのを見たセバスは、急いでゴルの下に駆け付けようとしたが、セバスの行動を見ていたハルスに阻まれ、セバスは、悔しそうに、ゴルがいる方向を見た
セバスが悔しそうにゴルが居る方向を見た直後、天高く飛ぶ怪物口から黒い光の光線が放たれ、エルフの里全体を大きく揺らした
「「「「「「っ~!」」」」」」
「「ゴル様!!」」
慌てふためいていたエルフ達は、里全体が大きく揺れた事に、より一層慌てふためいていたが、セバスとハルスは、天高く飛ぶ怪物が放った黒い光の光線が、誰に向けて放たれたか気付き、直ぐにゴルが居た方向へ走り出した
「「(…ゴル様!どうかご無事でいて下さい!)」」
「グッォォォォォォ!!」
「「っ!…」」
ゴルが居た場所に向かって走り出したセバスとハルスが、ゴルの無事を祈りながら森の中を移動していると、勝利の雄叫びを上げている天高く飛ぶ怪物が遠くに移動して行っているのを見付け、2人は無言で走るスピードを上げた
「・・・・・・・・・・・・」
走るスピードを上げたセバスは、炎と溶けた大地に変わっている一帯に辿り着き、絶望した様子で膝から崩れ落ちた
「…っ(この魔力…)…あ゙ぁ゙…あ゙ぁ゙…あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!」
セバスは、炎と溶けた大地の一帯に、ゴルの魔力が薄く残っているのを感じ取り、ゴルが死んだ事に気付き、地面を叩きながら絶望した声で泣き叫んだ
「セバス殿…(何と声をかければ良いのだ…)」
セバスの様子を見ていたハルスは、セバスに掛ける言葉が見つからず、ただ見ている事しか出来なかった
その日、ハーデス王国を長年守り続け、民に絶大な信頼を寄せられていた先代国王が亡くなった
ゴル フォン ハーデスの死は、直ぐに世界中に伝えられ、各国の王達は偉大な王の死に追悼の意を示し、戦いを生業とする者達は、嘗て戦王と呼ばれたゴル フォン ハーデスを殺した怪物を恐れた
108
お気に入りに追加
1,262
あなたにおすすめの小説
元銀行員の俺が異世界で経営コンサルタントに転職しました
きゅちゃん
ファンタジー
元エリート (?)銀行員の高山左近が異世界に転生し、コンサルタントとしてがんばるお話です。武器屋の経営を改善したり、王国軍の人事制度を改定していったりして、異世界でビジネススキルを磨きつつ、まったり立身出世していく予定です。
元エリートではないものの銀行員、現小売で働く意識高い系の筆者が実体験や付け焼き刃の知識を元に書いていますので、ツッコミどころが多々あるかもしれません。
もしかしたらひょっとすると仕事で役に立つかもしれない…そんな気軽な気持ちで読んで頂ければと思います。
社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
異世界ライフの楽しみ方
呑兵衛和尚
ファンタジー
それはよくあるファンタジー小説みたいな出来事だった。
ラノベ好きの調理師である俺【水無瀬真央《ミナセ・マオ》】と、同じく友人の接骨医にしてボディビルダーの【三三矢善《サミヤ・ゼン》】は、この信じられない現実に戸惑っていた。
俺たち二人は、創造神とかいう神様に選ばれて異世界に転生することになってしまったのだが、神様が言うには、本当なら選ばれて転生するのは俺か善のどちらか一人だけだったらしい。
ちょっとした神様の手違いで、俺たち二人が同時に異世界に転生してしまった。
しかもだ、一人で転生するところが二人になったので、加護は半分ずつってどういうことだよ!!
神様との交渉の結果、それほど強くないチートスキルを俺たちは授かった。
ネットゲームで使っていた自分のキャラクターのデータを神様が読み取り、それを異世界でも使えるようにしてくれたらしい。
『オンラインゲームのアバターに変化する能力』
『どんな敵でも、そこそこなんとか勝てる能力』
アバター変更後のスキルとかも使えるので、それなりには異世界でも通用しそうではある。
ということで、俺達は神様から与えられた【魂の修練】というものを終わらせなくてはならない。
終わったら元の世界、元の時間に帰れるということだが。
それだけを告げて神様はスッと消えてしまった。
「神様、【魂の修練】って一体何?」
そう聞きたかったが、俺達の転生は開始された。
しかも一緒に落ちた相棒は、まったく別の場所に落ちてしまったらしい。
おいおい、これからどうなるんだ俺達。
外道魔法で異世界旅を〜女神の生まれ変わりを探しています〜
農民ヤズ―
ファンタジー
投稿は今回が初めてなので、内容はぐだぐだするかもしれないです。
今作は初めて小説を書くので実験的に三人称視点で書こうとしたものなので、おかしい所が多々あると思いますがお読みいただければ幸いです。
推奨:流し読みでのストーリー確認(
晶はある日車の運転中に事故にあって死んでしまった。
不慮の事故で死んでしまった晶は死後生まれ変わる機会を得るが、その為には女神の課す試練を乗り越えなければならない。だが試練は一筋縄ではいかなかった。
何度も試練をやり直し、遂には全てに試練をクリアする事ができ、生まれ変わることになった晶だが、紆余曲折を経て女神と共にそれぞれ異なる場所で異なる立場として生まれ変わりることになった。
だが生まれ変わってみれば『外道魔法』と忌避される他者の精神を操る事に特化したものしか魔法を使う事ができなかった。
生まれ変わった男は、その事を隠しながらも共に生まれ変わったはずの女神を探して無双していく
死んでないのに異世界に転生させられた
三日月コウヤ
ファンタジー
今村大河(いまむらたいが)は中学3年生になった日に神から丁寧な説明とチート能力を貰う…事はなく勝手な神の個人的な事情に巻き込まれて異世界へと行く羽目になった。しかし転生されて早々に死にかけて、与えられたスキルによっても苦労させられるのであった。
なんでも出来るスキル(確定で出来るとは言ってない)
*冒険者になるまでと本格的に冒険者活動を始めるまで、メインヒロインの登場などが結構後の方になります。それら含めて全体的にストーリーの進行速度がかなり遅いですがご了承ください。
*カクヨム、アルファポリスでも投降しております
主人公は高みの見物していたい
ポリ 外丸
ファンタジー
高等魔術学園に入学した主人公の新田伸。彼は大人しく高校生活を送りたいのに、友人たちが問題を持ち込んでくる。嫌々ながら巻き込まれつつ、彼は徹底的に目立たないようにやり過ごそうとする。例え相手が高校最強と呼ばれる人間だろうと、やり過ごす自信が彼にはあった。何故なら、彼こそが世界最強の魔術使いなのだから……。最強の魔術使いの高校生が、平穏な学園生活のために実力を隠しながら、迫り来る問題を解決していく物語。
※主人公はできる限り本気を出さず、ずっと実力を誤魔化し続けます
※小説家になろう、ノベルアップ+、ノベルバ、カクヨムにも投稿しています。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる