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冥王の領域
71話 領主 ボコス チャカ 2
しおりを挟む領主のボコスは、セイに向かい魔法を使った
「どうだ!我が一族の【火蜂】を受けた苦しみは!」
「「セイ!」」
「はぁ~くだらねえ~」
「「「「「「っ!」」」」」」
領主の魔法は、セイに一切の傷をつけることが出来なかった
「なっ!私の魔法は直撃したはずだ!」
「あんな弱い魔法で、魔法師が怪我をするはずないだろ」
「弱いだと!ふざけるな!一族を貴族にした魔法が弱いだと!」
「本当に馬鹿だよな」
「なんだと!」
「っセイちゃん大丈夫かい!」
「大丈夫だよマリさん、あの魔法は魔法師の中でも最弱クラスだから」
「そうなのかい?」
「今の魔法は魔法師以外なら、大怪我するかもしれないけど、魔法師には意味のない魔法だよ」
「貴様!好き勝手言いよって!一族の魔法が最弱だと!あり得ぬ!」
「俺は別に、お前の一族の魔法が最弱とは言ってない、お前の魔法が最弱なんだよ」
「同じことではないか!」
「はぁ、そんなことも分からずに、よく魔法師を名乗れるな」
「なんだと!」
「セイちゃん、どういうことだい?」
「簡単だよ、魔法師の魔法の威力は、魔力の量と質で決まるんだよ」
「ならば、何故効かなかった!」
「ここまで言って分からないのかよ」
「領主は魔法師として弱いってこと?」
「なっ!あり得ぬ!」
「いや、それ以外に何があるんだよ」
「ならセイちゃんは、魔法師としてどれだけ強いの?」
「俺は、魔法師として強者の方だよ」
「それこそ有り得んな、貴族でもない貴様が私より強いはずがない」
「本当に馬鹿だよな、お前の一族が貴様になれたのは、ただ先祖に魔力が多い奴がいただけなのに」
「ならば私も、魔力が多いに決まっているだろ!」
「はぁ、なんか相手にするのが嫌になってきた」
「なんだと!」
「魔法師の魔力量は血筋じゃなくて、その人の素質で変わるんだよ」
「それってつまり、親が魔力を多く持っていても、子供が多いとは限らないってこと?」
「当たり前だよ、魔素の浸透率が高い者ほど魔力が多いんだよ」
「なら領主はどの程度なの?」
「ギリ魔法師に成れた程度だよ」
「あり得ぬ!あってはならぬ!貴族が平民に負けることなどあり得ぬ!」
「あのさ、それがくだらないんだよ」
「なんだと!何も知らぬガキが!」
「お前よりは知ってるよ、それに血筋なら俺の方が上だしな」
「どういう意味だ!」
「俺はハーデス家の血筋だ」
「はっ!何をいうかと思えばハーデス家?知らんなそんな一族」
「セイちゃん、私もハーデス家は聞いたことないわ」
「ハーデス家は、遥か昔魔獣の祖に滅ぼされた国の王家の名前だよ」
「「「「魔獣の祖?」」」」
「そうか知らないのか、魔獣の祖は全ての魔獣と魔物を生み出した存在だよ」
「そんなのがいるのかい?」
「正確には、いた、だけどね」
「いた?つまりもう死んでいるのかい?」
「魔獣の王達と世界中の人が協力して倒したんだよ」
「そうなのかい」
「そんな話、聞いたこともない!」
「お前が知らないだけだろ」
「それに滅んだ国の王家なら、今は平民だ、ならば今貴族の私の方が優れている!」
「「「「「・・・・・・・・」」」」」
「俺、頭痛くなってきた」
「私もだよ」
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