172 / 277
トーカス王国
165話 パーティー当日
しおりを挟むパーティー当日の夕方、セイは全身を黒い布で包んだ姿で、宰相宅の庭から王宮を見ていた
「そろそろだな…」
「セイ様、ご武運を」
「ぐぅ~…ぐぅ~…ぐぅ~」
「ああ、行ってくる【魔装】」
セイの横には、見送りに来たダグラと、一晩中準備の為に動き続け寝ているクロスがいた
セイは弱めの【魔装】を使い、人に気付かれないよう道を使わず、屋敷の屋根や庭を使い、宰相宅から王宮までを走り始めた
向かう途中、屋敷の者が居た時は、木に隠れたり、【魔脚】を使い、人に見られないように移動した
※ 【魔脚】とは、【魔技】の中の蹴り技だが、今回セイは走っている途中に地面を力強く蹴る為に使った
誰にもバレず、王宮を囲む城壁の前に着くことが出来たセイは、見回りの兵士に見つからない様、近くの木に登り、城壁を見ていた
「(クロスの調べだと、この位置から城壁を登ると、使用人の宿舎に入れるはず…見回りが来る前にっ!)」
セイは、周りに誰も居ないことを確認してから、【魔脚】と【魔足】を同時に使い、一気に城壁を登った
「(王宮の広間がパーティー会場だから…っ!あそこから入るか!)」
城壁を登ったセイは、【魔脚】と【魔足】を解き、【魔装】を使い、視力を強化しながら、侵入経路を探した
直ぐに侵入経路を見つけたセイは、もう一度【魔脚】と【魔足】を使い、誰にも見つからない速度で、王宮のバルコニーまで進み、人に見つからない様、静かに王宮内に侵入した
「(よし、入れたな…後は気配を消して、パーティー会場に潜入するだけだ)」
王宮に侵入したセイは、人に気付かられる可能性ある【魔技】を解き、気配を消してから、動き始めた
セイが王宮に侵入している頃、王宮の門を通り、公爵家の者達を乗せた馬車が王宮に到着した
それを見ていた人類至上主義の貴族達は、公爵家が全員揃っている事に疑問を感じ、同じ考えの者達と話していた
「おい!どうなっておる!何故公爵家が全員揃っているのだ!」
「まさか、王妃の命を狙った事がバレているのか?」
「いや、バレてはいないはずだ!あの刺客達と我らの繋がりは、調べても解らない様にしてある!」
「だが、公爵家が全員揃っているのは、少し不味くないか?」
「うむ、今回のパーティーでは、一応大人しくしていた方が良いだろう」
「そうだな…」
人類至上主義の貴族達は、公爵達に見つからない様、そそくさと王宮に入って行った
人類至上主義の貴族が話している時、人類至上主義を嫌っている貴族達も、公爵家が全員揃っているのを不安に思い、仲の良い貴族と話し合っていた
「まさか、公爵家が全員で来るとは…」
「公爵様達は絶対に揃ってパーティーに出ることはしなかった筈だ、それが揃ってパーティーに来たのだ、私は嫌な予感がする」
「うむ、この度のパーティーは、無事で終わらぬかもしれんな」
「そうじゃな、この度のパーティー、下手すれば内乱に発展する可能性があるのぉ」
「「「「「っ!」」」」」
その場に居た、1番年長の貴族の言葉に、周りに居た貴族は、一斉に顔色が悪くなった
「お主達は、何が起きても直ぐ動けるよう、パーティーの間は、公爵家と王家に注意しておくと良いぞ」
「そうですな、この度のパーティー、何が起きても不思議じゃありません」
人類至上主義を嫌う貴族達は、まるで戦場に行くかのように、覚悟を決めて王宮に入って行った
公爵達は、その様子を馬車の中から見ていた
~ディカン家~
「ふっ、アナベル、アルフェス見てみろ、人類至上主義などと、ふざけたことを言っている者達が、慌てて王宮に入って行くぞ」
「公爵家が揃うだけで、みっともなく慌ててる…そんなに私達からの報復が怖いですかね?」
「ふふ、それは怖いでしょ、彼らは裏でしか動かないから、表に引っ張り出されるのを、何より恐れているのよ」
「なら、表に引っ張り出してあげないと」
「そうだな、今日にでも引っ張り出してやろう」
「ふふ、そうね」
ディカン家の3人は、人類至上主義の貴族を、獲物を見る目で見ながら話していた
~ローパ家~
「デニス、お前役割は分かっているな?」
「分かってるよ、俺は人類至上主義を嫌う貴族を護ればいいんでしょ?」
「そうだ、人類至上主義を嫌う貴族の殆どは、この国には必要な人材だ、くれぐれも護り損ねるなどないようにな」
「そんなに言われなくとも分かってるよ、いざとなったら【魔技】を使って護るから安心してくれ」
「では頼んだぞ」
ディランとデニスは、人類至上主義を嫌う貴族を見ながら、明日からの国について考えていた
リルカサ家、トルティ家の4人も、人類至上主義の貴族と、人類至上主義を嫌う貴族見て、似た様な事を親子で話していた
281
お気に入りに追加
1,283
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
私のスローライフはどこに消えた?? 神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!
魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。
なんか旅のお供が増え・・・。
一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。
どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。
R県R市のR大学病院の個室
ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。
ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声
私:[苦しい・・・息が出来ない・・・]
息子A「おふくろ頑張れ・・・」
息子B「おばあちゃん・・・」
息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」
孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」
ピーーーーー
医師「午後14時23分ご臨終です。」
私:[これでやっと楽になれる・・・。]
私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!!
なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、
なぜか攫われて・・・
色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり
事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!!
R15は保険です。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
チートな嫁たちに囲まれて異世界で暮らしています
もぶぞう
ファンタジー
森でナギサを拾ってくれたのはダークエルフの女性だった。
使命が有る訳でも無い男が強い嫁を増やしながら異世界で暮らす話です(予定)。
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。
目覚めると彼は真っ白な空間にいた。
動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。
神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。
龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。
六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。
神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。
気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる