異世界転生漫遊記

トーカス王国

155話 サーチェ トルティ

～ヒサカ～

「久しぶりね､ヒサカちゃん」

「お久しぶりです､サーチェ叔母様､ガイラお兄様」

「うむ､久しぶりだな」

アルフェスがディランローパと共に､王都に向けて準備をしていた頃､ヒサカは､トルティ家当主と次期当主に会っていた

「それにしても､急に王妃が来るんだもの､ビックリしたわ」

「そうだぞ､本来なら､先に知らせを出すべきだったのだ」

「すみません､サーチェ叔母様､ガイラお兄様…急ぎの用件だったので､知らせを出せなかったのです」

「そう言ってもね､ヒサカちゃんは王妃なのよ？もし何か有ったら､私達トルティ家が責任を取らされるでしょ？」

「うむ､今の国王なら､全てを我らの責任にして､厳罰を与えてくるな」

「っ､それは…（トルティ家は､掟を破って王妃になった私を､未だに許してないのね…これは､かなり大変な交渉になるわね）」

サーチェとガイラは､鋭くヒサカを睨みつけながら､ヒサカを拒絶するような言い方をした

2人が自身を拒絶する理由を知っているヒサカは､２人をどう説得しようか悩み始めた


「まぁいいわ､それより急ぎの用件を聞きましょう」

「そうだな､王家からの急ぎの用件なんのだ､時間を掛けると､何を言われるか分かったもんじゃない」

「（…仕方ありません､先に立場を言いましょう）…サーチェ叔母様､ガイラお兄様､今日は王妃としてではなく､ハーデス王国家臣として来ています､余り無礼な態度は許しません！」

「っ！貴様！裏切り者のクセに､ハーデス王国家臣を名乗るか！」

「そうね､今の言葉は駄目よ､例え本当の事でも､ヒサカちゃんに､ハーデス王国家臣を名乗る資格は無いわ！」


サーチェとガイラは､ヒサカが言った､ハーデス王国家臣という言葉に反応して立ち上がり，ヒサカに向かって怒りを露わにした


「っ､私が､ハーデス王国家臣を名乗ってはいけない理由は何ですか！」

サーチェとガイラの言葉に反応し､ヒサカも立ち上がり､言い合いが始まった


「私は言ったわよね！公爵令嬢が王妃に成らない事は､トーカスができた時に決めた公爵の掟だと！なのに貴方はそれを破った！」

「それは､王妃に成れば人類至上主義の思想を､変えられると思ったから､王妃になったのです！掟を護っていても､人類至上主義は無くなりません！」

「人類至上主義を､王妃ごときが変えられる訳無いでしょ！変えるのではなく､滅ぼすしか方法は無いのよ！なのに貴方は無駄に掟を破り､公爵家を裏切った！」

「っ､それは…」

「貴方は私達の忠告聞きもせず､勝手に王妃に成り､先祖からの掟を破り､何も出来なかった､そんな貴方がハーデス王国家臣？笑わせないで､貴方はただの､考え無しの無能よ！」

「ですが！」

「ヒサカ､お前は知らないが､お前が王妃になると決まった日､ヒナイト叔父様は､全ての公爵家に頭を下げたのだ､『娘が掟を破った事は､私達ディラン家が､娘を甘やかした結果です､誠に申し訳ない』とな､だからお前は未だに生きているのだ､もしヒナイト叔父様が頭を下げなかったら､掟を破った罰で､王妃に成る前に殺されていただろう」

「そんなお父様が…」

ヒサカは､サーチェの言い分に､何も言い返す事が出来なくなり､ガイラが言った､ヒナイトの謝罪を聞き､何も言えなくなった


ｺﾝｺﾝ「失礼します」

「あらライカちゃん､許可もなく入るなんて､貴方らしく無いわね」

「すみません､サーチェ様とヒサカ様の言い合いが､終わったと思いましたので､入らせてもらいます」

部屋のドアの前で待っていたライカは､言い合いが終わったと判断して､部屋に入って来た

「なるほど､ヒナイトの思惑通りってことね」

「母上､それはいったい？」

「流石は､トルティ家当主サーチェ様です､ヒナイト様は､今一度､ヒサカ様に考えの甘さを教える為､トルティ家に来させたのです」

「つまり､ヒナイト叔父様は､ヒサカに考えの甘さを教える為に､態々私達の下に来るように仕向けたと？」

「そうよ…ちっ､相変わらず食えない男…だから嫌いなのよ」

「やられたな､流石はヒナイト叔父様だ」

サーチェは､ヒナイトの思惑通りに動いてしまった事に､苛立ちを露わにし､ガイラは､ヒナイトの計画に感心した


「ライカ､それは本当なの？」

「はい､ヒナイト様は､ヒサカ様に､自身の過ちを､気付かせたかったのだと思います」

「私の過ちを…」

「少し間､1人で考えてはいかがですか？お二人には､私から説明しておきます」

「…そうね､後を頼むわ､ライカ」

「はい」



もう1話続きます